ミハエル・シュティヒとヘレナ・スコバが「国際テニス名誉の殿堂」メンバーに

 ミハエル・シュティヒ(ドイツ)は10代だった頃、サッカーかテニスか、どちらかひとつを選ばなければならなかった。国際テニスの名誉の殿堂入りすることになった今、彼は正しい選択をしたかのように見える。

 49歳のシュティヒ、そしてヘレナ・スコバ(チェコ)は土曜日、ニューポートで行われた祝典で、2018年にメンバーとなるたったふたりの選ばれし者として、殿堂に迎え入れられた。

「僕は18歳まで、両方をプレーしていたんだ。サッカーかテニスのどちらかを選ぶのは、ちょっぴり難しい選択だったけど、僕はテニスの方を好きだった。何故って、ピッチで好き勝手にプレーする他の10人の男たちに対処しなくて済むからね。テニスでどうするかについては、自分一人にかかっていたわけだから」と記者会見の際にシュティヒはコメントした。

 シュティヒは彼の唯一のグランドスラムでのシングルス・タイトルを、1991年に母国の英雄だったボリス・ベッカー(ドイツ)をウインブルドン決勝で倒すことによって獲得した。ベッカーもまた、名誉の殿堂のメンバーだ。シュティヒはそのほかにも、1994年USオープンと1996年フレンチ・オープンでも準優勝した実績を持っている。

 彼はまた、ベッカーと組んで臨んだ1992年バルセロナ五輪で金メダルを獲得した。

「ずっと、僕とボリス(ベッカー)は折が合わないと言われてきた。言うまでもなく、僕らはライバルだったが、うまくやっていくことはできた。僕らは常に、互いが互いより強くありたいと願っていたから、お互いの存在から多くの刺激を受けていたのだと思う」とシュティヒは当時を振り返った。

「僕らは、自分たちのゴールは共有することが可能なのだということを、自分たち自身に、そして他の誰に対しても証明して見せたんだ」

 ダブルスで顕著な実績を持つスコバは、女子ダブルスで9つ、ミックスダブルスで5つと、合わせて14個のグランドスラム・タイトルを獲得した。また、彼女はシングルスでも、オーストラリアン・オープンで2度、USオープンで2度と、グランドスラム大会で4度準優勝していた。

「私にとってもっとも重要なのは、シングルスでプレーすることだった」と彼女は言った。「私は練習があまり好きではなかったから、ダブルスは(練習として)完璧だったわ」。

 53歳のスコバは、1984年オーストラリアン・オープンでマルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)を破り、6つのグランドスラム優勝を含めたナブラチロワの74連勝を終わらせた、彼女のキャリアにおけるハイライトを振り返った。

「あのあとには、毎日3つの記者会見をやっている感じだったわね」と彼女は言った。「それまでには、記者会見なんて1回あるかないかだったのに」。

 やはり名誉の殿堂のメンバーであるジム・クーリエ(アメリカ)は、式典につめかけた観客たちに、家のあるニューヨーク市から出向いてくる前に、シュティヒに対する自分の対戦成績を調べたことをと冗談ぽく話してくれた。

「彼に対する12試合で5試合にしか勝っていなかったのを見たときには、来るのをやめようかと思ったよ」と彼は自虐して笑いを誘った。

 シュティヒは6歳のときに、家族が彼をテニスクラブに連れて行ったのだと教えてくれた。

「両親は、僕を家に残して出かけることができなかったんだ。だから彼らは、僕を連れてコートに行かなければならなかったのさ」と彼は説明した。

 そんなふうにして、彼のテニスへの愛は始まったのだ。

「僕は、もっぱら壁を相手にしてプレーしていたんだよ」とシュティヒは言う。「僕はラケットとボールをもらい、両親は“ここで2時間過ごしなさい。あとで迎えにくるから”と言ったんだ」。

 それは、彼の上達のための貴重で実りある時間となった。

「彼のテニスの美しさは、今でもはっきり記憶に残っている」とクーリエは感慨深く振り返った。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は「国際テニスの名誉の殿堂」に迎え入れられたミハエル・シュティヒ(ドイツ/右)とヘレナ・スコバ(チェコ/左)
NEWPORT, RI - JULY 21: 2018 International Tennis Hall of Fame inductees Helena Sukova and Michael Stich stand together following an induction ceremony on July 21, 2018 in Newport, Rhode Island. (Photo by Michael J. Ivins/Getty Images)

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Ranking of articles