「USオープン」(8月27日~9月9日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)の男子シングルス3回戦。

 ラファエル・ナダル(スペイン)は、膝の痛みに煩わせされていた。彼よりも10歳若く、胸板の厚い頑健な敵は、ボールを殴りつけるように打っていた。

 前年度覇者ナダルは実際、あと2ポイントで2セットダウンとなるところまで追い詰められていたのだ。それから彼は、やはりあと2ポイントで第3セットを落とすというところまでいった。そのあとには、第4セットを落として第5セットを強いられるまで、あと1ポイントという窮地にも立たされた。

 そして彼は、これらのカギとなる瞬間がやってきたとき、そのすべてを切り抜けることに成功した。世界1位のナダルは、ややおぼつかないスタートを克服し、いつもの不屈の精神を発揮した。

 彼は、第27シードのカレン・ハチャノフ(ロシア)を肉体的にもメンタル的にも消耗させ、最終的に4時間と23分を要し、流れが行き来した見ごたえある試合を5-7 7-5 7-6(7) 7-6(3)で制し、4回戦に駒を進めたのである。

「僕は、非常に厳しい状況から脱出した」とナダルは言った。「だから、これは素晴らしいことだよ」。

 彼が昨年のフラッシングメドウの決勝で倒した男、第5シードのケビン・アンダーソン(南アフリカ)も、上昇中の若い敵に対する自身のタフなテストを切り抜け、第28シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)に3-6 6-4 6-4 4-6 6-4で競り勝った。

 ナダルは、第1セットを落としたあと、トレーナーを呼んで右膝の下にテーピングを施した。それは、ここ数年にわたり、ときどき、しかし繰り返し、彼に問題をもたらしていた箇所だった。第2セット5-5の時点で、軽い雨のために開閉式の屋根が閉じることになり、そのための10分の休止の間に、彼はよりしっかりと膝にテープを巻いた。

 この中断の少し前、ハチャノフは5-4から自分のサービスゲームを迎え、3度に渡ってあと2ポイントでセットを取るところまでこぎつけていた。しかし彼は、それ以上に近づくことはできなかったのだ。ナダルはブレークバックに成功して5-5と追いつき、屋根を閉めるための休止のあと、ふたたびブレークしてセットカウント1-1に持ち込んだ。

 相手のボレーミスを引き出すパッシングショットによってそのセットを取ったナダルは、彼は体をかがめてから叫び声を上げ、ゲストボックスに座っていた人々は立ち上がり、多くの観客たちはスタンディングオベーションを送った。ハチャノフは、腹を立ててボールを叩きつけた。

 ナダルはのちに、その短い休止が自分が必要としていたものだったのだと言った。

「僕は少しの間、気持ちを落ち着けようと努めていた。彼は非常にいいプレーをしていた」とナダルは振り返った。

「でも僕にとってもっとも重要なのは、自分がプレーしているときに適切なテンポに乗っていることだった。ある瞬間に、僕はことが速く進み過ぎていると感じた。僕は、正しいステップを踏むための時間、正しい決意と、適切なタイミング、正しい判断をもって、ボールのところにいくための時間を取っていなかったんだ」

 第3セットの終わりも、似たような形となった。ハチャノフは2度にわたり、セット奪取まであと2ポイントに迫ったが、最後のラインを超えることはできず、タイブレークでダブルフォールを犯すことでナダルを助けてしまった。ナダルの方も、計4回セットポイントを決め損ね続けたが、彼は5度目のチャンスをものにした。

 どうやって? それは典型的なナダルのポイントでもあった。40本のラリーの応酬――そう、40だ!――の中で、最終的にハチャノフがバックハンドをネットにかける前に、ナダルは無数のディフェンス・スキルを披露した。長いラリーが自分のミスで終わったとき、ハチャノフはラケットをサイドライン上に落とした。

「もちろん、あのセットが必要だったんだ」とナダルは言った。

 彼には、切り抜けるべきターニングポイントをもう一度迎えた。それは第4セットでのハチャノフのセットポイントでのことだ。ハチャノフの6-5リードからのナダルのサービスゲームで、ナダルは30-40の劣勢に立たされた。

 しかしハチャノフは、ここでフォアハンドをネットにかける。そして、ドロップショット、ロブ、ハチャノフによる股下ショット”トゥイナー”、そしてナダルによるボレー・エースが見られたスリリングな次のポイントのあと、ふたりはまたもタイブレークへ。このタイブレークは、ナダルがほぼ常に優勢を保ったまま取った。

 総じて言えばナダルは、特に重要なポイントでハチャノフよりもうまく対処した。それは、年齢、経験、ここまでの成功の違いを考慮すれば、驚きでも何でもない。32歳のナダルは、3度のUSオープン優勝を含め、17のグランドスラム・タイトルを勝ち獲ってきた。対して22歳のハチャノフは、グランドスラム大会で、まだ4回戦以上に勝ち進んだことがない。

 しかし、198cm、87kgのパワーヒッター、ハチャノフが見せたこの日のパフォーマンス、22本のサービスエース、うなるようなグラウンドストロークは、彼の輝く未来を予告していた。

「それは僕が、トップ選手に対抗しうる高いレベルに間近まで迫っている、ということの証明だ。できれば近いうちに、そちら側にいけるように願っているよ」とハチャノフは言った。

 そうかもしれない。しかしナダルも、変わらずテニスの頂点にいる。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はラファエル・ナダル(スペイン)
NEW YORK, NY - AUGUST 31: Rafael Nadal of Spain reacts against Karen Khachanov of Russia during his men's singles third round match on Day Five of the 2018 US Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on August 31, 2018 in the Flushing neighborhood of the Queens borough of New York City. (Photo by Chris Trotman/Getty Images for USTA)

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