近藤勝己コーチ「自分のパフォーマンスが上がって“これはいいぞ”と。お客さんのパフォーマンスも上がって“間違いないぞ”と思った」
近藤勝己コーチの場合
── 一部のコーチ陣から手塚先生の指導を取り入れたいという声が上がり、導入されることになったと聞きました。ヘッドコーチとして最初はどう思いましたか。
近藤 最初はピンときませんでした。実際にどこまで使えるものなのか、お金を払ってテニスのレッスンを受けに来ている方たちに対して(体操を)導入することによってレッスンの流れがとまってしまわないかといったことを思いました。グループレッスンよりも個人レッスン向きではないかといったことも考えました。
── 研修が始まって考え方は変わりましたか。
近藤 はい。まず、自分のパフォーマンスが上がったんです。僕はベテランの試合に出ていますが、同年代は粘ることが試合に勝つための方法となっています。ただ、トップ選手はエースが多く、自分からポイントを取りにいく選手たち。そこに上りつめるためには粘ってミスをしない、と考えるのが
これまででした。ところが、アスリート体操の研修が始まってから、手塚先生にどうなりたいかと尋ねられたとき、僕はエースを取りたいと言いました。だったらそれをやりましょう、と。体の使い方を教えていただき、練習の中にも取り入れていき、すると変化を感じるようになったんです。試合に出たらエースが取れるんです。
── 具体的に何が起きたのですか。
近藤 チャンスボールがきて攻めようと思ったときに、体が勝手に動きました。その大会で僕は優勝したのですが、試合を見ていた友人が「今まであんなふうにエースを取ったことあった?」「あんなに打点高かった?」と言いました。対戦相手からは「ボールが伸びている」と言われたんです。そのとき、「これか!」と思いました。無意識まで落とし込んだら体は勝手に動く。間違いなくこれはパフォーマンスにいいものだとわかりました。
── 現在、レッスンに取り入れていますか。
近藤 僕のお客さんは試合に出ている、キャリアのある方が多く、テニスができあがっています。その方たちにどうやってアスリート体操を落とし込もうかと考えた結果、僕自身が取り入れたら、こんなふうにパフォーマンスが上がったいうことを伝え、僕を信じてついてきてほしいと熱意を持って言いました。レッスン時間は90分。その中に、いつどのように落とし込むかは、綿密に計画を立てて行っています。すでにびっくりするくらい、みなさんが変わってきています。
── これを伝えられてよかったなと思うことは。
近藤 サークルスクラッチはサーブにすごい効果があります。サーブの指導は特に悩みが多いものですが、その答えがサークルスクラッチにありました。運動から入って、あとでラケットとボールを持てば結果が得られるなんて、すごいことです。
── テニスコーチ初のパフォーマンス・コーディネーターが誕生して、スクール全体が変わるという感覚はありますか。
近藤 あります。コーチ研修はずっと続いていますが、僕が今考えていることはアルバイトコーチを含めたコーチ教育です。彼らもコートに立ってお客さんを指導しますから、その指導力をどう上げるかが課題です。彼らもきっと、最初は僕と同じことを思うと思うんですが、そこで僕は自分の体験を話し、間違いなくいいものであるということを伝えて、体感してもらえるように引っ張っていくことが仕事だと思います。僕らテニスコーチがこれからテニスの中に、アスリート体操を取り入れる経験を積んで、その情報を共有し、すり合わせていったら、たぶんフェローズは日本一の最強スクールになると思います。
(テニスマガジン)
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