「第54回 島津全日本室内テニス選手権大会」(京都府京都市・島津アリーナ京都/本戦2月18~25日/賞金総額:女子600万円/室内カーペットコート)の最終日はシングルス決勝が行われ、第1シードの加治遥(島津製作所)と第2シードの小堀桃子(橋本総業ホールディングス)のトップ2シードが対決で19歳の小堀が5-7 7-6 6-1の逆転で勝利し、大会初優勝を果たした。前日に終了したダブルスとの2冠も達成。約1年前のプロ転向後、シングルスでは初のタイトルを獲得した。

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 2時間7分ともつれた最後のポイントは、鮮やかなバックハンドのウィナーだった。ダウン・ザ・ラインにきれいな軌道を描いたショットを見届けると、小堀は少し表情を崩して手で口元を覆った。力強いガッツポーズや派手なリアクションがないのはクールな小堀らしくて想定内だったが、その後のスピーチで涙声になるのは想定外だった。

「勝って泣いたのは初めてで、自分でも意外でした」

 全日本ジュニアのU18とU16のほか全日本ジュニア選抜室内などジュニア時代の全国タイトルはいくつも持っている。しかし、格別な感情が湧いてきた理由について、「プロになってから(シングルスで)初優勝だったので。(年齢の)カテゴリーが分かれているジュニアとプロの大会は違う」と話した。

 加治とは前日にダブルスでも対戦しており、シングルスの試合も観戦。その結果、加治のバックハンドに対する警戒を強めて臨んだという。一方の加治のほうは、ストロークの精度の高い小堀に対して、「守りにならず、自分からラリーを作っていこうと考えていた」。

 コートが速いこともあって、そんなふたりの決勝戦は、互いに際どいコースへ揺さぶり合うスピーディな展開に。ゲームの流れも頻繁に変わった。

 第1セット、4-1とリードした小堀だが4ゲームを連取され、ブレーク合戦の末に5-7でセットを失う。最終ゲームの加治のサービスゲームで小堀が15-40でタイブレークに持ち込むチャンスを生かせなかった。

 大きなセットをものにした加治が第2セット、5-4でサービング・フォー・ザ・マッチを迎える。しかし、そのまま試合は終わらない。〈勝ちびびり〉という表現には首を捻った加治だが、3ポイントを連続で失い、結局ブレークバックを許したこのゲームについて、「やることはきちんと整理できていました。それをうまくやっていたのに、1ポイント目の最後のショットをミスしてしまってからリズムが崩れたかなと思う。小堀さんは落ち着いていた」と振り返った。

 土壇場でブレークバックした小堀が4ゲームを連取してセットを奪い返すと、最終セット第4ゲームでブレークを果たした。

「ファーストは4-1からまくられたことがちょっと頭を過った」とあとで振り返ったが、第6ゲームでダメ押しのブレークができたことが大きい。最後はラブゲームで締めくくった。

「この優勝を自信にしたい」と言いながらも、この新チャンピオンは明確な目標を語らない。今年中に何位になりたいとか、どのグランドスラムに出るのが夢だとか、誰を目指しているのかとか、一切ない。秘めているのか、本心なのかはわからないが…。

「楽しくテニスをやり続けたい」。とりあえず、今はその思いががんばる力の源だ。

テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美

※写真は単複2冠を達成した19歳の小堀桃子(橋本総業ホールディングス)
撮影◎真野博正

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