ミス悔やみ、涙の大坂------復活にかける32歳カネピに屈して16強逃す [USオープンDAY6]
「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月28日~9月10日/ハードコート)は第6日、世界ランク45位の大坂なおみ(日清食品)と同116位の奈良くるみ(安藤証券)がそれぞれ初のグランドスラム16強進出をかけて3回戦に臨んだが、いずれも敗退。大坂は、世界ランク418位の32歳カイア・カネピ(エストニア)に3-6 6-2 5-7のフルセット負け、奈良は世界ランク37位のルーシー・サファロバ(ロシア)に3-6 2-6のストレート負けだった。
ダブルスでは青山修子(近藤乳業)/ヤン・ザオシャン(中国)が第6シードのアシュリー・バーティ/ケーシー・デラクア(ともにオーストラリア)を6-0 3-6 6-4で破り、3回戦に駒を進めた。しかし第16シードの日比野菜緒(LuLuLun)/アリシア・ロソルスカ(ポーランド)は、ソラナ・シルステア(ルーマニア)/サラ・ソリベス トルモ(スペイン)に3-6 3-6で敗退。土居美咲(ミキハウス)/シュアン・シージュン(台湾)はダリア・ガブリロワ(オーストラリア)/ダリア・カサキナ(ロシア)に3-6 5-7と、終盤で競り合うもフルセットに持ち込むことはできなかった。
青山修子(近藤乳業)/ヤン・ザオシャン(中国)
◇ ◇ ◇
グランドスラム初の16強入りは、ほとんど手が届くところまできていた。大坂は第1セットを3-6で落としたあと、第2セットはエンジンがかかったように6-2で奪い返す。そして最終セット、第2ゲームでブレークを許して0-2の劣勢を強いられたが、そこから4ゲームを連取。4-3で迎えたサービスゲームは40-30からバックハンドのチャンスボールをネットにかけて、ゲームポイントを逃した。
激しい打ち合いの中では驚くようなコースの切り返しでウィナーを奪うことがある大坂だが、絶対的なチャンスボールをミスして崩れることが時々ある。本人がいつも言うように、メンタルの問題だ。
今日もここからアンフォーストエラーが続き、ブレークバックを許してしまう。もっとも悔やまれたところだ。
「感情面が不安定だった。彼女のほうはどちらかというとポジティブで、感情を爆発させたりしなかったのに」
あとで大坂は涙目で反省し、対戦相手との差を言葉少なに語ったが、それはカネピが「418位」というランキングが示すようなプレーヤーではないからだ。かつては15位、グランドスラムで5度ベスト8入りしている実力者で、32歳という年齢が示す経験量は大坂とは比べ物にはならなかった。
カネピは肩や足のケガなどで丸一年戦列を離れ、6月に復帰したばかりだが、復帰以降、ITFサーキットの2大会で優勝するなどし、今大会はスペシャル・ランキング(ケガによる戦線離脱に対して救済する暫定ランキング)を使ってエントリーした予選を勝ち上がってきた。何より、ちょうど2年ぶりのグランドスラムに並々ならぬ意気込みがあった。肩には痛々しくテープが貼られていたが、180cm74kgの体格が秘めたパワーは想像通りで、動きも悪くはない。
第8ゲームで大坂が見せた弱さにつけ込むように、次はラブゲームでサービスキープ。そこで大坂も踏ん張ってキープし、第11ゲームは0-30とあと2ポイントまで追い込んだ。1100席ほどの5番コートは立ち見であふれ返り、両隣のコートのスタンドからも視線を集めたが、多くは大坂への応援だった。
しかし、カネピはアウェーのムードをものともせず、深いところに精度の高いボールを返してくる。ブレークできなかった大坂は、次のサービスもキープできなかった。ラストは大坂の自滅というより、カネピが打ち勝ったのだろう。
「すごいハードヒッターで、タフな相手だった。最後の数ポイント、私のほうがちょっと良かっただけ」と試合後のカネピは謙遜気味に言った。
才能は高く評価されながらも、グランドスラムで5度目の3回戦止まり。幸いなことは、この19歳の伸びしろはいくらでも残されているということだ。
(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)
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