男子決勝はナダル対アンダーソン、ジュニアの部で清水悠太/堀江亨が日本人ペアのグランドスラム初優勝へ王手 [USオープンDAY12]

「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月28日~9月10日/ハードコート)は第12日、男子シングルス準決勝が行われ、第28シードのケビン・アンダーソン(南アフリカ)が第12シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)を4-6 7-5 6-3 6-4で破り、決勝進出を決めた。

ケビン・アンダーソン(南アフリカ)

パブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)

 これをはるかにしのぐ注目度で迎えられたのが、もう一方の準決勝、第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)対第24シードのファン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)の一戦。第1セットをデルポトロが6-4 で奪ったが、第2セットからナダルがほぼ完璧なプレーを披露し、6-0 6-3 6-2と3セット連取で逆転勝ちを果たした。

ラファエル・ナダル(スペイン)

ファン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)

◇   ◇   ◇

 これまでグランドスラムはベスト8が最高だったアンダーソンの決勝進出は、故国の南アフリカのテニスにとっても歴史的な快挙だ。全米での南アフリカ選手の決勝進出は、オープン化以降初めて。グランドスラムでは1984年のオーストラリアン・オープンで決勝に進出したケビン・カレン以来となる。ちなみにカレンは翌年のウィンブルドンでも決勝に進出したが、このときはすでに国籍を取得していたアメリカの旗の下でプレーした。

 さて、この日は日本テニスにとっての“初”となる朗報もある。ジュニアの部の男子ダブルスで清水悠太(パブリックテニスイングランド)/堀江亨(関スポーツ塾・T)が、日本人ペアとしては初となるグランドスラム・ジュニアでの決勝進出を果たした。

 第3シードのトレント・ブライド(アメリカ)/ドゥアルテ・ヴァレ(ポルトガル)に6-2 7-6(5)のストレート勝ち。第2セットは先にブレークを許していたが、4-5の相手のサービング・フォー・ザ・セットでブレークバックに成功した。タイブレークは4-2から4-4に追いつかれる苦しい展開だったが、日本人ペアらしい細かい動きを生かして、このセットを取りきった。

 過去、USオープンで2014年に中川直樹(現プロ/IMG Tokyo)がオマー・ジェシカ(オーストラリア)と組んで優勝し、2006年には錦織圭(日清食品)がエミリアーノ・マッサ(アルゼンチン)と組んでフレンチ・オープン・ジュニアを制したが、日本人同士のペアでのグランドスラム優勝は過去にない。

 このことはふたりのモティベーションになっている。日本選手の中でもかなり小柄な163cmの清水と、173cmあってもかなり細身の堀江のペアは、見た目の印象として“ひ弱”だ。しかし、スピード感あるアグレッシブなプレーでキングサイズの外国人ペアも次々と破ってきた。

 ガッツを前面に出す堀江と、闘志を内に秘めるタイプの清水。ともにシングルスは初戦で敗れたが、清水は「ボレーが好きだし、パートナーがいるダブルスは心強い」と話し、数々の好成績を残している。

 グランドスラムこそ初めての決勝だが、同じ『グレードA』のカテゴリーであるオレンジボウルで同じく堀江とのペアで昨年優勝した。

「ここまできたら絶対もう一つ勝って優勝したい」と堀江。日本のジュニアテニスの歴史に新たなページをつくれるか。相手は第1シードのウー・イービン(中国)/シュ・ユーショウ(台湾)だ。

 なお、グランドスラム自己最高のベスト8に駒を進めた田島尚輝(TEAM YONEZAWA)は、第1シードのアクセル・ゲラー(アルゼンチン)に3-6 7-6(8) 4-6で惜敗。守りに入りすぎず、しっかり攻めるという課題に取り組んできた成果は出せたが、この日は相手がその攻撃力で一枚上だった。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)

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