アダッド マイアが2週連続優勝でトップ30入りへ、疲労困憊のジャン・シューアイは決勝を途中棄権 [WTAバーミンガム]
WTAツアー公式戦の「ロスシー・クラシック・バーミンガム」(WTA250/イギリス・ウェストミッドランズ州バーミンガム/6月13~19日/賞金総額25万1750ドル/グラスコート)の女子シングルス決勝は、わずか37分で終りを告げた。ベアトリス・アダッド マイア(ブラジル)が第1セット0-2から挽回し、5-4とリードしたところでジャン・シューアイ(中国)が棄権したのだ。
とは言えふたりにとって、これは長い1日だった。土曜日に降った雨のせいで準決勝が日曜日に持ち越され、ふたりは決勝前に2時間を超えるフルセットマッチを戦っていたからだ。第8シードのジャンが第6シードのソラナ・シルステア(ルーマニア)に4-6 6-1 7-6(5)で逆転勝利をおさめ、 アダッド マイアは第2シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)を6-3 2-6 6-4で倒していた。
休息を挟んで同日に行われた決勝では、3-3からブレークしたアダッド マイアが5-4から自分のサービスゲームを始めようとしていたときにジャンが棄権を決めた。ジャンは直前のチェンジコートで、メディカルスタッフの診察を受けていた。
ジャンはアダッド マイアにとって、やや特別な存在でもあった。ふたりは前週のノッティンガムでペアを組み、ダブルスでタイトルを獲得していたのだ。
思わぬ形で優勝が決まったアダッド マイアは表彰式で、「あなたが今週に見せてくれた活躍は素晴らしいものでした。先週は一緒にウォームアップをし、ダブルスをプレーして毎日楽しかったわ。あなたに強くしてもらったようなものよ」とジャンに言葉を送った。
「ツアーで友人を持つことはできるとあなたに教えてもらいました。あなたは素晴らしいテニスプレーヤーであり、特別な人です。テニス(の試合)は過ぎ去っていくものだけど、人間的なものは決して消えない。あなたという人間を祝福したいわ」
エリース・メルテンス(ベルギー)とのペアで第1シードでダブルスに出場していたジャンはこのあとに決勝を戦う予定になっていたが、ジャンが棄権したため第2シードのリューメラ・キッシャノック(ウクライナ)/エレナ・オスタペンコ(ラトビア)の不戦勝となった。
単複で決勝に勝ち上がったことで既に多くの試合をこなし、さらに同日に準決勝を戦っていたジャンは「2時間半もシングルスの試合を戦ったあとでプレーするのは本当に大変だった。今週は既に7試合もプレーしていたし…。本当に疲れてしまい、もう体が動かないの。申し訳ありません」とジャンは試合後に説明した。
一方で前週のノッティンガムで単複2冠に輝いていたアダッド マイアにとって、この2週間は目覚ましいものとなった。この活躍で彼女は週明けに世界ランク自己最高をさらに更新し、29位に浮上することが確実となった。
2020年に薬物検査で陽性と判定され、サプリメントに禁止薬物が混入していたせいで意図的な接種ではないと認められはしたものの10ヵ月の活動停止を命じられていたアダッド マイアは、長い登り坂を這い上がってきた。
「私たちがここ2年に何を潜り抜けてきたか、口で説明するのは難しいわ。もし私がこの決意を持っていなかったら、切り抜けるのは不可能だった」とアダッド マイアは試合後に明かした。
「私は今ここにいて、皆さんにプレーを観てもらえることが本当にうれしいの。私の人生で起きたすべてのことは、私をより強くしてくれたわ」
女子ダブルス優勝のリューメラ・キッシャノック(ウクライナ/右)とエレナ・オスタペンコ(ラトビア)(Getty Images)
写真◎Getty Images
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