「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月28日~9月10日/ハードコート)は第7日、男女シングルスのボトムハーフの4回戦が行われた。

 ドーピング違反による出場停止処分で約一年半ぶりにグランドスラムに復帰し、注目を集めているマリア・シャラポワ(ロシア)は第16シードのアナスタシア・セバストワ(ラトビア)に7-5 4-6 2-6で敗れた。セバストワのほか、第9シードのビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)、第13シードのペトラ・クビトバ(チェコ)、そしてノーシードのスローン・スティーブンス(アメリカ)が8強入りを決めている。

画像: アナスタシア・セバストワ(ラトビア)

アナスタシア・セバストワ(ラトビア)

画像: マリア・シャラポワ(ロシア)

マリア・シャラポワ(ロシア)

 なお、ダブルスで残っていた日本勢は2組あったが、オーストラリアン・オープン・ベスト4の穂積絵梨(橋本総業ホールディングス)/加藤未唯(佐川印刷)は2回戦で第12シードのモニカ・ニクレスク(ルーマニア)/シェイ・スーウェイ(台湾)に4-6 2-6でストレート負け。3回戦を戦った青山修子(近藤乳業)/ヤン・ザオシャン(中国)の日中ペアも第9シードのシュー・イーファン(中国)/ガブリエラ・ダブロウスキー(カナダ)に7-5 3-6 3-6で逆転負けを喫し、これで日本勢は全員姿を消した。

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 ドーピング違反による15ヵ月間の出場停止が4月に明けて初めてのグランドスラム大会を戦うシャラポワにとって、試練の4回戦だった。

 27歳のセバストワは、まさにシャラポワが不在の期間と重なるように躍進した選手で、シャラポワのキャリアほどドラマチックではないが、異色の経歴を持っている。23歳のときに「ケガばかりのツアー生活に嫌気がさして」一度引退し、一年半後に再スタートして復活どころか、一度目のキャリアを上回る活躍を遂げてきた。

 シャラポワがドーピング違反発覚の前に出場した最後の大会は昨年のオーストラリアン・オープンだが、そこで予選から出場して本戦の2回戦まで駒を進めたセバストワの当時のランキングは113位。それが今では17位まで上昇している。シャラポワのほうはそのオーストラリアン・オープン当時5位だったが、復帰した4月にノーランキングから出直して今大会前に146位まで戻したところだ。

画像1: シャラポワ8強入りならず、セバストワが頭脳プレーでフルセット制す![USオープンDAY7]

 対照的な20ヵ月を過ごしてきたふたりの初対決は、第1セットをシャラポワが7-5で競り勝つが、第2セットは第4ゲームでセバストワがラブゲームでブレーク。そのリードを守って6-4でセットを奪った。
 
「パワーではかなわない。私は賢くプレーしようと思ったし、自信もあった」というセバストワはスライスやドロップショットなど多彩な攻めで揺さぶり、シャラポワは持ち前のハードヒットにもネットプレーにもミスが増えていった。

 第2セットが終わったあとに長めのブレークをとってフレッシュな状態を取り戻そうと務めたが、最初のゲームで2つのダブルフォールトをおかしてブレークを許し、第3ゲームで致命的な2度目のブレークダウンを喫した。

「3セット目に入ったら、集中力や体力などいろいろな要素を噛み合わせて戦わないといけない。試合数が十分でないことは影響したと思う。本能でプレーせずに、いろいろ考えすぎてしまった」

 0-3のチェンジエンドの際、トレーナーが入ってきたのはシャラポワの右手にできたマメを治療するためだった。試合後、影響はどれくらいあったのかと聞かれ、「まったく」と答えたが、その表情からそれが強がりであることを悟らせる術は、まるで女優だ。実際、影響がなかったとはいえないだろう。セバストワの14本に対して51本もおかしたアンフォーストエラーの数や、時に不自然なスイングも気になった。

 0-3から2ゲームを返したのが精一杯。期待以上とも、期待はずれとも言える4回戦で、元女王は力尽きた。

画像2: シャラポワ8強入りならず、セバストワが頭脳プレーでフルセット制す![USオープンDAY7]

「こんなに素晴らしい機会を与えられたことに感謝したい。ベストを尽くしたし、誇りに思う」

 大会中、概ねファンは温かくシャラポワを迎え入れたが、ロッカールームを中心に批判も渦巻いていた。優遇される分だけ、罰も受け続ける。それでも突き進むシャラポワの〈強さ〉だけは否定しようがない一週間の戦いぶり、そして佇まいだった。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)

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