「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月28日~9月10日/ハードコート)は第4日、男女計6人の日本選手がシングルス2回戦を戦った。

 4人の日本人女子のうち、特に海外メディアも注目する大坂なおみ(日清食品)は世界ランク90位のデニサ・アレルトワ(チェコ)を6-3 4-6 7-5で下し、2年連続の3回戦に進出。

 もう一人、奈良くるみ(安藤証券)も第8シードのスベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)を6-3 3-6 6-3で破る金星を得て、2014年全豪オープン以来となるグランドスラム3回戦進出を果たした。

 しかし、日比野菜緒(LuLuLun)は、元トップ10で現在は37位のルーシー・サファロバ(チェコ)に1-6 6-3 2-6で及ばず、尾﨑里紗(江崎グリコ)は、第27シードのジャン・シューアイ(中国)とのアジア対決に0-6 3-6で完敗した。

 また、第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)に挑んだダニエル太郎(エイブル)は、健闘実らず6-4 3-6 2-6 2-6。杉田祐一(三菱電機)もラッキールーザーのレオナルド・メイヤー(アルゼンチン)に7-6(3) 4-6 3-6 4-6で逆転負けを喫し、グランドスラム初の3回戦進出はならなかった。

画像: ダニエル太郎(エイブル/左)とラファエル・ナダル(スペイン)

ダニエル太郎(エイブル/左)とラファエル・ナダル(スペイン)

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 ビッグネームを倒した次のラウンドは難しいものだ。相手は世界ランク6位のディフェンディング・チャンピオンから世界ランク90位の24歳へ、舞台は2万4000人をのみ込むセンターコートから1000人強の13番コートへ。緊張感の緩みとアドレナリン不足で、大金星から一転、拍子抜けの結果を招くことがしばしばある。

 実際、苦しい展開だった。大坂は第1セット、第5ゲームで2つダブルフォールトをおかしてダブル・ブレークポイントを握られたが、2度のデュースの末にキープ。逆に2つダブルフォールトをもらった第6ゲームでブレークに成功した。そのまま6-3で奪ったが、第2セットは第4ゲームでアンフォーストエラーが集中し、ブレークを許した。第9ゲームでブレークバックするものの、肝心のサービスをキープできず、最後はダブルフォールトでこのセットを落とした。

「私はすぐにネガティブなことばかり考える」という大坂が、トボトボとベンチに戻る。しかし、嫌なムードを引きずらず、最終セットの第1ゲームをブレーク。第8ゲームでブレークバックされ、そこから6-5まで大坂がリードしては追いつかれるというブレーク合戦だった。

 アレルトバは派手な選手ではないが、追い込まれてもショットコントロールがうまく、深いボールを左右に散らしてきた。

「勝つことを期待されているのは感じていた。あまりいいプレーができなかったのはそのせいかも」

 あとで大坂はそう話したが、6-5でのサービスゲームでやっと「期待通り」の大坂を見ることができた。バックハンドを決め、エースを決め、ボレーを決め……最後はエースで締めくくった。

画像: 大坂なおみ(日清食品)

大坂なおみ(日清食品)

 試合を見ている人の数は2日前のセンターコートとは比べ物にならなかったが、「私を応援してくれる人が多くてうれしかったし、その中でベストを尽くそうと頑張った」と大坂。

 かつて暮らしたニューヨークで、大坂はホームプレーヤーのように愛されている。対戦相手がアメリカ人になるとそれが一転することを、昨年のココ・バンダウェイとの1回戦や、大逆転負けを喫したマディソン・キーズとの3回戦で経験した。

 経験の数だけ強くなれると大坂は言う。グランドスラムでは全大会で3回戦に進出しているが、一度も突破したことはない。初の4回戦進出をかけ、予選上がりのカイア・カネピ(エストニア)と対戦する。

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 ウィンブルドンの前から6大会連続で初戦敗退を喫していた奈良が、過去に1回戦負けをしたことがない全米オープンで生き返った。全仏と全米のタイトルを持つ世界8位のクズネツォワを破り、トップ10プレーヤーからの初白星を獲得。そして、2013年の全米、2014年の全豪と続けて進んだグランドスラムの3回戦にやっとたどり着いた。

画像: 奈良くるみ(安藤証券)

奈良くるみ(安藤証券)

「めちゃくちゃうれしいです。勝てないときも、ここでいい結果を、というのをずっとモティベーションにしてきたので」

 4年前、予選を突破しての初出場で3回戦に進出した大会。155cmの小さな体で得意の足を生かし、3回戦では元女王のエレナ・ヤンコビッチ(セルビア)を苦しめた。ひたむきなプレーでショーコートのスタンドを大いに湧かせたものだ。

 あのときのように根気よく返球する力に、今回はより積極的にリスキーでアグレッシブなショットを織り交ぜ、奈良自身が「お手本にしたい選手の一人」と言っていた幅広い攻撃力を誇るクズネツォワに打ち勝った。セット先取からセットオールになり、最終セットは先にブレークを許していたが挽回した。

 クズネツォワが1回戦で左手首を負傷していたことは知らなかったという。勝ったからいいものの、知っておくべきだったのではないのか—-いや、ひょっとすると、知っていたら攻めに甘さが出てしまったかもしれない。常に「自分が今やろうとしているプレー、取り組んでいること」を意識して試合に臨んでいる奈良の、戦術を乱すことになったかもしれない。

 奈良陣営が誰も知らなかったということはないはずだ。知っていてもあえて伝えなかった。長年、奈良を支えているこの堅固なチーム力で、次の壁も突破してほしい。3回戦の相手は、日比野を破ったサファロバだ。
 
(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)

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