ファイナルセットの死闘を制して20歳の高橋悠介が初V [第92回三菱全日本テニス選手権]

「三菱 全日本テニス選手権 92nd」(予選10月19~21日、本戦10月21~29日/賞金総額2846万円/東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/ハードコート)の本戦7 日目/最終日は男子シングルス決勝が行われ、第2シードの高橋悠介(三菱電機)が第5シードの江原弘泰(日清紡ホールディングス)を0-6 6-4 7-5で破り、20 歳にして全日本初優勝を飾った。

 雨で屋根の閉じられた有明コロシアム。第1セットをわずか27分、6-0で先取したのは江原だった。全日本の決勝という独特の舞台は、初優勝を飾った3年前にすでに経験している。初めての決勝から「緊張もあって少し硬かった」という高橋の立ち上がりを突いた鮮やかな先制パンチだった。

粘り強くも攻撃的なプレーを見せた江原

「このまま終わってしまったらもったいないと思った」と高橋が振り返る。楽しんでプレーする気持ちを思い出しつつ、目の前の1ポイント1ポイントに集中した。江原も「巻き返してくるのはわかっていたので、集中力を増して戦った」が、第2セットは力強いプレーを取り戻した高橋がワンブレークを守りきって、6-4で奪い返した。

 ファイナルセットは3-0で高橋がリードを広げる。しかし、ここで江原が左足太ももの痛みでメディカルタイムアウトをとった。よみがえった江原が最後の力を振り絞り、怒濤の4ゲーム連取で4-3と逆転に成功する。江原は5-4と優勝に近づいたが、そこから高橋が執念の3ゲーム連取で勝利の雄叫びをあげた。

優勝を決めた瞬間の高橋

「気持ちを強く持って最後まで戦い抜くことができた」と高橋。最後は江原のペースに引きずりこまれかけたが、それを凌いで勝利をものにした。「プレー内容にいろいろと思うところはあるけれど、プレッシャーのかかる中、5試合を勝ちきったことはうれしい」とプロ2年生が初優勝のよろこびを噛みしめた。

 悔しい敗戦となった江原だが、持ち味は十分に発揮した。左足太ももの痛みを抱えながらコートを走り回り、しぶといプレーで高橋をあと一歩のところまで追い込んだ。「悔しいけれど、自分なりにベストのテニスができたと思う」と江原。「最後は打ち抜かれました」と苦笑した。トータルポイントは高橋が84、江原が83。わずか1ポイントの差だった。

戦い終えた直後の高橋(左)と江原


写真◎井出秀人

(テニスマガジン編集部◎牧野 正)

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