第1シードの伊藤竜馬を下した江原弘泰が準決勝進出 [第92回三菱全日本テニス選手権]
「三菱 全日本テニス選手権 92nd」(予選10月19~21日、本戦10月21~29日/賞金総額2846万円/東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/ハードコート)の本戦5日目は、男子シングルスと女子ダブルスの準々決勝と女子シングルスと男子ダブルスの準決勝および混合ダブルス準決勝残り1試合が行われた。
第1シードの伊藤竜馬(北日本物産)が準々決勝で姿を消した。コロシアムで行われた第5シードの江原弘泰(日清紡ホールディングス)との準々決勝は4-6 4-6。まさかのストレート負けだった。
スタートからリズムがなかった。開始直後の第1ゲームでいきなりブレークされると、次の第3ゲームもブレークを許した。何とかブレーク合戦に持ち込んで3-3まで競り合ったものの、第7ゲームもブレークされ、第1セットを落とした。
それでも第2セットからは立て直してくると思われたが、伊藤のリズムは最後まで戻らなかった。江原の緩急をつけた揺さぶりにミスを重ね、ポイントを失った。「うまく試合に入れず、そのままズルズルといってしまった」と伊藤。「全体的に動きも悪く、普通に戦ってしまった」と悔やんだ。
「よく走ったし、うまくミスを引き出せた」と江原。打ち合って勝てる相手ではない。高い軌道のボールやスライスを送り込み、ときには浅いボールを使ってネットへ誘い込んだ。「浅いスライスが効いたと思う。リターンの調子もよく、チャンスをつかむことができた」と勝因を語った。
ノーシードの上杉海斗(慶應義塾大4年)は、この日もシードを倒した。第10シードの吉備雄也(ノア・インドアステージ)を相手に第1セットを4-6で先取されたが、そこから6-1 6-3で逆転勝利。「第2セットからは気持ちを切り替え、攻める姿勢を貫いた」と笑顔を見せた。
吉備の弾道の低いスピードボールに対し、しっかりと下半身を使って対処した。少々強引とも思えるネットダッシュもあったが、それは「少しでもチャンスがあればネットへ出ていく」という強い気持ちの表れだった。「それがハマりました」と上杉。大学生の4強入りは2013年の田川翔太(当時早稲田大4年)以来4年ぶりとなった。
第3シードの関口周一(Team REC)はワイルドカード(主催者推薦枠)から勝ち上がった高校3年生の羽澤慎治(イカイ)に6-2 6-4のストレート勝利。「自分が逆の立場だったら何をするだろうか」と考えて臨み、チャレンジャーで向かってくる羽澤のプレーを封じ込めた。
「サービスの調子がよくなくて、ゲームをつくることができなかった」と羽澤。得意のネットプレーで先に仕掛けていきたかったが、関口がそれを許さなかった。「今までのどの選手よりもタイミングが早く、重圧をかけられた」と羽澤が勝者を称えた。
第2シードの高橋悠介(三菱電機)は第12シードの望月勇希(中央大2年)に6-1 6-2と、わずか3ゲームしか与えずに53分で快勝。「相手のミスも多かったけど、身体も動いていたし、しっかりと勝ちきることができた」と話した。
これで男子シングルスはベスト4が出揃った。明日の準決勝は、江原対関口、上杉対高橋のカードとなった。
写真◎井出秀人
(テニスマガジン編集部◎牧野 正)
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