初日はフェデラー、ズベレフが勝利 [ATPファイナルズ]

 世界トップ8が争う「Nitto ATPファイナルズ」(11月12〜19日/イギリス・ロンドン/賞金総額800万ドル/室内ハードコート)のラウンドロビン(2グループに分かれて総当たり戦)。

 ブレーク1回とミニブレーク----それが、ロジャー・フェデラー(スイス)が初戦に勝つために必要としたすべてだった。

 グランドスラム優勝歴19回のチャンピオンは、ジャック・ソック(アメリカ)に対する6-4 7-6(4)の勝利の最初のゲームで、ソックのサービスをブレークした。ふたりはその後、自らのサービスをすべてキープした。

「もちろん、戦術的プランは立てて臨んだ」とフェデラーは言った。「でも頻繁に、こういった初戦、特に年末には、いいサーブをすることだけで満足して戦術的計画を放り出してしまいがちだ。まずはそれ(サーブ)に集中し、それからリターンゲームではベストを尽くし、とにかくボールをコート内に返して、そこから始めるよう努めた」。

 より遅い時間帯の試合では、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)がウインブルドン準優勝者のマリン・チリッチ(クロアチア)を6-4 3-6 6-4で下した。

 世界ランキング2位の36歳、フェデラーは、この年末の大会が1970年に始まって以来、もっとも年齢の高い出場権獲得者だ。彼は今季、オーストラリアン・オープンとウインブルドンで優勝している。

 フェデラーはバックハンドのウィナーを決め、この威信ある大会でデビューを遂げたソックを第1ゲームでブレークした。

「第1セットの第1ゲームで、1回だけファーストサービスをミスしたんだ」とソックは言った。「僕はチャンスを手にしていたが、彼はあのフォアハンドで、僕を不利なポジションに追い込んだんだよ」。

 それが双方のプレーヤーにとって、第1セットでの唯一のブレークポイントだった。しかし第2セットでは、フェデラーはずっと多くの----正確に言えば5度のブレークポイントを手にした。ただし彼は、それをものにすることができなかったのだ。

 タイブレークで、フェデラーはミニブレーク(タイブレークにおいて相手のサービスから始まったポイントを取ること)を果たし、3-2とリードしたが、ソックはすぐに取り返した。しかし、フェデラーはもう一度ミニブレークして5-4とし、それでほぼ決着がついた。フェデラーは自分のサービスから最後の2ポイントを取り、ラウンドロビンの成績を1勝0敗とした。

 敗れはしたが、ソックにも輝いた瞬間はあった。例えば、第2セットのあるゲームで40-15とリードしているときに放った股下ショット。フェデラーはそれをとらえ、バックハンドのウィナーを打ち込んだ。

「彼がそれを打ったとき、クリーンヒットしていなかった。だからアウトになると思ったんだが、ラインのすぐ内側に落ちたんだよ」と、それでもそのゲームを取ったソックは、試合後に振り返った。「でも、やはりそれがロジャーなんだろうね。彼はまずいことはしない、すべてが入ってくるんだよ」。

 もうひとつの陽気なシーンは、ソックがフェデラーのために簡単な決め球のお膳立てであったはずのショットを打ったときに起こった。守備的スタンスをとって構える代わりに、ソックはボディショットから身を守るため、フェデラーに背を向けた。

 そして驚いたことに、フェデラーはそのイージーなチャンスボールをネットにかけてしまったのだ。

「あれには大きく気を散らされたよ」と、フェデラーはソックが背を向けたことについて、ジョークを飛ばした。「なぜって、(ソックのお尻が)すごく大きかったからね。あそこを狙って打つべきだった」。

 フェデラーがサービスを打っているとき、彼を止めるためにソックにできることはそうなかった。世界2位のスイス人は、第2セットの自分のサービスでは、わずか3ポイントしか落とさなかった。

 フェデラーはATPファイナルズで、記録的6度の優勝を遂げている。ヒューストンで2回、上海で2回、ロンドンで2回で、最後の優勝は2011年だった。

 2017年にフェデラーは、ツアー最多の7タイトルを獲得している。これは彼が8タイトルを獲った2007年以降で、もっともよい数字だ。

 ソックは、初めてこの大会の出場権を得た4人の選手のうちのひとりだ。彼に加え、ズベレフ、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)、ダビド・ゴファン(ベルギー)がその4人。もっとも、ゴファンは昨年控え選手として、ガエル・モンフィス(フランス)が途中棄権したため代役でラウンドロビンの3試合目に出場している。

 フェデラーの試合のあと、ラファエル・ナダル(スペイン)は世界ランキング1位として年を終えたことを祝すトロフィを授けられた。

 ナダルは、今大会の初戦となる対ゴファン戦を、月曜日に戦うことになる。同日のより早い時間帯の試合では、ディミトロフがドミニク・ティーム(オーストリア)と対戦する。(C)AP(テニスマガジン)

ラウンドロビン・グループ

グループ・ピート・サンプラス

ラファエル・ナダル(スペイン)[1]、ドミニク・ティーム(オーストリア)[4]、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)[6]、ダビド・ゴファン(ベルギー)[7]

グループ・ボリス・ベッカー

ロジャー・フェデラー(スイス)[2]、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)[3]、マリン・チリッチ(クロアチア)[5]、ジャック・ソック(アメリカ)[8]

○フェデラー 6-4 7-6(4) ●ソック
○ズベレフ 6-4 3-6 6-4 ●チリッチ

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