19歳シャポバロフ、デビュー戦に勝つ [フレンチ・オープン]

 フランス・パリで開催されている「フレンチ・オープン」(5月27日~6月10日/クレーコート)の大会4日目、男子シングルス1回戦。

 デニス・シャポバロフ(カナダ)は火曜日、フレンチ・オープンでデビューを飾ったあと、記者会見のためにバタバタと降りてくると、マイクに寄り掛かって『サップ?(どうした、言ってごらん、を意味するWhat's upの省略系。若者用語)』と言った。

 それから、彼はこれ以上無理というほどの大きな笑みを浮かべた。これは、急上昇中の若きカナダ人の始まったばかりのキャリアにおいて、今後の指標となる画期的な日だった。彼は重要な勝利を挙げ、対戦相手から称賛されようが、コート内外で、非常にのん気で屈託のない様子を見せる。

 シャポバロフのシード選手として初めてのグランドスラム大会の試合は――彼はロラン・ギャロスで第24シードとなった――世界ランク59位のジョン・ミルマン(オーストラリア)に対する7-5 6-4 6-2のストレート勝利に終わった。これは主に32対9という、獲得ウィナー数でつけた優位性のおかげだろう。

 1年前には、シャポバロフはシードでなかっただけでなく、予選の1回戦で負けて本戦入りを果たすことすらできなかった。

「僕がやったように上るのはたいへんなことだよ。ここまで、かなりクレイジーだった。僕自身さえが予想していなかった」とシャポバロフは言った。

「僕はただ、集中し続けようと努めていた。いつも言っているように、どの週だろうと、どんな結果だろうと、僕はいつもコートに戻って、よりうまくなろう、上達しようと努めている。僕はまだ19歳だ。向上させなければいけないこと、学ばなければいけないことがたくさんある」

 どんなふうに上達できると思っているか、と聞かれたシャポバロフは、上達させたい分野は本当に山ほどあるので、そのすべてを挙げ連ねるだけで何時間もかかる、と言うことから始めた。

 それでも、彼はいくつかのカテゴリーに触れて、少し説明しようと試みた。リターン、ネットプレー、ファーストサービスの確率、流れの変化を自分に有利な形で使うこと、メンタル的により強くなること。

「僕にしてみれば、いま自分がいる場所(25位)はある意味ポジティブなことで、僕は自分に膨大な上達の余地があると感じている。僕にとって、それはすごくモティベーションをかき立てられることなんだ」と彼は言った。

「僕は前進したいと望み続けているし、向上し続けている」

 彼は2016年ウインブルドン・ジュニア優勝により得たもののサインを見せ始めた。それから、昨年のUSオープンで、予選勝者として本戦入りし、1989年のマイケル・チャン(アメリカ)以来、もっとも若い4回戦進出者となった。10月までに、彼はATPランキングのトップ50に入り、それをやってのけた選手としては2004年のラファエル・ナダル(スペイン)に次いで若い選手となった。

 ミルマンに対する試合で、シャポバロフは重い、湿ったコンディションの中、スローなスタートを切った。

 ミルマンは第1セットで一時5-2とリードし、5-3から自分のサービスを迎えた。彼は40-30とセットポイントをつかんだが、バックハンドをミスしてしまう。そしてその少しあとに、同じサイドでまたアンフォーストエラーをおかし、シャポバロフにブレークを献上。それが、シャポバロフの5ゲーム連取の皮切りとなった。

 第2セットでは、ミルマンはワンブレークして2-1とリードし、そこからキープして3-1としたが、シャポバロフはまたそこから巻き返した。

「自信を持ってボールを操っているときの彼は、実に印象的だね」とミルマンは言った。

「デニスは実際、すごくレベルを上げ、そのことが僕からもよいプレーを引き出した。終わってみれば、重要な瞬間には、彼のほうがよりよいテニスを生み出していた。すぐれたプレーヤーたるものはみんなそうだ。もし彼がこんなプレーを続けていけば、可能性は無限大だよ」

 試合後、シャポバロフは、スコアで劣勢に立たされているときにも、まったく心配していなかったと言った。

「たとえ第1セットを落としたとしても、長い試合になるだろうということはわかっていたから。僕は最後の1ポイントが終わるまで、そこにとどまり続ける」と彼は言った。

「かなり落ち着きを保つことができていたよ」

 2回戦で70位のマクミリアン・マルテレル(ドイツ)と対戦するシャポバロフは、試合中、滅多に困惑しているようには見えなかったし、競技外のときも、かなり気楽に過ごしているように見えた。記者が、シャポバロフのフランス語はどんな具合かと尋ねる前は…

「ほんの少しなら話せるけど」と、彼はフランス語で答えた。しかしそれからすぐに英語に戻り、こうジョークを言った。

「でも特に記者たちがいっぱいのプレスルームでは、フランス語はあまり心地よくないな。彼らは僕(のフランス語)を批評するだろうからね!」(C)AP(テニスマガジン)

※写真はデニス・シャポバロフ(カナダ)
PARIS, FRANCE - MAY 29: Denis Shapovalov of Canada plays a backhand during the mens singles first round match against John Millman of Australia during day three of the 2018 French Open at Roland Garros on May 29, 2018 in Paris, France. (Photo by XIN LI/Getty Images)

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