ロジャー・フェデラー(スイス)がひとたびグランドスラムのシングルス・タイトルを20度勝ち獲った最初の男になると、彼への質問は別の話題に移った。

 グランドスラムのタイトル獲得数で最多記録は、アマとプロの時代にわたり、マーガレット・コート(オーストラリア)が樹立した24度だ。セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は昨年、オーストラリアン・オープンで姉のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)を倒して23度目のグランドスラム・タイトルを獲得し、オープン化以降の時代の新記録を打ち立てた。

 12ヵ月前のその勝利はーーそれは彼女が、妊娠と9月の出産のため休息をとる前の最後の大会だったーーずっとグランドスラム大会優勝から遠ざかっていたフェデラーの渇きの期間に、メルボルンパークで終止符が打たれた出来事と時を同じくした。

 2017年のオーストラリアン・オープン決勝における、フェデラーのラファエル・ナダル(スペイン)に対する勝利は、2012年ウインブルドン後から続いていた彼のグランドスラム・タイトルなしの期間を終わらせた。彼は続いてウインブルドンでもタイトルを獲り、昨年を世界2位で終えていた。

 フェデラーがほぼ10年ぶりにグランドスラム・タイトル防衛に成功した今ーー彼は2004年から2008年までUSオープンを5連覇したーー人々は、彼がマーガレット・コートの記録、24度に追いつくチャンスについてあれこれ思いを巡らせている。

「正直言って、『20』が可能だなんて思っていなかった。でも……いいや、それは遠すぎるよ」とフェデラーは言った。「それらの数字は超現実的だ。驚くべきものだ。僕は『20』でとどまってもすごく幸せだよ。なんて素晴らしい瞬間なんだろう」。

 フェデラーは日曜日の夜、ロッド・レーバー・アリーナでマリン・チリッチ(クロアチア)を6-2 6-7(5) 6-3 3-6 6-1で倒したあと、トロフィを受け取りながら涙を流し、感情を隠そうとはしなかった。観客の中に座っていた偉大なロッド・レーバー(オーストラリア)さえが、記念にその様子を写真におさめずにはいられなかったほどだ。

 36歳と173日にして、フェデラーはオープン化以降の時代にグランドスラム・タイトルを獲得した、史上2番目に年齢の高い選手となった。1番は、37歳で1972年オーストラリアン・オープンに優勝したケン・ローズウォール(オーストラリア)である。

 四児の父でもあるフェデラーは、参加する大会を注意深くプランニングし、故障がない状態を保てたことが、大きな大会でタイトルを狙い続けることを可能にしたのだと言った。

「僕はここ12ヵ月で3つのグランドスラム大会で優勝した。自分でも信じられない」とフェデラーは言った。「僕はただ、いいスケジュールを保ち、ハングリーであり続ける。そうすれば、たぶんよいことは起こり得るんだ」。

 以下は、フェデラーとともに、今年のオーストラリアン・オープンを終えて、覚えておきたいポイントだ。

マリンの時

 マリン・チリッチ(クロアチア)は、準々決勝のナダルに対する勝利を含めた決勝への進撃のおかげで、世界ランキングで3位に浮上した。これは彼にとって、ここ3つのグランドスラム大会で2度目の決勝進出であり、彼は、2014年USオープンで獲得したグランドスラム初タイトルに、ほかのタイトルを加えられるという自信を膨らませつつある。

ウォズニアッキの優勝

 第2シードのカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)は、厳しい3セットの戦いの末に第1シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)を押さえ、ついにグランドスラム・チャンピオンとなった。ウォズニアッキは彼女にとって43度目のグランドスラム大会をプレーしていた。

 今回の勝利は、ウォズニアッキを6年ぶりに世界1位の座に押し上げた。彼女は『一度もグランドスラム大会で優勝することなしに世界1位の座につくことはどんなものだったか』という質問に、もはやその質問に二度と答えなくて済むことをこの上なくうれしく思う、と言った。

ハレプの心

 26歳のルーマニア人は、初めて第1シードとしてグランドスラム大会をプレーした。彼女は3回戦と準決勝でマッチポイントをセーブしなければならず、今大会に出場していたどの女子選手よりも多くの時間をメルボルンパークのコート上で費やした。

 ハレプは最後に、グランドスラム大会決勝での敗戦に折り合いをつけなければならなかった。しかし、これは彼女にとって、フレンチ・オープン以外の初のグランドスラム決勝であり、このことは彼女の決意を強め、自信を高めるはずだ。彼女は過去2回のオーストラリアン・オープンで1回戦負けを喫していた。

トップはタフ

 セレナがプレーを休止してからというもの、4つのグランドスラム大会で4人の異なる選手が優勝しており、そのうち3人(ウォズニアッキ、エレナ・オスタペンコ、スローン・スティーブンス)は、グランドスラム初優勝を飾った。2017年には5人の女子選手が世界1位の座に就き、今年も、早くも首位が代わった。※注:セレナはすでにカムバックを発表している。

ランキングの上昇

 今回の活躍で目覚ましくランキングを上げた選手の中には、アンジェリック・ケルバー(ドイツ)がいる。元世界1位で、2度グランドスラム大会で優勝したことのあるケルバーは、準決勝に進出したおかげで、トップ10に返り咲いた。エリース・メルテンス(ベルギー)は、初めてオーストラリアン・オープンで準決勝に進出したあと、37位から20位に上昇した。

欠けていた男たち

 故障のため他のスターの何人かがコート外となった中、フェデラーとナダルが、ここ5つのグランドスラム大会で交互に優勝してきた。

 オーストラリアン・オープン優勝歴6度のノバク・ジョコビッチ(セルビア)は右肘の故障による6ヵ月の休止から復帰したが、チョン・ヒョン(韓国)に驚かされることになった。左膝の故障に苦しんでいた2014年チャンピオンのスタン・ワウリンカ(スイス)は早期敗退した。5度準優勝していたアンディ・マレー(イギリス)と、日本の錦織圭(日清食品)は、ケガのため出場しなかった。

 チリッチに対する準々決勝の第5セットで腿上部の筋肉の問題のためにリタイアしたナダルは、ツアー運営者は故障者の多さに注意を払い、何がそれを引き起こしているかを調査する必要がある、と言っている。

チョン・ヒョンの突撃

 21歳のチョン・ヒョンは、グランドスラム大会の準決勝に進出した初の韓国人プレーヤーとなり、大きな注目を集めた。先の11月に「Next Gen ATPファイナルズ」の優勝者となった若者は、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、ジョコビッチを倒したが、足のマメの上にできたマメーーつまりひどいマメのせいで、フェデラーに対する準決勝の第2セットで棄権しなければならなかった。彼はこの経験からさらに多くを学ぶはずだ。

そして天候

 テニスファンと専門家たちが、かつてWGBT(暑さ指数/湿球黒球温度)が何だかを知らなかったとしても、今は(おそらく)知っているはずだ。それは湿度、輻射熱、気温を取り入れた指標で、これによってオーストラリアン・オープンではヒートポリシー・ルールが施行されるか否かが決まる。

 トーナメント・レフェリーのウエイン・マクウェンは、気温が40度に至り、WGBTが32.5度に至ったときに、屋根を閉じるという選択肢を考慮することになる。彼は最終日に自分の決定権を行使して屋根を閉じ、おかげで男子決勝はインドアで行われた。テニス・オーストラリアは声明文の中で「今年の大会の他のケースでWBGTがこの〝しきい値″に至ったことはなかった」言っている。

※写真は優勝から一夜明けてフォトセッションに参加したロジャー・フェデラー(スイス)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 29: Roger Federer of Switzerland poses with the Norman Brookes Challenge Cup after winning the 2018 Australian Open Men's Singles Final, at Government House on January 29, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Michael Dodge/Getty Images)

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