地元の静岡県に帰ってくると、自然と笑みがこぼれてくる。

「静岡って、空気が美味しいんだな……」

 住んでいたときには当たり前だったことが、離れて初めて貴重なものと気付いたのだと、吉岡希紗(四日市商業高校)はふわりと笑った。

画像: 写真は2016年大会での吉岡希紗(写真提供◎大会実行委員会、撮影◎てらおよしのぶ)

写真は2016年大会での吉岡希紗(写真提供◎大会実行委員会、撮影◎てらおよしのぶ)

 生まれ育った裾野市を吉岡が離れたのは、高校に進学した1年半前のことである。テニスのキャリアを追い求め、強豪の四日市商業高校に進学。昨年はインターハイ・シングルスベスト8、2年生にしてエースを務める今年は、団体戦で悲願の全国制覇を成し遂げた。
 
 そのように高校テニス界で活躍する吉岡だが、進学したばかりのころは、ホームシックに悩まされたと打ち明ける。地元の友人たちの話を聞くたびに、微かな後悔が胸に挿しもする。

「やっぱり私も、みんなと一緒に地元の高校に行けばよかったかな……」

 テニスで勝てない日が続くと、なおのこと心は地元へと傾いた。

 そんな彼女が“世界”を感じることが出来る地も、地元開催のITF(国際テニス連盟)主催の大会である。3年前に牧之原開催のITF$25,000に出場し、そこで初めて海外の選手と対戦。

「選手も、審判も外国人だったので緊張しちゃって……」

 初めて経験した国際大会は、試合内容よりも、異国と触れた緊張感が何より印象に残っている。その後も彼女は牧之原、そしてこの浜松三ケ日国際の2大会で、世界を知る機会を重ねてきた。それらの経験と実力が噛み合いつつある今年は、先週の牧之原大会でベスト8へと勝ち上がる。171cmの長身を活かして左腕から打ち下ろす、フォアのストレートがプロにも通用するとの自信も手にしてきた。

 磨きをかけたその武器をひっさげて挑む今大会で、吉岡は初戦で第4シードの清水綾乃(Club MASA)と対戦する。「ずっと前から、凄い人として名前は知っていた」と仰ぎ見る2歳年長の清水は、今季すでにITF5大会で優勝(シングルス2勝、ダブルス3勝)している、まさにワールドクラスの選手。その相手との対戦を控え、吉岡は「自ら攻める、自分のテニスをしたい」と目を輝かせた。

「やっぱり富士山を見るとうれしくなります!」

 郷里の風と日本一の霊峰を感じながら、世界への階段をのぼる戦いに挑む。

レポート◎内田暁(大会オフィシャルライター)


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