深夜の死闘を制し、マレーが涙にむせぶ [シティ・オープン]

 アメリカ・ワシントンDCで開催されている「シティ・オープン」(ATP500/7月30日~8月5日/賞金総額214万6815ドル/ハードコート)の男子シングルス3回戦。

 シングルスで3試合連続で3セットマッチを制して準々決勝進出を決めたあと、アンディ・マレー(イギリス)はコートサイドの椅子に座り、タオルに顔をうずめてむせび泣いた。それから、午前3時までコート上にいることを強いたスケジュールに文句を言った。

 木曜日から日付が変わる真夜中の0時に始まった試合で、マレーは世界93位のマリウス・コピル(ルーマニア)を6-7(5) 6-3 7-6(4)で倒すのに非常に夜遅くまで働くこととなった。見守った観客は、100人程度しかいなかった。

「試合を午前3時に終えるというのは、いいことじゃない。プレーヤーにとってもよくないし、大会に関わっている誰にとってもよくないと思う。ファン、観客にとっても、テレビにとっても、誰にとってもよくないよ」とマレーは言った。故障前には世界1位で、3度グランドスラム大会を制したマレーは、1月の腰の手術を経て、今はかつての調子を取り戻そうと奮闘しているところだ。

 現在、世界ランク832位のマレーは、6月に11ヵ月の休止に終止符を打ち、ワシントンDCまでに3大会でしかプレーしていなかった。マレーはいまや、ここ4日の間に3つの3セットマッチをプレーしたことになる。各々の試合は2時間半以上を要していた。

 彼は金曜日の夜、19歳のアレックス・デミノー(オーストラリア)と対戦する予定になっている。しかし、ロッカールームの外で少人数の記者たちと話したマレーは、「プレーしないこともあり得る」と漏らしていた。

「僕は今、非常に長い活動休止期間から戻ったばかりの人間として、自分の見解を述べている。皆は明日も僕が出てきてプレーすることを期待するかもしれないけど、僕は自分をこのようなポジションに置くべきだとは思わない。筋の通ったことではないと思う」とマレーは言った。

「そのことにはがっかりしている。天候的に難しく、スケジューリングのためだというのはわかっているが、これは(そこにおかれる羽目になった者にとっては)非常に難しい状況だ」

 その日は雨によって、開始時間が3時間半ほど遅れていた。週前半の驟雨のためにスケジュールは過密になり、何人かの男子プレーヤーは木曜日に2試合をプレーすることを強いられた。

 コピルを倒したあとに、体はどんな具合に持ちこたえているかと尋ねられたマレーは、「今の状況で、いい気分な訳がないよね」と答えていた。

「どんなふうに、この状態から回復することを期待すればいいのかわからないよ。リカバリーのための作業(ストレッチやマッサージなど)を終えたころには、朝の5時半か6時になっているだろう。もちろんできる限り遅くまで寝るよう努力するけど、体内時計というものがあるから、数時間しか眠れないかもしれない」とマレーは言った。

「これはよくない。言うなれば、1日に2試合をプレーするのと同じことだ」

 第1セットのタイブレークで5-0とリードしたあと、マレーは7ポイントを連続で落とし、コピルにリードを手渡してしまった。

 しかし、かなり頻繁に自分自身やコーチに向かって喚いたあと、マレーは挽回して勝利をつかみ、復帰後の戦績を4勝2敗に向上させた。

 試合がついに終わり、コートサイドの椅子にたどり着いたあと、マレーは胸を波打たせながら、顔をタオルで覆って泣いた。

「とてつもなく長かった1日終りに、そして長かった試合の終りに、ただ感情が溢れ出したんだ」(C)AP(テニスマガジン)

※写真はアンディ・マレー(イギリス)
WASHINGTON, DC - AUGUST 02: Andy Murray of Great Britain waves to crowd after a victory over Marius Copil of Romania during Day Six of the Citi Open at the Rock Creek Tennis Center on August 2, 2018 in Washington, DC. (Photo by Mitchell Layton/Getty Images)

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