ジョコビッチがフェデラーとナダルに再合流し、ビッグ3に

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、男子テニスの頂点でロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)と合流しーービッグ4からビッグ2になっていたものが、今、ビッグ3に戻った。

 このそれぞれが、ある時点で、もはやだめだと言われた。しかし、それぞれが2018年にグランドスラム大会で優勝した。ジョコビッチは日曜日にウインブルドンで、ナダルは6月にフレンチ・オープンで、フェデラーは1月にオーストラリアン・オープンで。

「あの3人がこんなふうに戻ってくるとは、驚くべきことだ」とジョコビッチのコーチ、マリアン・バイダは言った。

 もしかすると1ヵ月半後にニューヨークのフラッシングメドウで始まるUSオープンは、今季の主権の均衡を破るかもしれない。3人は合わせて、ここ14大会のうち10大会で優勝している。フェデラーが5回、ナダルが3回、ジョコビッチが2回。この期間の13大会の決勝には、この中の少なくともひとり、ときにふたりが進出していた。

 8月8日に37歳になるフェデラーは、2004年から2008年に毎年優勝していたが、それ以降は優勝杯から遠ざかっている。32歳のナダルは、現チャンピオンだ。

 31歳のジョコビッチは、2017年後半を、のちに手術を受けることになる右肘の故障で棒に振り、USオープンも欠場していた。しかし、彼はウインブルドン決勝でケビン・アンダーソン(南アフリカ)を6-2 6-2 7-6(3)で圧倒することにより、グランドスラム・タイトルに見放されていた不毛の2年に終止符を打ち、トップへの帰還を布告している。

 このところ6大会連続でフェデラーとナダルのふたりがグランドスラム・タイトルを独占していたが、その進撃はウインブルドンで途切れることになった。

 昨年のUSオープン準優勝者のアンダーソンは、日曜日の決勝と、ふたりで練習をした際に身をもって感じた、ジョコビッチのプレーの質に感銘を受けていた。

「トップの選手たちは、極めて頻繁に彼をネットの向こう側に見ることになるだろうね」とアンダーソンは予想した。

 そうならない理由はない。

 31歳のジョコビッチは、史上4番目となる「13」のグランドスラム・タイトルを獲得した男だ。彼の先をいくのは、フェデラーの「20」、ナダルの「17」、彼の子供時代のアイドル、ピート・サンプラス(アメリカ)の「14」だけなのである。

 ジョコビッチはまた、ロッド・レーバー(オーストラリア)が年間グランドスラムを達成した1969年よりあとに、4つのグランドスラム大会に連続で勝った唯一の男だ。彼は、2015年ウインブルドンから2016年フレンチ・オープンにかけてそれをやってのけたが、以降、日曜日のウインブルドンまでの2年にわたり、グランドスラム大会で優勝することができずにいた。

 3度グランドスラム大会を制し、2度シングルスで五輪金メダルを獲ったアンディ・マレー(イギリス)が、ビッグ4の4番目の選手だ。しかし彼は、手術を必要とした腰の故障のため、昨年の大半をコート外で過ごした。ジョコビッチも離脱したとき、ビッグ4の4人組は半分になってしまった。

 そして今、それが3人組に戻ったのだ。

「僕が安定してこのレベルでプレーできるか、人々は問いを投げているだろうと思う。信じてほしいが、僕自身もそうなんだ。そして同時に今はこの成就を楽しみ、甘受しなければならないから、道のあまり先のほうを見ることはできない」とジョコビッチは言った。

「この(ウインブルドン)優勝は、自信を大きく増幅させてくれ、それが何であれ、これから起こることの踏み切り台となってくれるだろう」とジョコビッチは言い添えた。

「本当に、まだ未来を見ることはできない。でも、僕はハードコートでプレーしたい。USオープンは、僕がいつも成功をおさめてきた大会だったからね」

 それは事実だ。

 過去10度の出場で、彼は一度もベスト4以下の成績を挙げたことがない。彼はその期間に7度決勝に進出していた。

 そして、痛む右肘と、自身の疑念に邪魔された困難な時期を乗り越えた今、ジョコビッチは、かつての強い彼のように見えている。

 4月にジョコビッチのもとに戻った元コーチのバイダは、ここ2週間で重要な何かを見たと言った。

「間違いなく、彼はよりリラックスしている。しかしまた、楽しんでもいる。彼は楽しみ始めたんだ」とバイダは言った。

「これは、もっとも重要な瞬間だ。彼は疑う心、恐れなどをなくし、今、楽しむことができるようになった」

 アンダーソンを倒す前に、ジョコビッチは準決勝でナダルを乗り越えなければならなかった。ふたりの偉人がぶつかり、第5セット10-8という結果で終わった5時間15分の戦いは、このウインブルドンでもっともスリルに満ち、質の高かった試合の一角だった。

 ジョコビッチはそれを、打ち勝てるか否かを見るための『手にし得る中でも最大のテスト』と呼び、52度対決してきたライバルに対するその勝利から大きな自信を引き出した、と言った。

 ナダルの意見は?

 ナダルは、「ジョコビッチはふたたび彼の最高のレベルでプレーしている」と言った。アンダーソンのコーチ、ブラッド・ステインも、この評価に同意する。

「テニス界のために、よいことだよ」とステインは言った。「ノバクのような選手がカムバックに成功するのを目にできるというのは」。

 4つ目のウインブルドン・トロフィーを獲得して初めて、ジョコビッチはくぐり抜けてきた厳しい時期に感謝し、その経験が、長い目で見れば自分を助けることになったことを理解することができた。

「フラストレーションを感じ、望むレベルに戻れるのか否か、自問したときもあった」と彼は言った。

「でもそのことが、この旅路を、僕にとっていっそう特別なものにしてくれたんだ」

(APライター◎ハワード・フェンドリック)(テニスマガジン)

※写真はウインブルドンで優勝を手にした瞬間のノバク・ジョコビッチ(セルビア)(写真◎小山真司)

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