ロジャー、セレナ、ラファがセンターコートでストレート勝利のリレー [ウインブルドン]


「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦7月2~15日/グラスコート)の大会7日目は、男女シングルス4回戦が行われた。

 観客たちは、ロジャー・フェデラー(スイス)がウインブルドンのメインスタジアムに到着し、挨拶をしながら姿を見せただけで、轟々たる歓声を上げた。あたかも彼がいること自体が、入場券を正当化するに十分だといわんばかりに。

  フェデラーが最初の23ポイントのうち21ポイントを取り、わずか16分で圧倒した第1セットをドロップボレーで締めくくると、観客は拍手し、歓喜の叫びを挙げた。

 また、勝負が決まると、彼らはスタンディング・オーべーションでフェデラーをロッカールームへ送り出した。第22シードのアドリアン・マナリノ(フランス)に対する6-0 7-5 6-4の勝利の間にフェデラーが見せた才能を認めて、ということもあるが、また8度のウインブルドン優勝に、20のグランドスラム・タイトルという、彼がキャリアを通して見せた優位性にも敬意を表したのだろう。このふたつは、ともに男子の最多記録だ。

 ウインブルドンで32セットと、81のサービスゲームを連取した第1シードのフェデラーは何故、より厳しいテストを課されないのか、一瞬止まって頭を巡らせたことはあるかと聞かれ、「いいや、それはないな」と答えた。

「僕は自分に、『なぜ第2セットの最初のゲームをブレークしなかったのか』と自問しているんだ」

 彼の卓越したプレーは、センターコートに入るために120ポンドを費やした者たちにとって、ことの始まりに過ぎなかった。この日、彼らはテニス界の3人の偉人を見るという、希少な楽しみを与えられたのだ。

 フェデラーの次には、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)がセンターコートに入った。合計23のグランドスラム・タイトルのうち、7タイトルをウインブルドンで獲得した彼女は、予選を勝ち上がった120位のエフゲニア・ロディナ(ロシア)を6-2 6-2で破った試合で、ほとんど抵抗らしい抵抗を受けなかった。そしてセレナのあとには、ウインブルドンで過去に2度優勝し、合計17のグランドスラム・タイトルを持つナダルが続いた。ナダルは、93位のイリ・ベセリ(チェコ)を6-3 6-3 6-4で下した。

 男子シングルスで勝ち残っているもうひとりの元ウインブルドン・チャンピオン、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は1番コートで40位のカレン・ハチャノフ(ロシア)を6-4 6-2 6-2で下し、試合後、フェデラーやナダルと同じくらいの時間をセンターコートで過ごしたいと言った。

 マナリノは、聖なるスタジアムでプレーすることで怖気づいてしまったのだろうか?

「センターコートでの試合ということや、観客席に大勢の人々がいるという事実は、何も変えはしないよ。唯一の違いは、僕の前にフェデラーがいたということだ。そして彼は、本当に手ごわい対戦相手だよ。そのことが仕事をより厳しくする」とマナリノは言った。

「対処が難しいのはそのことなんだ」

 マナリノは、第2セットの出だしに4つのブレークポイントをセーブし、1ゲームを取るのに多大な苦労を必要とした。このセットの彼は5-5まで食らいついていったが、そこからフェデラーがいいリターンでラリーのコントロールを握り、マナリノのアウトでブレークに成功した。第3セットの終わりにも、フェデラーは4-4からブレークし、それからサービスをキープして試合を終わらせた。

「すごく喜んでいいと思うよ」とフェデラーは試合後に言った。

  火曜日の女子シングルス準々決勝は、セレナ対カミラ・ジョルジ(イタリア)、グランドスラム大会で2度優勝した第11シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)対第14シードのダリア・カサキナ(ロシア)、2017年フレンチ・オープン優勝者で第12シードのエレナ・オスタペンコ(ラトビア)対ドミニカ・チブルコバ(スロバキア)、第13シードのユリア・ゲルゲス(ドイツ)対第20シードのキキ・バーテンズ(オランダ)となっている。

 水曜日の男子シングルス準々決勝でフェデラーは、第8シードのケビン・アンダーソン(南フリカ)と対戦する。2017年USオープン準優勝のアンダーソンは、ガエル・モンフィス(フランス)を7-6(4) 7-6(2) 5-7 7-6(4)で倒して勝ち上がった。

「僕は間違いなく、この試合を正しい方法で見なければならない。正しい見方というのは、“これはロジャーほどの器量を持つ選手を相手に、自分の力を試すチャンスだ”と考えることだ」とアンダーソンは言った。彼のフェデラーに対する過去の戦績は0勝4敗だ。

「僕らはこういう試合のために、ハードワークを積んでいる。僕と、僕のチームの皆がね」

 ドローの上半分のもうひとつの対決は、第9シードのジョン・イズナー(アメリカ)対第13シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)だ。ラオニッチは、2016年ウインブルドン決勝でアンディ・マレー(イギリス)に敗れる前に、フェデラーを6-3 6-7(3) 4-6 7-5 6-3で倒していた。

  ドローの下半分では、グランドスラム優勝歴12回のジョコビッチが2014年USオープン準優勝で第24シードの錦織圭(日清食品)と対戦する。そして第2シードのナダルは、2009年USオープン優勝者で第5シードのフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)かジル・シモン(フランス)と対戦する。月曜日の遅い時間にふたりの対戦が日没順延となったとき、デル ポトロはセットカウント2-1、スコア7-6(1) 7-6(5) 5-7でリードしていた。

  アンダーソン、イズナー、錦織にとって、ウインブルドン準々決勝進出は初めてのことだ。

 ナダルにとっては、これは帰還を意味する。彼はここ5大会で100位かそれ以下の選手たちに敗れ、2011年以来、ウインブルドンでこの段階まで至れていなかった。

「確かに久々のことだ」とナダルは言った。

「でも、ここにやって来るときには(いつも)、いい成績を挙げることができると考えながら来ているんだよ」(C)AP(テニスマガジン)

※写真は4回戦に勝利し、コートを去るロジャー・フェデラー(スイス)(撮影◎小山真司)

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