オーストラリア・メルボルンで開催されている「オーストラリアン・オープン」(1月15~28日/ハードコート)の準々決勝で敗退したあと、テニス・サングレン(アメリカ)は大会最後のショットをコートの上ではなく、メディアに対して放った。

 サングレンは、チョン・ヒョン(韓国)に4-6 6-7(5) 3-6で敗れたあとの記者会見に、メルボルンパークでの予想外の活躍で注目され、自身のツイート履歴について精査した書類を用意して臨んだ。

「多くのフォローとツイッターの“いいね!”だけで私の印象はあなたたちの脳裏に刻みこまれている。エッジの効いた原稿を書いたり、センセーショナルな見出しをつけるのに、“こんな人物像であってほしい”と私に期待するのは間違っている」とサングレンは自分の携帯の画面を見ながら話した。

 自分の発言について答えることを拒んだサングレンは、周囲から自分への興味が「あまりにテニスからかけ離れたところへいってしまった」と語っていた。

 ひとつだけ、この数日間の騒動で確かなことがある。

 サングレンがメルボルンパークのコートで達成してきたことについて、そのストーリーは主にテニスについての話が中心だ。26歳でテネシー州生まれの彼は、今大会のような大きな成功とは無縁の競技生活を送ってきた。メルボルンへ来る前、サングレンの主戦場はATPツアー下部のチャレンジャー大会だった。ツアーレベルでは2試合にしか勝ったことがなく、グランドスラムでプレーした経験は2大会しかなかった。

 しかし、サングレンは突然メルボルンに現れ、スタン・ワウリンカ(スイス)、ドミニク・ティーム(オーストリア)という2人のトップ10プレーヤーを倒した。オーストラリアン・オープン初出場でベスト8に残ったのは、この20年で2人目の快挙である。

 おとぎ話のようなストーリーはしかし、サングレンのSNSでの発言や活動が注目されだしてから、大きく変貌し始めた。

 サングレンが数日前にツイート履歴を削除する前は、アメリカのお金持ちが非人間的パーティで子供への性的虐待を行った“ピザゲート事件”について「吐き気がする。この事件に関する証拠固めは無視できないものだ」とのツイートがあった。

 また、2012年には「昨夜、ゲイクラブに行っていた。私の眼は今もまだ出血している。“あれは誰も見るべきではない”」とツイートしている。

 最近のリツイートでは、アメリカファースト主義のニコラス・フエンテスが、2015年USオープンの準決勝でセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)がロベルタ・ビンチ(イタリア)との準決勝で叫びながらショットを打つ姿を見て、“気持ち悪い”と表現した動画だった。

 セレナはこれに気づき、サングレンの試合中に「チャンネルを替えよう」とツイートしており、彼女のフォロワーは、それが彼のツイートに対する返答だと解釈している。

 彼女はさらに「私は特に謝罪してほしいなどと思っていない。でも、謝罪を受けるべき多くの人々がいる。私は自分の娘に対して“私は何も反論せずに、ただじっと座っているだけでした”なんて言うことはできない! 私の今回の事例を通して、彼女も自分やほかの人々のために立ち上がる術を知ることになるでしょう」と強く主張した。

 サングレンはSNSでの動きをこの一週間は控え、極右主義の「考え方の中には面白いものもある」と発言したこともあったが、その考えを支持していることは否定した。

「ツイッターで誰をフォローしているかなんて、どうだっていいことだ。“彼は誰々をフォローしているから、その人の考えをすべて支持している”と考えるのは馬鹿げている」とティームを倒したあとに発言した。

 ESPNのインタビューでサングレンは、ツイートを削除した理由は「周囲の反応に困惑しているからではなく、ゼロから再スタートするのも悪くない」と思ったからだと言う。

 この日の会見でコメント用の書類を用意してきたサングレンは、もう自分のツイートについて説明するのは、こりごりだと明かした。

「あなたたちは、最初から自分で考えたアイディアという小さな箱に取材対象者をうまくはめ込もうとする。そのためにいらない個性は外し、悪い方向への集合体に導くんだ」

 そうメディア関係者を責めると、その後はこの話題に関する質問は受け付けなかった。そして話題を準々決勝の相手であるチョンに対する賞賛に切り替えた。

 それでも、会見の途中、ふたたび少しだけこの一週間についての話題となり、自分に嵐のように降りかかった注目度の高さにおよんだ。サングレンは大会を終えて自宅に帰ったあとは、携帯の電源を切って、しばらく外部との接触を断つという。

「自分の人生に今何が起きているのか、いつもあとから振り返るようにしてきた。この数週間は振り返らなければならないことが本当にたくさんあった。だから、そのための十分な時間が必要だ。そして、ふたたび正しい方向へ進むためにも、しっかりその作業をしたいと思う」と語った。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はメルボルンパークのガーデンスクエアでポーズをとるテニス・サングレン(アメリカ)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 23: Tennys Sandgren of United States poses at the route 66 sign in garden square during day nine of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 23, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Vince Caligiuri/Getty Images)

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