世界ナンバーワンのハレプが敗戦のあと、『プロらしくない』と自己批判 [ウインブルドン]

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウインブルドン」(7月2~15日/グラスコート)の女子シングルス3回戦。

 シモナ・ハレプ(ルーマニア)には、休暇に旅立つ準備ができていた。それは、彼女が大きなリードをふいにし、マッチポイントを棒に振り、ウインブルドンで早期敗退したトップ女子プレーヤーの列に加わってしまったあと、彼女が望んでいたよりも一週間早く始まることになるだろう。

 フレンチ・オープンで初のグランドスラム・タイトルを獲ったばかりで、世界1位かつ第1シードのハレプは、長いこと問題だった“重要な瞬間における不安感をどうやって克服するればいいか”を理解したと信じていたのだ。

 最終セットでリードしていたにも関わらず、ハレプは最後の5ゲームを連続で落としてシェイ・スーウェイ(台湾)に6-3 4-6 5-7で敗れ、ウインブルドンの2週目に残れないことが決まったあと、自分自身を『プロらしくない』と厳しく非難した。

「私はやたら話し過ぎ、自分に対してネガティブ過ぎた。疲れていたせいだと思う。疲れていたから、すべてのボールに集中し続けることができていなかった」とハレプは振り返った。

「メンタル的に私は疲れていた。肉体的にも疲れを感じていた。筋肉はダメになってしまっていた」

 ウインブルドンの歴史で初めて、女子のトップ5シードの誰一人もが4回戦に進出することができなかった。トップ10シードの中で2週目にプレーできるのは、第7シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)だけだ。そして、このグラスコート大会で過去に優勝したことのある選手は、第25シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)のみである。勝ち残った16人の女子選手のうち、グランドスラム大会優勝経験がある選手はほかに2人だけおり、それは第11シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)と第12シードのエレナ・オスタペンコ(ラトビア)だ。

「私はもはや驚いたりはしないわ」と2017年フレンチ・オープン女王のオスタペンコは言った。彼女は、1回戦でマリア・シャラポワ(ロシア)を倒して勝ち上がってきた予選勝者のビタリア・ディアトチェンコ(ロシア)を6-0 6-4で下して4回戦進出を決めた。

「なぜって、毎日のようにドローで何か奇妙なことが起きているんですもの」

 男子のドローではその度合いはずっと低いが、第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)が世界ランク138位のエルネスツ・グルビス(ラトビア)に6-7(2) 6-4 7-5 3-6 0-6で敗れるという番狂わせも起きていた。グルビスは、ウインブルドン4回戦に進出した2012年以来の予選勝者となった

 とはいえこのケースでは、2014年フレンチ・オープンでベスト4と、グルビスはすでにグランドスラム大会で準決勝に至った経験があり――一時10位になったこともあったが彼のランキングは一連の故障のため落ち込んでいた――一方、21歳のズベレフは、まだグランドスラム大会でのブレークをやってのけていない。

 それを別にすれば、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)らは皆、4回戦に勝ち進んだ。

 この日、イングランドの観客たちは、ふたつのことを気にかけていた。それはサッカーと太陽だ。観客たちは、ロシアでのワールドカップでイングランドがスウェーデンを2-0で倒しているとき、携帯電話を通してその試合の様子を追い(オールイングランド・クラブはほかのスポーツのビデオ・スクリーンを掲げてはいなかった)、32度の暑さに対処するため、日傘、扇子、サンローションを使っていた。

 ハレプは、第3セットで5-2とリードしてから崩れてしまった。彼女は、そこから1ゲームも取ることができなかったのだ。

「何とか踏みこたえようと、トライはしていたの」と彼女はのちに言った。

 5-4からのシェイのサービスで30-40となったとき、ハレプは勝利まであと1ポイントと迫っていた。しかし、48位のシェイはバックハンドのウィナーを決め、困難から抜け出した。

 最後のゲームでハレプは2つのブレークポイントを手にしたが、そのどちらをも、ものにすることができなかった。

 いつ、この試合に勝てると感じたか、と尋ねられたシェイは、「勝てるとは感じていなかった」と答えてから、元気に笑った。彼女は、試合後の記者会見の間、ジョークを飛ばし、ケラケラ笑って、同様のことをやり続けていた。

 彼女は、フォアとバックの双方で両手打ちをし、繰り返し放つドロップショットを頼みとした、一風変わった流儀のテニスをプレーしており、本人によれば、それが練習パートナーをイライラさせがちなのだという。

 ダブルスで2度グランドスラム大会優勝を遂げているシェイだが、シングルスで4回戦進出は、ここまでの彼女のグランドスラム大会の最高成績とタイだ。そして見たところ、彼女はスポットライトを楽しんでいるらしい。というのも、彼女のトップ10に対する3度の勝利のすべては、グランドスラム大会で起きているのだ。

 彼女は、2017年フレンチ・オープンで同年ウインブルドン4強のジョハナ・コンタ(イギリス)を、2018年オーストラリアン・オープンでグランドスラム大会優勝歴2回のガルビネ・ムグルッサ(スペイン)を、そして今回のウインブルドンでは現世界1位のハレプを倒した。

 月曜日にシェイは、2014年オーストラリアン・オープン準優勝者のドミニカ・チブルコバ(スロバキア)と準々決勝行きの切符を賭けて対戦する。

 ドローの上半分の4回戦の対戦カードは、次の通りだ。※名前の左数字はドロー番号、[ ] 数字はシード順位、またはQ=予選勝者。

7シェイ・スーウェイ(台湾)vs 12ドミニカ・チブルコバ(スロバキア)

17エレナ・オスタペンコ(ラトビア)[12] vs 31アリャクサンドラ・サスノビッチ(ベラルーシ)

35アリソン・バン ウィトバンク(ベルギー)vs 48ダリア・カサキナ(ロシア)[14]

49アンジェリック・ケルバー(ドイツ)[11] vs 63ベリンダ・ベンチッチ(スイス)

 オスタペンコと対戦するアリャクサンドラ・サスノビッチ(ベラルーシ)は 1回戦で2度ウインブルドン優勝を遂げているペトラ・クビトバ(チェコ)を驚かせていた。第14シードのダリア・カサキナ(ロシア)の相手となる47位のアリソン・バン ウィトバンク(ベルギー)は、2回戦で前年度覇者のムグルッサを倒していた。第11シードのケルバーに対する56位のベリンダ・ベンチッチ(スイス)は、1回戦で第6シードのカロリーヌ・ガルシア(フランス)を破っていた。

 同じくドローの下半分の試合は、以下の通りとなっている。

65カロリーナ・プリスコバ(チェコ)[7] vs 73キキ・バーテンズ(オランダ)[20]

81ユリア・ゲルゲス(ドイツ)[13] vs 95ドナ・ベキッチ(クロアチア)

104セレナ・ウィリアムズ(アメリカ)[25] vs 107エフゲニヤ・ロディナ(ロシア)[Q]

119カミラ・ジョルジ(イタリア)vs 126エカテリーナ・マカロワ(ロシア)

 プリスコバと対戦する55位のドナ・ベキッチ(クロアチア)は、1回戦で2017年USオープン優勝者のスローン・スティーブンス(アメリカ)を倒すという最初の番狂わせを起こしていた。

 ハレプは、非常に必要だった休息とリラックスを求めて去っていく。彼女は、フリータイムには何をするのだろうか?

「テニス以外の、何もかもよ」とハレプは答えた。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はシモナ・ハレプ(ルーマニア)
LONDON, ENGLAND - JULY 07: Simona Halep of Romania reacts during her Ladies' Singles second round match against Su-Wei Hsieh of Taiwan on day six of the Wimbledon Lawn Tennis Championships at All England Lawn Tennis and Croquet Club on July 7, 2018 in London, England. (Photo by Michael Steele/Getty Images)

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