大会運営の暑さ対策に選手たちの不満が爆発 [オーストラリアン・オープン]

「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月15~28日/ハードコート)の大会4日目、気温が摂氏40度近くまで上昇する中、猛暑の中で戦った選手たちから不満の声が上がっている。  

 上半身裸のまま氷の入ったタオルを首に巻いてベンチに座る選手、コート上で少しでも日陰を見つけて入ろうとする選手も見られた。

 大会4日目、強烈な熱波がオーストラリアン・オープンを襲った。デイセッションに試合を組まれた選手にとって最悪な条件だった。暑い上に観客もあまり入らなかった。

「こんな試合を戦うことになるとは思わなかった。テレビで見るほうがいいね。それか、ビーチにいてビールを飲むかだな」と疲弊した表情で語ったのは、2回戦でカレン・ハチャノフ(ロシア)と4時間近い熱戦を戦ったフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)だ。

 オーストラリアン・オープンが暑くなるのは例年のことで、3つのメインコートでは40度以上になるとレフェリーの判断で屋根を閉じてもよいというヒートルールがある。

 この日ほとんどの時間に気温が40度を若干下回ったため、試合が中断されることはなかった。ただ、それは暑さが選手たちに影響を及ぼさなかったという意味ではない。

 ガエル・モンフィス(フランス)はノバク・ジョコビッチ(セルビア)との2回戦で、かなり暑さに苦しんでいた。ポイント間に息を切らして何度も両手を膝につき、早くベンチに戻るために、ジョコビッチのサービスを返そうとしない場面もあった。

 試合後、モンフィスは選手にとってリスクが大きすぎる環境であり、新たな25秒ルールは見直すべきだと主張した。

「もうフラフラだよ。試合中に40分ぐらい、軽い熱中症だったと思う。あのとき、大会オフィシャルは、何か動きを見せるべきだったんじゃないか。例えば、セット間の休憩を5分間とるなどして、柔軟に対応するべきだ」ツアーの中でももっとも身体能力に優れた選手のうちのひとりである、モンフィスは提言した。

 モンフィスと対戦したジョコビッチも、あの試合は「あまりにも酷い」と相手の意見に同意した。「大会役員は、気温が下がるまで試合開始を数時間遅らせるべき日もあることに気づかなければならない。チケットの問題があるのはわかる。でも、プレーできなければファンは喜ばない。健康を害すほどのコンディションだった」と指摘している。

コートの熱が足の裏から伝わるのを防ぐため、テーピングを巻いていたムグルッサ

 しかしながら、大会4日目に暑さの影響でリタイヤした選手はおらず、暑さにさほど影響されない選手もいた。シェイ・スーウェイ(台湾)は2回戦でウインブルドン女王のガルビネ・ムグルッサ(スペイン)を倒したのは、暑さが優位に働いたと思っている。

「暑さが厳しくなるのはわかっていた。でも、“私はアジアの出身だから、少しくらいの暑さなら平気。ほかの選手たちより有利かも”と思った」という。

 実際、試合中にムグルッサはコートが熱すぎて、足の裏にテーピングを巻いてもらうシーンも見られた。「どのくらい熱いのかわからないけど、酷いものだった。物凄く熱かった!」と驚きを隠せなかった。

 リカバリーのため、ほとんどの選手がアイス風呂に入るという中、シェイだけは違った方法をとっている。鍼治療が効果的だという。

「鍼が好きなわけじゃないの。でも大きな助けになるし、あとはマッサージを受けて、美味しいものを食べれば回復するわ」

 5日目はさらに気温が上昇し、42度に達するとの予報が出ている。モンフィスは、その中でプレーする予定の選手たちにアドバイスを送った。

「グッドラック! あとは、賢明な判断をすることだ。ギブアップすることは恥なんかじゃないぞ!」(C)AP(テニスマガジン)

※写真はノバク・ジョコビッチ(セルビア)との試合で、ゲーム間に水を浴びるなど必死に体を冷やそうとするガエル・モンフィス(フランス)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 18: Gael Monfils of France attempts to cool down between games in his second round match against Novak Djokovic of Serbia on day four of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 18, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Scott Barbour/Getty Images)

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