「いい感触をつかんだ」日比野菜緒 [フェド杯アジア・オセアニア1部]

「フェドカップ(フェド杯)アジア・オセアニアグループ1部」(インド・ニューデリー/2月7~10日/ハードコート)が開幕し、ワールドグループ復帰を目指す日本は予選リーグ(プールB)第1戦でタイと対戦し、3連勝で白星スタートを切った。

 最初にS2で登場した奈良くるみ(安藤証券)は、2011年から日本代表に呼ばれており、現メンバーではもっとも経験が豊富。期待通りに立ち上がりからウィナーを連発し、ピアンタン・プリプーチ(タイ)をまったく寄せ付けず、第1セットは怒涛の6ゲーム連取で制した。第2セットは2度だけ相手にサービスキープを許したものの、変わらずに安定感のあるショットで圧倒し、ちょうど1時間で6-0 6-2の勝利を奪った。

危なげない試合運びでピアンタン・プリプーチを退けた奈良くるみ

 続くS1は日比野菜緒(LuLuLun)対ルクシカ・クンクン(タイ)の対決。両者は2年前のフェドカップでも対戦しており、そのときは日比野が0-6 7-5 6-1で逆転勝利を収めている。

 第1セットは途中からお互いにブレークを繰り返し4-4から日比野が3度目のブレークに成功。サービング・フォー・ザ・セットでは15-40からデュースに持ち込み、2度のセットポイントを生かすことができず、逆にブレークされてしまい、5-5と追いつかれた。さらに、ここから日比野がミスを連発して、2ゲーム連取を許し、第1セットを失う。

 悪い流れは第2セットの序盤も続き、1-4でリードされるピンチに追い込まれる。このときのスコアを認識していなかった日比野は「まだ1ブレークダウン」ということだけを意識して戦い、サービスゲームをキープして2-4。続くゲームが大きなポイントになった。

 本来のプレーができずに苛立つ日比野に対し、土橋登志久監督はベンチで「冷静になって、足を動かしてボールをコートに入れ、ラリーをするという基本に戻ろう」と声をかける。そのとき日比野は「それができたら、苦労してない!」とその場では言い返すが、コートに戻ってから実践してみると、うまくポイントを取れた。焦らずにラリーを続けてからポイントを奪う形で、30-40から見事なドロップボレーを決めてブレークし、3-4とした。

「土橋さんに言い返したことで、気持ちが吹っ切れたかもしれない」という日比野は3-5にされても焦らず、すかさずブレークバックしてタイブレークに持ち込んだ。タイブレークでも冷静に打ち合いながらポイントを奪う展開で先行し、7-5で振りきりファイナルセットに持ち込んだ。

ベンチで日比野菜緒と話す土橋登志久監督。右端はルクシカ・クンクン

「最初は彼女もミスが目立ったけど、途中からすべてのショットが決まり出して、止められなかった。高く弾むボールが厄介だった」とクンクンは脱帽。日比野は「相手は疲れてくると高いボールの抑えが利かなくなる」と相手のことも冷静に分析しながらファイナルセットを6-0で制して大逆転勝利を収めた。

 もし、日比野がS1を落としていたら、最後のダブルスでタイはメンバーを変更してクンクンを投入することが予想されていた。その場合、加藤未唯(佐川印刷)と二宮真琴(橋本総業ホールディングス)のペアは厳しい戦いを強いられたかもしれない。結局、クンクンは投入されず、2人は6-3 6-3で勝利を飾り3連勝で締めた。

 相手のエースを打ち砕き、日本に大きな勝利をもたらした日比野は「韓国も今日、台湾に全勝しているので油断できない。試合の後半にいい感触をつかめたので、明日は大丈夫。高い集中力で臨んで頑張ります!」と韓国戦に向けて抱負を語った。韓国との予選リーグ第2戦は、現地時間2月8日(木)10時(日本時間13:30)開始予定となっている。

編集部◎池田晋

※トップ写真は日本の勝利を決めた日比野菜緒の元へ駆け寄る奈良くるみ、加藤未唯、二宮真琴

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