ゴファンがフェデラーを倒し、決勝でディミトロフと対戦 [ATPファイナルズ]

 世界トップ8が競う「Nitto ATPファイナルズ」(11月12~19日/イギリス・ロンドン/賞金総額800万ドル/室内ハードコート)のシングルス準決勝で、一度も負けたことのない男相手にセットを先取した第2シードのロジャ・フェデラー(スイス)は、7度目のATPファイナルズのタイトルに向けて軽快に走っているように見えていた。しかしダビド・ゴファン(ベルギー)には、別の考えがあったのである。

 第7シードのゴファンはこの土曜の準決勝で、劣勢を覆してキャリア最大の勝利を挙げ、2-6 6-3 6-4の逆転劇によって、より有力視されていた男を驚かせた。

「間違いなく、キャリア最高の勝利だよ」とゴファンは言った。彼はこれに先立ち、フェデラーに対する過去6対戦のすべてで敗れていたのだ。

「第1セットの終わりごろに、僕はよりよくボールを感じられるようになり始めていた。だから、もっとアグレッシブにプレーしたいと思ったんだけど、そうした甲斐はあったよ。僕のサーブはよくなり始め、フォアの調子もずっとよくなっていった」

 彼の日曜の決勝の相手は、第6シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)だ。ディミトロフは、第8シードのジャック・ソック(アメリカ)を4-6 6-0 6-3で下して勝ち上がった。

 フェデラーは、オーストラリアン・オープンとウインブルドンで、18番目と19番目のグランドスラム・タイトルを獲った今季、わずか4度しか負けていなかった。そのことを鑑みると、フェデラーが第1セットを取る過程で2度ブレークを果たしたとき、ゴファンにとって、幸先は極めて悪いように見えていたのだ。

 しかしながらフェデラーは、第2セットの第2ゲームでふたつのゲームポイントを浪費してしまった。ゴファンはフォアのパッシングショットを放ち、彼にとってこの試合初のブレークを果たしたのだった。

「0-1からブレークされてしまったが、あれは厳しいゲームだった」とフェデラーは言った。「あのゲームを切り抜けて1-1とし、プレッシャーをかけ続けるためのゲームポイントは何本もあったと思う。でもあのとき、ことは本当に彼にとってよい方向に回っていた」。

 ゴファンのラケットからウィナーが溢れだし、フェデラーの落ち着きを奪った。フェデラーは、彼らしくないミスを犯し始めていた。

 ゴファンが勝つには、第2、第3セットの双方で1ブレークするだけで十分だった。そして両セットでフェデラーが手にした唯一のブレークチャンスをつぶすのに、彼はこれまでになかったような根性を見せた。

 フェデラーの敗戦がこうも大きな驚きだったのは、彼がやってのけたシーズンがいかに目覚ましかったかという証拠でもある。

 しかし、ゴファンに対する負けも、ナダルに次ぐ2位で年を終えた事実も、彼が来たるオーストラリアン・オープンで優勝候補と見られることを、妨げはしなかった。

「僕にとって、本当に驚くべき1年だった」とフェデラーは言った。「最初から、基本的に終わりまで――今日まで、このレベルでプレーできていたことを、本当にうれしく思う」。

 またこの試合は、昨年代役として一部をプレーしたあとに、今年ATPファイナルズでフルのデビューを遂げたゴファンの、アップダウンの激しい一週間を象徴するようなものだった。

 ゴファンは、故障していたラファエル・ナダル(スペイン)を初戦で破り、次にはわずか74分でディミトロフに打ち負かされ、それからドミニク・ティーム(オーストリア)に対する快勝によって、準決勝に駒を進めた。

 ナダルとフェデラーを同じ大会で倒した史上6人目の男となったあと、ゴファンは「双方の勝利が、本当に特別なものだ」と言った。「ラファに勝ったのは初めてだった。それから、ここで僕にとっては初となる準決勝進出を果たし、こうも大きな大会で初めてフェデラーを倒した。それは完璧な瞬間だった」。

 ディミトロフは、ソックに挽回勝ちしたあと、キャリア最高の3位で年を終えることを確実にした。

 これに先立つ2試合を、わずか4ゲームしか落とさずに制していたディミトロフの優勝の資格は、ソックの手によってずっと厳しい審問にかけられた。

準決勝で対戦したジャック・ソック(左)とグリゴール・ディミトロフ(右)
LONDON, ENGLAND - NOVEMBER 18: Grigor Dimitrov of Bulgaria shakes hands at the net after his three set victory against Jack Sock of the United States in their semi final match at the Nitto ATP World Tour Finals at O2 Arena on November 18, 2017 in London, England. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

 ディミトロフは、ATPファイナルズ初出場ながら決勝に至った、2007年のダビド・フェレール(スペイン)以来の選手となった。

 ゴファンは水曜のラウンドロビンでの対戦で、わずか2ゲームしか取れずにディミトロフに敗れていたため、決勝でもアンダードッグと見られることになるだろう。

 もし優勝すれば、キャリア最高の5位に上昇することになるゴファンは、「前対戦とは違ったものになるよう願っているよ」と言った。「今日プレーしたようなテニスをプレーできるよう願う。僕はよりアグレッシブであるよう、また思い切ってウィナーを狙い、トロフィを狙いにいくよう努めるよ」。(C)AP(テニスマガジン)

※トップ写真はダビド・ゴファン
LONDON, ENGLAND - NOVEMBER 18: David Goffin of Belgium celebrates to the crowd after his three set victory against Roger Federer of Switzerland in their semi final match the Nitto ATP World Tour Finals at O2 Arena on November 18, 2017 in London, England. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

シングルス決勝

ダビド・ゴファン(ベルギー)[7] vs グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)[6]

シングルス準決勝

○ダビド・ゴファン(ベルギー)[7] 2-6 6-3 6-4 ●ロジャ・フェデラー(スイス)[2]

○グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)[6] 4-6 6-0 6-3 ●ジャック・ソック(アメリカ)[8]

シングルス ラウンドロビン

グループ・ピート・サンプラス

ドミニク・ティーム(オーストリア)[4]、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)[6]、ダビド・ゴファン(ベルギー)[7] 、パブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)
※カレーニョ ブスタは、ラファエル・ナダル(スペイン)[1]が右膝の故障により欠場したため代替出場

○ディミトロフ 6-3 5-7 7-5 ●ティーム
○ディミトロフ 6-0 6-2 ●ゴファン
○ディミトロフ 6-1 6-1 ●カレーニョ ブスタ
○ゴファン 7-6(5) 6-7(4) 6-4 ●ナダル
○ゴファン 6-4 6-1 ●ティーム
○ティーム 6-3 3-6 6-4 ●カレーニョ ブスタ

グループ・ボリス・ベッカー

ロジャー・フェデラー(スイス)[2]、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)[3]、マリン・チリッチ(クロアチア)[5]、ジャック・ソック(アメリカ)[8]

○フェデラー 6-4 7-6(4) ●ソック
○フェデラー 7-6(6) 5-7 6-1 ●ズベレフ
○フェデラー 6-7(5) 6-4 6-1 ●チリッチ
○ソック 5-7 6-2 7-6(4) ●チリッチ
○ソック 6-4 1-6 6-4 ●ズベレフ
○ズベレフ 6-4 3-6 6-4 ●チリッチ

ダブルス決勝

ルーカシュ・クボト(ポーランド)/マルセロ・メロ(ブラジル)[1] vs ヘンリー・コンティネン(フィンランド)/ジョン・ピアース(オーストラリア)[2]

ダブルス準決勝

○ルーカシュ・クボト(ポーランド)/マルセロ・メロ(ブラジル)[1] 6-1 6-4 ●ライアン・ハリソン(アメリカ)/マイケル・ビーナス(ニュージーランド)[8]

○ヘンリー・コンティネン(フィンランド)/ジョン・ピアース(オーストラリア)[2] 7-6(2) 6-2 ●ジェイミー・マレー(イギリス)/ブルーノ・ソアレス(ブラジル)[4]

ダブルス ラウンドロビン

グループ・ウッドブリッジ/ウッドフォード

ルーカシュ・クボト(ポーランド)/マルセロ・メロ(ブラジル)[1]、ジェイミー・マレー(イギリス)/ブルーノ・ソアレス(ブラジル)[4]、ボブ・ブライアン/マイク・ブライアン(ともにアメリカ)[5]、イバン・ドディグ(クロアチア)/マルセル・グラノイェルス(スペイン)[7]
※オリバー・マラック(オーストリア)/アンテ・パビッチ(クロアチア)はイバン・ドディグ(クロアチア)/マルセル・グラノイェルス(スペイン)[7]の代替ペア。グラノイェルスが腰痛のため、ドディグ/グラノイェルスは欠場。

○クボト/メロ 7-6(2) 6-4 ●ドディグ/グラノイェルス
○クボト/メロ 6-4 6-3 ●ブライアン/ブライアン
○マレー/ソアレス 6-1 6-1 ●ドディグ/グラノイェルス
○マレー/ソアレス 6-2 6-4 ●クボト/メロ
○ブライアン/ブライアン 7-5 6-7(3) [10-8] ●マレー/ソアレス
○マラック/パビッチ 6-4 6-4 ●ブライアン/ブライアン

グループ・エルティン/ハールヒュース

ヘンリー・コンティネン(フィンランド)/ジョン・ピアース(オーストラリア)[2]、ジャン ジュリアン・ロジェ(オランダ)/オリア・テカウ(ルーマニア)[3]、ライアン・ハリソン(アメリカ)/マイケル・ビーナス(ニュージーランド)[8]
※レイブン・クラーセン(南アフリカ)/ラジーブ・ラム(アメリカ)はピエール ユーグ・エルベール(フランス)/ニコラ・マウ(フランス)[6]の代替ペア。エルベールが腰痛のため、エルベール/マウは欠場。

○ハリソン/ビーナス 6-4 7-6(8) ●コンティネン/ピアース
○ハリソン/ビーナス 6-7(4) 6-4 [10-5] ●エルベール/マウ
○ハリソン/ビーナス 6-3 7-6(5) ●ロジェ/テカウ
○コンティネン/ピアース 7-6(3) 7-6(6) ●ロジェ/テカウ
○コンティネン/ピアース 2-6 6-1 [10-8] ●クラーセン/ラム
○エルベール/マウ 1-6 7-6(7) [10-8] ●ロジェ/テカウ

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