清水悠太、念願のビッグタイトルを手にジュニアを卒業 [世界スーパージュニア]
「大阪市長杯 世界スーパージュニアテニス」(本戦10月17~22日)は最終日、ブルボン・ビーンズドーム(兵庫県三木市)に会場を移して男女のシングルス決勝と男子のダブルス決勝が行われた。
シングルスは男女ともにトップ2シード対決で、男子は第1シードの清水悠太(イカイ)が第2シードのティモフェイ・スカトフ(ロシア)を6-3 7-6(5)で退け、女子は第2シードのワン・シンユー(中国)が第1シードのホイットニー・オシグウェ(アメリカ)を6-4 6-4で撃破。いずれもグレードA大会の初優勝となった。
また、男子ダブルスは第8シードのアドミル・カレンダー(クロアチア)/ヴァランタン・ロワイエ(フランス)の17歳コンビが第3シードのジェイミー フロイド・アンジェル(フランス)/ニコラス・メヒア(コロンビア)を7-6(4) 4-6 [10-4]で破り、やはりグレードAの初タイトルを獲得した。
◇ ◇ ◇
大雨洪水警報も発令されるほどの超悪天候の中、ジュニア選手の試合を見るために、ビーンズドームに500人以上の人が集まったことには驚いた。入場無料だったことを差し引いても、だ。多くはテニスキッズたちとその家族。車がぎっしり停められた駐車場、子供たちが色紙を持って駆け回るドーム内の光景は妙に感動的だった。
滋賀の実家がテニスクラブを経営し、このビーンズドームを拠点とするテニスラボで練習している清水は、「ラボキッズと実家のクラブの子たちが来てくれるのは聞いていたので、観客はその30人くらいと思っていた」そうだ。
3分の1以上は埋まったセンターコートのスタンドを見て緊張感が高まったというが、そんな中で好スタートを切った。対戦相手のスカトフはまだ16歳だが、今年のUSオープン・ジュニアでのベスト4などの実績を持つ実力者。清水は、緩急、長短のショットをミックスしながら相手コートを広く使った攻撃を見せ、ラリーの主導権を握る。4-1のリードからブレークバックは許したが、ふたたび突き放して6-3でセットを奪った。
第2セットも序盤のリードから中盤でブレークバックされ、すぐにまたブレークする展開は同じ。ただ、そこから時間がかかった。5-3リードの第9ゲーム、スカトフのサービスで計5つあったマッチポイントを決めきれず、サービング・フォー・ザ・マッチでもマッチポイントを逃して結局ブレークを許す。
「いつも追いつかれてしまうのが悪いところ。5-6になったときはかなり焦ってました。でも応援が力になった」と清水。163cmと小柄ながら、ここという場面でサービスのフリーポイントも多い。きっちりサービスキープしてタイブレークに持ち込むと、3-3の拮抗した状況から勝利をたぐり寄せた。
敗れたスカトフも「彼(清水)がとてもいいプレーをした。なるべく長いラリーにしようと思って、それがうまくいったからマッチポイントを何本もセーブできたんだけど、最後はやっぱり彼のほうが上だった」と脱帽した。
清水にとってはこれがジュニアのラスト・トーナメント。グレードAの初タイトルという最高の締めくくりとなった。すぐに東京へ移動し、全日本選手権に臨む。
長い目で見た目標について、「2、3年の間にフューチャーズは抜け出したい」と語った。力強く、というよりは控えめなトーンで。プロとしての挑戦に思いを馳せれば不安も過るという。しかし、それに勝る期待が日に日に膨らむ18歳の〈卒業〉だった。
(ライター◎山口奈緒美)
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