フェデラーが引退を表明、来たるレーバー・カップが最後の大会に

写真は2017年ウインブルドンで男子の最多記録となる8度目の優勝を飾ったロジャー・フェデラー(スイス)(Getty Images)


 ケガと手術からの回復に励んでいたロジャー・フェデラー(スイス)が9月15日に自身のSNSを通して引退を表明し、テニスファンたちに大きな衝撃を与えた。

 ここ3年に渡ってケガから回復しようとしてきたフェデラーは同時に自分の体の限界にも気付いていたのだと言い、身体がそのときがきたことを告げたのだと説明した上で来週のレーバー・カップが彼がプレーする最後の大会になると話した。

「君たち皆が知っている通り、ここ3年は僕にケガと手術という形の試練を課した。僕はフルに競技できるレベルに戻るため懸命に努力を積んできたが、同時に自分の体ができることとその限界に気付いており、このところ身体からのメッセージは明瞭だった。僕は41歳だ。ここ24年に渡って1500試合以上をプレーした。テニスは僕を、夢見たこともないほど寛大に扱ってくれた。僕は今、競技者としてのキャリアを終えるときがきたのだということを認めなければならない」とフェデラーはSNSに投稿した音声メッセージを通してコメントした。

「来週ロンドンで行われるレーバー・カップが、僕がプレーする最後のATPイベントとなる。将来的にもっとテニスをプレーするだろうが、それはグランドスラム大会やツアーにおいてではない」

 輝かしいキャリアを送ったフェデラーは、ATPランキングで310週に渡って世界ナンバーワンの座に就いた。これは1973年に創設されたこのランキングシステムの歴史上でノバク・ジョコビッチ(セルビア)に次ぐ2番目に長い記録だが、フェデラーは連続世界ランク1位の記録では未だトップにいる。彼は2004年2月2日から2008年8月18日まで、最長記録である237週連続で世界1位の座を守っていた。

 ATP(男子プロテニス協会)の会長を務めるアンドレア・ガウデンツィ(イタリア)は、「ロジャーがテニスに与えたインパクト、彼が築いた遺産はいくら強調してもしきれない。プロとして過ごした24年に渡り、ロジャーは彼に憧れた何百万というファンたちをテニスに引き込んだ。彼は驚異的な新時代の成長を先導し、我々のスポーツの人気を高騰させた。そんなふうに自らの分野を超越したアスリートはそういない。ロジャーは我々皆に、同じスポーツに関わっていることを誇らしく、また幸運だと感じさせてくれた」と述べた。

 2019年フレンチ・オープンを制したフェデラーは『生涯グランドスラム(キャリアを通じて四大大会全制覇)』を達成し、その1ヵ月後のウインブルドンで15回目のグランドスラム制覇を果たしてピート・サンプラス(アメリカ)が保持していた当時の最多記録を破った。彼はそこから更に進撃し、グランドスラム大会で合計20タイトル(全豪6回、全仏1回、ウインブルドン8回、全米5回)を獲得した。男子でこれを上回る記録を持つのは、22勝のラファエル・ナダル(スペイン)と21勝のタイトルのジョコビッチしかいない。

 フェデラーはまたATPファイナルズに18回出場して歴代最多となる6度栄冠(59勝17敗)に輝き、ATPマスターズ1000大会では28勝を挙げた。

 22歳だった2004年2月に初めて世界に頂点に上り詰めたフェデラーは、そこから比類なき覇権を謳歌した。彼は2004年から2006年まで247勝15敗という驚くべき戦績を残して34のタイトルを獲得し、トップ10プレーヤーに対して24連勝をマークした。

 そしてそこにナダルとジョコビッチがフェデラーと合流し、『ビッグ3』による驚くべき時代がスタートしたのだ。

 より最近ではフェデラーが大いなる決意と反発力を見せ、2016年に膝の手術を受けたあとカムバックして2017年に目覚ましいプレーを見せた。まずオーストラリアン・オープン決勝でナダルを倒し、ウインブルドンで5年ぶりに王座を奪還した。彼はまた36歳だった2018年2月に史上最年長で世界1位となり、キャリアを通して一度も試合の途中で棄権したことがなかった。

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写真◎Getty Images

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