シードなしのセレナについて選手たちの声 [フレンチ・オープン]

 出産後のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)のグランドスラムへの帰還は、いっそう難しくなった。フレンチ・オープン主催者が、セレナにシードを与えることはないと発表したのだ。

「今年も大会オフィシャルは、WTAランキングをもとに女子のシード順位とリストを決めた」とフランステニス連盟は声明文を通してAP通信に伝えた。

「その結果、試合には今週の世界ランキングが反映されることになる」

 フレンチ・オープンで3度優勝しているセレナは、昨年9月の出産以降初となるグランドスラム大会をパリでプレーすることを予定している。

 セレナはWTAのスペシャル・ランキングのルール(ケガや妊娠などのため6ヵ月以上戦線離脱した選手に対して、暫定ランキングを採用するもの)により、フレンチ・オープンの本戦に出場することができるが、彼女にシードを与えるかどうかは主催者次第だ。

 出産準備のためツアーから離れたとき、セレナは世界1位だったが、彼女は現在453位だ。シードが付かなければ、この23度グランドスラム大会で優勝している元女王が、早い段階でランキング上位の選手と当たる可能性があるのだ。

 WTAは、元のランキングが高かった選手にプロテクト・シードを与えること(ルール変更)を検討しているが、それが効力を持つのは早くて来年ということになる。

 セレナの最大のライバルたちの何人かは、彼女はシードを受けるに値すると信じている。

「私はルールが変わるのを見たいわ」と先週のローマでマリア・シャラポワ(ロシア)はコメントした。

「女性にとって、カムバックするということは、肉体的にも感情的にも多くの努力を強いられることになる。旅行、経験、毎日の体や感情の状態に対し、まったく違った観点を持つことになるわ」

 セレナに3度グランドスラムの決勝で敗れたことのあるシャラポワは、また「テニスは自己中心的なスポーツだけど、自分の生活の中に子供がいたら、その部分を少し失うことになる。何故って、ずっと重要なものがあるわけだから」と言い添えた。

「だから、それ(カムバックする選手を助けるルール変更)は、いい変更だと思う」

 フレンチ・オープンのドロー抽選は木曜日に行われ、大会は日曜日に始まる。

「子供を産むのは普通のこと、ランキングをプロテクトするのも普通のことよ。それはテニス以上のことだわ」と現世界1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)は言った。

 14ヵ月の不在のあと、セレナは今年4月に少しだけツアーに戻った。その際、彼女はインディアンウェルズとマイアミの大会に出場したがシードは付いておらず、戦績は2勝2敗だった。

 セレナは、出産の際に経験した体の問題、娘の誕生直後、呼吸を困難にした肺の塞栓症について詳しく話していた。しかし、一定期間のトレーニングを積んだあとは、彼女のコーチであるパトリック・ムラトグルーがWTAのウェブサイトに、「セレナは優勝を目指してフレンチ・オープンに出場する」と告げたのだ。

 現在のルールでは、出産や故障により活動を休止した者は、スペシャル・ランキングのルールにより、大会に出場することができるが、その休養の理由が何であれ、同ルールはシードには適用されない。

 しかし、WTAは過去に、スペシャル・ランキングを使用し始めるまでの2年の猶予、さらにスペシャル・ランキング使用開始日からの追加的1年を選手に与えることにより、妊娠・出産のための活動停止が、病気や故障の場合のそれと同じように扱われるようルールを調整していた。

「歴史的に、WTAはスペシャル・ランキングをシード付のために使うことを支持してこなかった」とWTAは声明文の中で述べた。

「2019年のためのルール設定のプロセスの一環として、現在、規則は再検討されている。私たちは選手のニーズとともに進化することに打ち込んでおり、産休後、ツアーに戻る選手たちに対して非常に協力的な姿勢をとっている」

 日曜日にローマで2連覇を遂げた世界4位のエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)も、セレナにシードを与えることを支持した。

「子供を産むためにプレーを休止し、休止した時点でトップ8だったなら、『プロテクト・シード』とでもいうようなものを授けらるべきだと思う。彼女は世界1位だったわけだから、シードを与えられていいと思うわ」とスビトリーナは言った。

 セレナは現役選手の中でもっとも多くの全仏タイトルを獲得している選手であり、前年度覇者のエレナ・オスタペンコ(ラトビア)は、セレナの復帰を楽しみにしているという。

「ツアーは彼女の不在を嘆き、彼女を必要としているわ。彼女は偉大なチャンピオンなのだから」とオスタペンコは言った。

「彼女は子供の頃からの、私のアイドルだった選手なの」(C)AP(テニスマガジン)

※写真は27日から始まるフレンチ・オープンに向けて会場で調整するセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)とコーチのパトリック・ムラトグルー
Serena Williams practises under the supervision of her coach Patrick Moratouglou during qualification for the French Open 2018 at Roland Garros on May 21, 2018 in Paris, France. (Photo by Dave Winter/Icon Sport via Getty Images)

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