WTAが規則変更を検討、棄権や出場取り消し多発のため

「コネチカット・オープン」(WTAプレミア/8月19〜25日/アメリカ・ニューヘブン/賞金総額79万9000ドル/ハードコート)のトーナメントディレクターであるアン・ウスターは先週、USオープン前の最後の前哨戦である同大会に出ると約束していたトッププレーヤーたちから、同じ話を何度も聞かされたと言った。

 彼女たちは、故障したか、具合が悪いかで、その一方では、それら問題は深刻なものではなかった…ニューヨークでのグランドスラム大会が迫っているだけに…ここまで言えば、おわかりになるだろう。

 ウスターは、WTAがルールを見直し、よいショーを提供したいと願う大会や、トッププレーヤーを観るためにお金を費やしたファンに、より役立つ変更を加えることを考慮し計画すべきときがきた、と信じている。

「私の大会の週、USオープン前の週だけの話ではない」と彼女は言った。

「女子テニスツアーを見てみれば、特にこの夏は、あまりに多くの出場取り消しや棄権があったことがわかるはず」

 特に、このニューヘブンで問題は、はなはだしかった。大会は、第1シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)を失った。彼女は、これに先立つ週に、2大会連続で決勝に進出したあと、月曜日にニューヘブン出場を取り消したのだ。公式な理由は、右アキレス腱の痛みだった。

「難しい決断だった」とハレプは言った。「でも仕方がなかった。私には休むことが必要だったのよ」。

 第6シードのアシュリー・バーティ(オーストラリア)、前日にシンシナティで優勝した第7シードのキキ・バーテンズ(オランダ)、そしてジョハナ・コンタ(イギリス)は皆、ウイルス(風邪)を理由に挙げ、出場を取りやめた。

 そのほかの選手たちは疲れ、週を通して勝ち抜けなかった。ハレプ同様、ワイルドカード(主催者推薦枠)で大会に出場したココ・バンダウェイ(アメリカ)は足首の故障のため、1回戦を途中棄権した。優勝歴3回で第3シードのペトラ・クビトバ(チェコ)は準々決勝に進出したが、肩の痛みを理由に1セットを終えたあとに棄権した。また、五輪金メダリストのモニカ・プイグ(プエルトリコ)は、8ゲーム後に腹筋がつって、準決勝を途中棄権することを余儀なくされた。

 その結果、カルラ・スアレス ナバロ(スペイン)は、わずか1試合だけをフルに戦い、4セットもプレーせずして土曜日の決勝に進んだのである。

 ウスターは、棄権していったこれらの選手たちは皆、プレーしたかったのであり、不真面目な決断を下していたわけではなかった、と言った。

 多くのトッププレーヤーたちはグランドスラム大会の1週前には、まったくプレーしないことのほうを好んでいる。選手たちは、より大きなタイトル、賞金、威信のためにプレーすることを阻みかねない、すべてに対して用心深くなる傾向を持つ。

 優勝者の賞金が13万6000ドルを受け取るに過ぎないニューヘブンを欠場したり、棄権した選手たちは皆、ニューヨークでプレーすることを予見していた。そこでは、1回勝てば5万4000ドル、2回勝てば9万3000ドル、3回勝てば15万6000ドルの賞金を受け取ることができるのだ。

 ウスターは、真の問題はWTAサーキットの構造と、長いシーズンなのだと言う。

 グランドスラム大会に加え、WTAはインディアンウェルズ、マイアミ、マドリッド、北京という、4つのプレミア・マンダトリーの大会を持つ。トップ選手たちはまた、ドーハ、ローマ、武漢、モントリオール、シンシナティのプレミア5のうち4大会でプレーしなければならない。それから、ほかの12のプレミア大会のうち2大会でプレーしなければならず、ニューヘブンはこのうちのひとつなのだ。

 選手たちが世界各地に数多くあるより小さな大会に引き付けられなかったとしても、それは構わない、とウスターは言った。ただその結果、疲労し、体を痛めた選手たちが、プレミアレベルの大会を欠場したり棄権したりすることになってしまうのだと。

「WTAツアーには、インターナショナル・レベルの大会がたくさんありすぎる。プレーダウン・ルールは、必要とされているほど強力でないどころか、必要な度合いからかけ離れている」と彼女は言う。

「プレーヤーたちは、非常に特殊で個別的状況において、インターナショナル・レベルの大会にプレーダウンすること(※自分に見合うより低いレベルの大会に出場すること)を許されるべきであり、いま現在はトップ10プレーヤーがプレーダウンして多くの試合をプレーするということは簡単ではない」

 WTAは夏のより早い時期に、あと2、3のプレミアレベルの大会を加えるかもしれないと告げてきた、とウスターは言った。そうなれば、ニューヘブンはUSオープン直前の週から離れることが可能になる。

 彼女はまた、大会の最後のほうまで勝ち進んだトッププレーヤーが、次の大会の前に1日余計に休みをとることができるようにする仕組みを見つけたいと言う。それはおそらく、大会の本戦のサイズを調整し、よりBYE(1回戦の免除)を許す、ということを意味するだろう。

 批判に答えるよう要求されたWTAは声明文を発し、いつも、ツアーをよりよくするための変更を検討することは厭わない、と言った。

「プレーヤーたちが戦いたいと思い、ファンたちが自分たちの地元の大会でお気に入りのスターたちを間違いなく見ることができるようにしたいと我々が望んでいるときに、出場の取り消しが起きことは非常に残念です」と大会主催者は言った。

「私たちは、(よりよい)カレンダーによって、選手たちがファンにエキサイティングなパフォーマンスを提供しつつ、個人が必要とすることとゴールにもっとも適したスケジュールを組んで、出場するとした約束を尊重できるようにすることができると信じています」

(APライター◎パット・イートンロッブ)

※写真は、USオープンの前哨戦であるコネチカット・オープンでツアー初優勝を飾った20歳のアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)
NEW HAVEN, CT - AUGUST 24: Aryna Sabalenka of Belarus returns a shot to Julia Goerges of Germany during Day 5 of the Connecticut Open at Connecticut Tennis Center at Yale on August 24, 2018 in New Haven, Connecticut. (Photo by Maddie Meyer/Getty Images)

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