ニューヨークで開幕した「USオープン」(8月27日~9月9日/ハードコート)の女子シングルス1回戦。

 世界1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)のような選手たちの何人かは、USオープンの喧騒とそれが引き起こすすべてにうまく対処できないと率直に認めている。

 反対に、44位のカイア・カネピ(エストニア)のような選手たちは、ビッグ・アップル(ニューヨークの愛称)とUSオープンと恋に落ちる。

 ハレプは月曜日に、カネピのパワーゲームに2-6 4-6で圧倒され、これ以上は無理というほど早い敗退を強いられた。ここ半世紀のプロ化以降の時代で、USオープンの初戦で敗れた初の女子第1シードとなってしまった。 

 ハレプは、初戦につきものの緊張と神経過敏、気持ちの問題を敗因に挙げ、これは彼女のキャリアを通して繰り返し起きていることだと言った。今年のフレンチ・オープン・チャンピオンであるハレプは、これで出場した「34」のグランドスラム大会のうち、12大会で初戦敗退を喫したことになる。これは、彼女ほど成功をおさめたプレーヤーにしては、驚くほど高い数字だ。

「常にナーバスさの問題なのよ」とハレプは言った。彼女は2017年USオープンでも、初戦でマリア・シャラポワ(ロシア)に敗れていた。

「トッププレーヤーであっても緊張はするの。人間なのだから」

 彼女はまた、会場と関係する理由も挙げた。

「たぶん、観客の立てる騒音も。この街は賑やかだわ。だからすべてが合わさってのことね」とハレプは言った。彼女はシンシナティとモントリオールで、2週連続で決勝に進出していた。

「私は静かな人間なの。だからたぶん、より小さな場所のほうが好きなのよ」

 それは再建され、今や1万4000席と開閉式の屋根を持つルイ・アームストロング・スタジアムの最初の試合だった。

 なんというスタートの仕方だったことか。この今年最後のグランドスラム大会の初日(DAY1)に、屋根は33度の暑さとまぶしい太陽を多少防ぎはしたものの、雨から試合を守る必要はなかった。

「ここのコートは私のテニスに合っている。そして私はニューヨークが好き。私はこの街が好きなの」とカネピは言った。エストニア人である彼女は、アンドレア・ペトコビッチ(ドイツ)とコーチをシェアしている。

「それに気候も好きだわ。湿気があって暑い気候が」

 1968年にプロ選手がグランドスラム大会に出場できるようになって以来、グランドスラム大会の1回戦で女子第1シードが敗れた前例は、この月曜日より前に5度しかなく、USオープンでは初のことだった。ウインブルドンでマルティナ・ヒンギス(スイス)に2度、シュテフィ・グラフ(ドイツ)に1度、これが起きており、フレンチ・オープンではアンジェリック・ケルバー(ドイツ)に1度、そしてオーストラリアン・オープンでバージニア・ルジッチ(ルーマニア)に1度起きていた。

 ハレプは今年のフレンチ・オープンで、初戦の第1セットをやはり2-6のスコアで落とし、スローなスタートを切ったが、結局その試合に勝ち、さらに6度勝って、最終的に優勝カップを掲げることになった。しかし、そのような挽回劇はカネピに対する試合では起きなかった。ビッグヒッターのカネピはラリーの主導権を握り、世界1位に対するキャリア2度目の勝利ーーただし2015年以来のトップ20に対する勝利ーーをおさめた。

 カネピは、1年前のフラッシングメドウで準々決勝に進出していることが見せる通り、時折、大きな成績を上げる能力を見せている選手だ。

 この日のカネピはベースラインからの打ち合いで優位に立ち、ウィナーではハレプの9本に対して26本と大きく上回った。そのうち14本は得意とするフォアハンドからのウィナーだった。

 左肩に2本のテーピングを施した右利きのカネピは、アンフォーストエラーの数でも上回ったものの(カネピの28本に対し、ハレプは9本)、ハイリスクだが報酬も高いタイプのスタイルが、最終的に実りを生んだ。

「ただアグレッシブに戦い、冷静さを保つよう努めるのよ、と思っていたの」とカネピは明かす。

 第2セットの序盤、2つのブレークを許して0-3とされる過程で、ハレプは2度ラケットを叩きつけ、主審からコードバイオレーションの警告を受けていた。

 その後、ハレプはカネピのミスにつけ込んでエンジンをかけ、2度ブレークすることで4-4と追いつき、彼女の名を繰り返し呼ぶファンたちから多くの応援を受けた。

「そのことについては考えていたわ。なんで観客たちは、彼女のためにこうも応援するの?と。だって普通、観客はアンダードッグを応援するものでしょう?」とカネピは笑みを浮かべて言った。

「ちょっと煩わされた時間帯もあったけど、克服したわ」

 間違いなく、カネピは克服した。彼女は14本のラリーをクロスのフォアボレーで終わらせることにより、すぐにブレークして5-4とリードし、次のサービスをキープして勝利をものにした。

     ◇   ◇   ◇

 そのほかの試合では、3人の男子シード選手が番狂わせに甘んじた。

 第8シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)は、グランドスラム大会優勝歴3回だが故障でランキングを落としていたスタン・ワウリンカ(スイス)に対して3-6 2-6 5-7と、ウインブルドンに続き、2大会連続で初戦負けを喫した。

 また、第16シードのカイル・エドマンド(イギリス)がパオロ・ロレンツィ(イタリア)に敗れ、第19シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)はジェイソン・クブラー(オーストラリア)にストレート負けした。

 勝者の中には、予選の1試合を含めここ8試合に連続で敗れていた第18シードのジャック・ソック(アメリカ)、第11シードのジョン・イズナー(アメリカ)がいた。

 アンディ・マレー(イギリス)はジェームズ・ダックワース(オーストラリア)を6-7(5) 6-3 7-5 6-3で破り、昨年7月のウインブルドン以来となるグランドスラム大会での勝利を挙げた。

 第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)は同胞のダビド・フェレール(スペイン)と初戦を戦い、6-4 3-4の時点でフェレールが棄権した。

 第3シードのフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)はドナルド・ヤング(アメリカ)をストレートで破り、今年のウインブルドンと昨年のUSオープンの準優勝者で第5シードのケビン・アンダーソン(南アフリカ)はライアン・ハリソン(アメリカ)に7-6(4) 5-7 4-6 6-3 6-4のフルセット勝利。また、フレンチ・オープン準優勝者で第9シードのドミニク・ティーム(オーストリア)はミルザ・バシッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)にストレート勝利をおさめた。

 4回戦で、ウイリアムズ姉妹の妹セレナか姉ビーナスと当たる可能性のあったハレプのほかに、初戦で敗れた女子シード選手には、第31シードのマグダレナ・リバリコバ(スロバキア)がいた。第17シードのセレナ・ウィリアムズ(アメリカ)はマグダ・リネッテ(ポーランド)を6-4 6-0で、第16シードのビーナス・ウィリアムズ(アメリカ)はスベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)を6-3 5-7 6-3で倒して勝ち上がっている。

 一方、ディフェンディング・チャンピオンで今年のフレンチ・オープン準優勝者である第3シードのスローン・スティーブンス(アメリカ)、第7シードのエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)、グランドスラム大会優勝歴2回で第12シードのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)らも2回戦に勝ち進んだ。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はシモナ・ハレプ(ルーマニア)(撮影◎毛受亮介)

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