「夢じゃない?」4回戦でティームを下したサングレン [オーストラリアン・オープン]

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「オーストラリアン・オープン」(1月15~28日/ハードコート)の大会8日目。

 オーストラリアン・オープンでアメリカ男子最後の“生き残り”は、準々決勝に勝ち進んでいる。テニス・サングレン(アメリカ)は大会が始まるまで、グランドスラムで勝利を挙げたことも、トップ10プレーヤーを倒したこともなかった。だが、2回戦で2014年王者のスタン・ワウリンカ(スイス)から勝利を挙げ、月曜日の4回戦では、第5シードのドミニク・ティーム(オーストリア)を倒す大番狂わせを演じた。

 今季はランキング97位でスタートした26歳のサングレンは、第4セットのマッチポイントを逃したが、最終的には6-2 4-6 7-6(4) 6-7(7) 6-3でティームを下した。

 ATPツアーでわずか2試合しか勝ったことのない選手が「どうして自分を信じてグランドスラムの準々決勝まで進めたのか?」という質問に対し、サングレンはシンプルな答えを口にした。

「落ち着いているように意識している。落ち込みすぎず、かといって喜びすぎることもなく、気持ちを下げ過ぎることもない」

 さらにサングレンは続けた。

「今は自分の気持ちをコントロールできている。自分は感情的になりやすい人間だから、そこがすごく重要なポイントで、簡単なことではない。感情的になると、テニスではあまりうまくいかないものだ。特に5セットマッチではね。感情的になって、余計なエネルギーを使うのはもったいないことだ」

 過去20年間で、オーストラリアン・オープンのデビュー戦で準々決勝に残ったのは、2011年のアレクサンドル・ドルゴポロフ(ウクライナ)以来2人目のことである。それ以前では、1998年にニコラ・エスクード(フランス)が達成している。

 サングレンの過去のグランドスラムの成績は、ほとんど取るに足らないものだ。昨年のフレンチ・オープンとUSオープンはワイルドカード(主催者推薦枠)で出場して1回戦敗退。そのほかは13度予選で敗退しており、その中には2013年から16年までの全豪予選も含まれる。

 今回メルボルンパークに来る前も、早期敗退が続いた。ATP250のプネー(インド)とオークランド(ニュージーランド)は、ともに1回戦負けだった。

 だが今大会では、第8シードのジャック・ソック、第13シードのサム・クエリー、第16シードのジョン・イズナーといったアメリカの上位シード陣は早期敗退し、サングレンだけがベスト8に残った。

 試合後、サングレンに対して、彼のSNSでの発言や、物議を醸している右翼の発言をリツイートしたり、フォローしていることについての質問があった。

「いいかい、ツイッターで誰をフォローしていようがまったく関係ないと思う。それについていろいろ憶測することは馬鹿げている。“彼は誰々をフォローしているから、誰々が言っていることをすべて信じている”というのはおかしいと思うんだ」

 さらに、極右の活動を支持しているかとの質問に対しては、「いいや、支持していない。いくつかの内容が面白いと思うものはあるけど、支持はしていない。敬虔なクリスチャンとして誓うよ、そのようなものはまったく支持していないとね」。

 その翌日、2016年まで遡ってサングレンのツイートがいくつか削除されている。

 水曜日に行われる準々決勝でサングレンは、全豪で6度の優勝を誇るノバク・ジョコビッチ(セルビア)をストレートで下したチョン・ヒョン(韓国)と対戦する。

 2週間前にオークランドで、サングレンはチョンに3-6 7-5 3-6で敗れているが、その敗戦で学んだことも多く、自身のプレーを改善してきたという。

「レベルの高いゲームだったと思う。あの対戦の中で、彼と互角に打ち合うには、もっともっと上達しなければならないと感じた。逆に、あの試合で自分も高いレベルでプレーできるんだという自信にもなった。そのことは今大会に臨むに当たり、大いにプラスになっている。チョンと戦えたのだから、もしかしたらより大きな舞台での5セットマッチで、ほかの相手に対してもやれるのではないかという手応えをつかんだんだ」

 今大会の4回戦で敗れたティームも「僕のプレーは悪くなかった。ときどきあるけど、“相手を称えるしかない”と思うしかないような試合だった。彼のサービスがすごくよかったから、リターンするのが難しかった。それに、あまりアンフォースドエラーをしないから、ポイントを終わらせるのが大変だった。4時間の試合の間、ずっとレベルが落ちることもなかった」とサングレンの実力を高く評価している。

 現在のところ、サングレンは夢の中を生きているようだ。本当に。

「最初の3試合は予想以上にできたと感じている。でも、ティームとの試合は、今までになかったほど、全力で戦い自分の力を出し尽くした。試合中“夢じゃないのか”と思って顔をつねってみたよ。今もし夢から覚めるのなら、それはとてつもなく残念なことだよ」(C)AP(テニスマガジン)

※写真は4回戦で第5シードのドミニク・ティーム(オーストリア)を倒したテニス・サングレン(アメリカ)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 22: Tennys Sandgren of the United States celebrates winning match point in his fourth round match against Dominic Thiem of Austria on day eight of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 22, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Michael Dodge/Getty Images)

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