スティーブンスは「すべてか、ゼロか」 [ウインブルドン]

 スローン・スティーブンス(アメリカ)のキャリアは、『すべてか、ゼロか』のパターンに陥っている。彼女は交互に、決勝への進撃と1回戦負けを繰り返しているのだ。

 月曜日の「ウインブルドン」(7月2~15日/イギリス・ロンドン/グラスコート)、女子シングルス1回戦は、またも早期敗退の番だった。

 スティーブンスは、昨年のUSオープン・チャンピオンであり、先月のフレンチ・オープンでも準優勝した。しかしそうでなければ、彼女はグランドスラム大会で1試合にも勝てない様子なのである。第4シードのスティーブンスは、オールイングランド・クラブで2年連続となる1回戦負けを喫した。彼女は今大会で71分しかもたず、世界ランク55位のドナ・ベキッチ(クロアチア)に1-6 3-6で敗れた。

「できることはあまりなかったわ」とスティーブンスは腕を組み、何の感情も見せずに無表情のままこう言った。「私は…泣いたり、ラケットを叩きつけたりはしないわ」。

 しかしながら、そうすることで自分がどんなふうにプレーしたかを忘れることはできていたかもしれない。

 この日まで、トップ5の相手に対して0勝5敗だったベキッチは、何も素晴らしいことをやってのける必要はなかった。彼女が獲得した64ポイントうち、自分のウィナーによるものは12ポイントに過ぎなかったのだ。

 ほかの52ポイントは、スティーブンスによるアンフォーストエラー(凡ミス)とフォーストエラー(相手に強いられたミス)に二分されていた。よりクリーンにプレーし、すぐれたディフェンス能力で対戦相手を苦しめる能力を持つスティーブンスだが、この日の彼女はストロークに非常にミスが多く、ベキッチが9本のダブルフォールトを克服することさえ可能にしてしまっていた。

「フラストレーションを感じるわ。明らかに私は自分が望むようにショットを打てていなかった。望んでいたほど安定性のあるプレーをすることができなかった。私の足は少し鈍かったわ」とスティーブンスは言った。

「ときに、そういうことが起こるのよ。それ以上でも以下でもない。もう少しいいショットを打てていたらよかったのに、と思うけれど」

 2017年、彼女は手術を必要とした右足の故障のため11ヵ月プレーを休んだあと、カムバックのプロセスを開始するためウインブルドンにやってきた。そこで1回戦敗退。しかし彼女はその後、迅速に人生最高のテニスをプレーし始め、15勝2敗で957位から速やかに這い上がって、USオープンで初のグランドスラム・タイトルを獲得した。

 ところが、その優勝の直後から彼女は、オーストラリアン・オープンの1回戦負けを含め、8試合連続で黒星を喫し、厳しい時期を通り抜けた。

 コーチのカマウ・マレーは、先月のフレンチ・オープンでスティーブンスがどのようにして道を踏み外すことなしに、その厳しい時期を乗り切ることができたのかについて話した。彼は、スティーブンスは何が大事で、何が大事でないかを知っており、「外部からのプレッシャーによってパニックに陥るようなことがない。それが彼女の成功のカギなのだ」と信じていた。

 この月曜日のような日に直面した際の自分の態度について尋ねられ、スティーブンスは、悪い瞬間についてくよくよ考えるようなことはしないと言った。

「私たちは、非常に長いシーズンをプレーしている。毎週毎週勝つ人なんて、ひとりもいないわ。世界1位の選手だって負けるのよ。そういうことは起きる。ときに、人々は過剰に反応し、『私には新しいコーチ、新しいフィジオが、必要なの』云々と言ったりする。でも私は、自分を磨くよう努力し、自分に集中していれば、周囲で何が起きていようが、自分が成功することを可能にできると信じているの」(C)AP(テニスマガジン)

※写真はスローン・スティーブンス(アメリカ)
LONDON, ENGLAND - JULY 02: Sloane Stephens of the United States leaves the court after being defeated by Donna Vekic of Croatia during their Ladies' Singles first round match against on day one of the Wimbledon Lawn Tennis Championships at All England Lawn Tennis and Croquet Club on July 2, 2018 in London, England. (Photo by Clive Mason/Getty Images)

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