第1シードの中川由羅(横浜市立中川)が初の全国タイトル獲得 [全国中学生]

「第45回全国中学生テニス選手権大会」(8月19、20日団体戦、21~24日個人戦/広島広域公園テニスコート)の大会6日目の最終日は、男女個人戦のシングルス決勝、ダブルス決勝が行われ、女子シングルスは第1シードの中川由羅(横浜市立中川)が中島玲亜(倉敷市立児島)を7-5 6-1で下して優勝を飾った。

9時45分から決勝がスタート。試合前の整列 (写真◎BBM)

 全国大会の決勝はともに初。前日に「優勝したい」と口を揃えて応えた中川と中島の一戦は、第1セットから一歩も譲らないシーソーゲームとなった。中島が第2、4ゲームのリターンゲームを奪えば、中川もお返しとばかりに第3、5、7ゲームでブレークに成功。4-3から中川がサービスをキープし、第9ゲームを迎えた。

 30-40とセットポイントを迎えた中川だったが、「弱気になってしまった」ことでボールが浅くなり、中島の反撃にあう。豪快なパワーショットで押し込まれると5-4から5-5と並ばれ、中島に流れが傾き始める。

 勢いに乗った中島は30-0の場面で「早く決めなきゃ」と焦り、ダブルフォールトをおかす。一方の中川は「ここは強気にセカンド(サービス)を叩く」と心に決め、これが勝負の分かれ目となった。4連続ポイントでチャンスをものにした中川が、続くサービスゲームもキープ。第1セットを先取した。

 気持ちに余裕も生まれた中川は、得意のフォアハンドで相手を翻弄。ネットプレーも織り交ぜ、着実に1ポイントを積み重ねていく、1-0、3-0、5-0と突き放すと、最後は5-1からこの試合8度目のブレークで勝負あり。中川がストレート勝利で日本一の座を射止めた。

第2セットは完全に主導権を握って離さなかった中川 (写真◎井出秀人)

 誰よりもプレーが安定し、誰よりも冷静だった。初戦の武本萌衣(城南学園)に9-7と競り勝ったことで「今大会はひとつずつ勝つことを考えた。今日も決勝の感覚がなくて」と微笑む中川。勝ち上がるごとにパフォーマンスを上げ、相手を圧倒する姿が印象深かった。それも練習のおかげと勝因を明かした。

 昨年10月から練習場所をリビエラ逗子マリーナに移し、勝っていくためのメンタルの持ち方や試合前のウォームアップも学んだ。課題を克服する環境も揃い、上級生たちと打ち合うことで「速いボールにも対応できるようになった」と実感。その心技体の成長が、実を結ぶ結果となった。

中島は今大会でもっとも飛躍した選手のひとりに挙がるだろう (写真◎BBM)

 中島が見せたノーシードからの快進撃もストップ。コート内で仕掛けるのが理想だったが、相手の狙い澄ました深いボールに苦戦。「後ろから攻めすぎてミスが増えた」と反省を口にする。ただ、大会を通して自分のプレースタイルを貫いたことに「悔いはないです」とはっきりと断言した。

 守備面の強化に取り組んだこともあったが、結果が出なかった。パフォーマンスも落ち、自分には攻めるしかないと思ったという。最後は悔しい準優勝に終わったが、次の課題も見つかった。「これを乗り越えて、強くなれそうな気がします」と前を向き、笑顔を見せた。

 女子ダブルスの決勝は、奥野柚来と高山揺(生駒市立上)の3年生&1年生コンビが第2シードの金子さら紗/内島舞子(小平市立小平第二)を2-6 7-5 [11-9]で破り、逆転優勝を果たした。

奥野(左)/高山はピンチの場面でも積極性が光った (写真◎井出秀人)

 第1セットを奪われ、第2セットも3-5とリードされたが、そこから4ゲームを立て続けに奪ってスーパータイブレーク(10ポイント先取)に突入。最初の3ポイントを落とす苦しい立ち上がりから9-9までもつれこむと、強気の攻めで2ポイントを連取。息詰まる攻防を制し、奥野と高山は喜びを爆発させた。

 劇的な勝利に「最後のポイントが決まった瞬間は泣きそうになったし、本当に信じられなかった」と奥野が語れば、「(全国大会で)初めての優勝なので本当にうれしい」と高山も満面の笑み。奈良県で初の全中タイトルを手にした。

(編集部◎中野恵太)

※トップ写真は、女子シングルス決勝を争った中川由羅(左)と中島玲亜

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