テニスを始めた原点は、錦織圭(日清食品)――。

 そんな惹句そのものが、本人にはプレッシャーになるかもしれない。それでも彼女は重圧を乗り越え、高校テニス界の頂点に立った。

 昨年のインターハイ優勝者の細木咲良(開星高校)は、島根県松江市出身の高校3年生。これを聞きテニスへの関心の高い方なら、恐らくは“錦織圭と同じ出身地で、同じ学校(錦織は開星中学出身)”と思うことだろう。しかも彼女は出身クラブも、錦織と同じグリーンテニススクール。それどころか彼女の父親は、そのクラブでコーチとして働いているのだ。本人が望むと望まざるとに関わらず、地元の大スターの名前は、彼女のキャリアについてまわる。特に昨年のインターハイは、松江市での開催だった。ゆえに大会前から彼女の顔と名前は、地元の新聞やテレビで頻繁に取り上げられる。大会を迎えた頃には、「緊張があった」のも当然だろう。

画像: ワイルドカード(主催者推薦枠)を得て、大会初戦に臨む高校3年生の細木咲良(写真提供◎大会実行委員会、撮影◎てらおよしのぶ)

ワイルドカード(主催者推薦枠)を得て、大会初戦に臨む高校3年生の細木咲良(写真提供◎大会実行委員会、撮影◎てらおよしのぶ)

 実際に迎えたインターハイでは、日頃はテニスを見ない人たちも、多く会場に足を運んだという。ただ彼女はその状況を、重圧ではなく、力へと変えてみせた。特に観客の存在を心強く感じたのが、大熱戦となった準決勝。

「暑くてバテそうだったんですが、応援が本当にすごくて、とても力になりました」

 最大の山場となったその一戦を制したことで、彼女は地元で頂点に立ち、島根県に初めてインターハイ・タイトルをもたらした。

 同時にこのときに体験した“声援を受け戦うよろこび”は、彼女の目を世界に向けさせる契機となる。今年1月には、オーストラリアン・オープン・ジュニア部門の予選に出場し、会場の雰囲気や観客の多さに感動を覚えもした。

「こんな素晴らしい舞台でテニスをやりたい!」

 世界で得た情熱はまっすぐに、プロ志向へと向かっていく。その想いを叶えるためにも、多くのプロも出場するこの三ケ日国際で、世界の足掛かりとなるランキング・ポイントを獲得したいところだ。

 なお、細木が子供のころからプレースタイルのお手本としてきた選手は、“ライジングサン”こと伊達公子(エステティックTBC)。伊達のようにベースラインから下がらず、相手の時間を奪い、最後はネットで仕留めるのが理想とするポイントパターンだ。

 そのプレーが、どこまでプロの世界で通用するのか……それを試すには、第7シードの秋田史帆(北島水産)と当たる初戦は、格好の試金石。

「ミスなくラリーに持ち込みながら、自分のテニスをしたいです」

 尊敬する先輩たちの足跡を追う旅の、大きな一歩をここから踏み出す。

レポート◎内田暁(大会オフィシャルライター)

※細木選手と予定だった秋田選手が棄権したため、1回戦の対戦相手はラッキールーザーの西郷幸奈(フリー)選手に変更となりました。


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