『戦い続ける』をスローガンに、スティーブンスがアザレンカを下して決勝へ [マイアミ・オープン]

 アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(WTAプレミア・マンダトリー/3月20~31日/賞金総額864万8508ドル/ハードコート)の女子シングルス準決勝。

 スローン・スティーブンス(アメリカ)はここ最近、自分のテニスに対してシンプルなアプローチをとっている。それは『戦い続ける』というものだ、と彼女は言う。

 スティーブンスが昨年のUSオープンで優勝したあと8連敗し、ふらつき、いら立たしくも説明のつかない“落下”を経験していたときの、彼女のスローガンがこれだった。ここキービスケーンで彼女がスロースタートを克服し、ワイルドカード(主催者推薦枠)で出場した元世界1位のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)を3-6 6-2 6-1で倒したあとも、この言葉は彼女の頭に何度も浮かび上がった。

 スティーブンスは土曜日に第7シードのエレナ・オスタペンコ(ラトビア)と対戦するとき、彼女にとってキャリア6度目の決勝を戦うことになる。彼女がプレーしたタイトル・マッチの記録は5勝0敗で、その最後のものが昨年のUSオープンだった。

 オスタペンコは準決勝で、予選から勝ち上がってきたダニエル・コリンズ(アメリカ)を7-6(1) 6-3で破って勝ち上がっていた。

「第1セットでは劣勢に立たされていたけれど、そこから挽回して私は本当によく戦った」とスティーズンスは言った。

「だから第2セットで同じようにすれば、うまくやってのけられるとわかっていた。結局、多くのゲームを連続して取ることができたわ。ただ、その勢いのまま進もうと努めていたの」

 ひとたびその“勢い”をつかんだら、彼女はそれを手放さなかった。スティーブンスは試合の最初の3ゲームを落とし、11分のうちにかなりの穴を掘ったが、それから最後の21ゲームのうち15ゲームを取ったのだった。

「正直言って、試合を通してまったくいい感じを覚えていなかった」とアザレンカは明かす。過去に3度キービスケーンで優勝していたアザレンカのこの大会での連勝は「11」で断ち切られた。

「自分がややのろすぎるように感じていた。私はただ、ボールに向かっていくのをやめてしまった。然るべきやり方でボールを打つのをやめてしまい、彼女はそこに飛びついてきた」

 これは彼女にとって、2016年のフレンチ・オープン以来、4大会目に過ぎなかった。その年の終わりに彼女は母となり――彼女の息子の名はレオと言い、彼女が試合で履いていたスニーカーの上に書かれていた――昨年、マヨルカとウインブルドンでプレーに復帰した。アザレンカはワイルドカードを得てインディアンウェルズとマイアミでプレーし、その双方でスティーブンスによって大会からはじき出された。

 彼女が、次にいつプレーするかは、はっきりしていない。アザレンカはここ数ヵ月、子供の養育権を巡る争いに巻き込まれており、試合後は、現在住んでいるロサンゼルスに戻ることになっていた。

「今のところ、あなたたちと分かち得るニュースは何もないの」とアザレンカは言った。

 彼女はこの大会に世界186位の選手として臨んだ。今回のマイアミ準決勝への道のりで4人のシード選手を倒したおかげで、来週、新しい世界ランキングが発表されるとき、彼女は少なくとも93位にはなっていることだろう。

「全体的に見れば、私がやったことは決して悪いものじゃなかったわ」とアザレンカは再復帰後の4週間を振り返って言った。

「ほとんど練習もせず、ほとんど食べもせずに、ある一週から次の週へ、進歩を遂げて前進していけたというのは、悪くない結果だわ」

 決勝への旅を別にし、スティーブンスにはいくつかの重要なほかの特典があった。

 彼女はキャリアで2番目に高額の小切手を確保した。決勝での結果次第で、彼女は65万4380ドルか、134万0860ドルを手に入れることになる。彼女がこれまでに得た賞金の中で、これより大きな額の賞金は、USオープン優勝で得た370万ドルだけだ。また新しいランキングが発表されるとき、彼女はトップ10デビューを飾ることになる。もしそれだけでは十分でなかったなら、彼女はまた、歴史の一部ともなる。

 マイアミ・オープンは、なくなるわけではないが、来年から車で30分ほど行ったところにあるマイアミ・ドルフィンズ・スタジアムに拠点を移すことになる。南フロリダ出身者がキービスケーンで最後の女子シングルス優勝を遂げてから、もうずいぶんになる。そしてフォートローダーデールにほど近いフロリダのプランテーション出身のスティーブンスは、終始そよ風が海を渡る現施設で行われた34年の最後の年に、トロフィーを掲げる最後の女子選手となるチャンスを手にしているのだ。

「ここにやって来て、あなたたちが見守る中、センターコートでプレーするということが、すべてをいっそう特別にしてくれる」とスティーブンスは言った。

「クランドン・パークで何が起こるのか? ここがどんなふうになるのか、何が起こるのか? 本当に多くの問いがある。でも素敵だと思うわ。ここで最後に、私の家族、友人たちの前でプレーする、というのは。彼らのために素敵なやり方で(ここでの大会に)幕を下ろすことができる、というのは、ある意味で素敵なことだと感じられるわ」(C)AP(テニスマガジン)

※写真は試合後のスローン・スティーブンス(アメリカ/左)とビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)
KEY BISCAYNE, FL - MARCH 29: Sloane Stephens of the United States shakes hands at the net after her three set victory against Victoria Azarenka of Belarus in their semifinal match during the Miami Open Presented by Itau at Crandon Park Tennis Center on March 29, 2018 in Key Biscayne, Florida. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

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