「USオープン」(8月27日〜9月9日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)の男子シングルスで2011年以来の準々決勝進出を決めたとき、ジョン・イズナー(アメリカ)は、その成功を祝うためにスタジアムに来ていなかった誰かに思いをはせた。彼の妻、マディだ。ふたりの初めての子供の誕生を待っている身重の彼女は、家にいた。

 イズナーは、もうひとつの大きなことをやってのけたいと願っている。それはUSオープン優勝だ。

「僕ではない理由はないだろう?」とイズナーは問いを投げた。

 彼のうなるようなビッグサーブが導いているなら、実際、どうしてできない訳があるだろうか?

 第11シードのイズナーは日曜日の夜、今季のグランドスラム大会で2度目となるミロシュ・ラオニッチ(カナダ)との接戦を、3-6 6-3 6-4 3-6 6-2で制した。

 イズナーは、先のウインブルドンの際に、彼にとってグランドスラム大会で最高の成績となる準決勝進出を果たす過程で、4セットの末にラオニッチを倒していた。33歳のイズナーは今、そのキャリアで最高のテニスをプレーしている。

 彼はマイアミとアトランタで優勝し、7年連続でもっともランキングが高いアメリカ人選手としてUSオープンに臨んでいる。

 イズナーは、第25シードのラオニッチに対する対戦成績を5勝1敗に向上させた。シングルスのドローに残っている唯一のカナダ人だったラオニッチは、第4セットのあとに背中に治療を受ける必要に迫られた。

 2016年のウインブルドン準優勝者であるラオニッチは、落としたセットでイズナーのサービスをブレ―クすることができず。ビッグサーバー同士の試合では驚くべきことに、タイブレークにもつれ込んだセットはひとつもなかった。

「5セット戦ったのに、ひとつもなかった。それ(タイブレーク)はプレッシャーが非常に高い状況だ」とイズナーは言った。

「もしそんなときがきたら、僕は楽しんだことだろうね。でも僕はちょっぴり、比較的簡単な形で勝つことができた」

 彼の基準に照らせば、より簡単で、より短い形だった。

 マラソンマッチをやりがちなことで知られるイズナーは、ルイ・アームストロング・スタジアムで、またも3時間8分を要した長い試合をプレーした。もっとも、ウインブルドンでケビン・アンダーソン(南アフリカ)に敗れたときの6時間半の試合に比べれば、ウォームアップのように感じられたことだろう。

 母国の庭に戻ったイズナーは、ニューヨークでファンのお気に入りだ。

 すべてのポイントでファンの後押しを得た長身のイズナーは、ウィナーを決めるたびに拳を突き上げた。シティ・フィールド(NYメッツのホームである野球場)がルイ・アームストロング・スタジアムの横にそびえる中、イズナーは、今年のフラッシングメドウで最大のパワーヒッター(強打者)であることを証明した。

 彼が時速227kmのサービスエースを決めて第3セットを取ったとき、観客は大歓声を上げた。彼は、この試合での20本のエースで、サービスエースの合計を今大会最多の112本とした。

「サーブだけを頼みにプレーした試合もいくつかあるが」と彼は言った。「でも今年、僕はほかの能力を見せたことのほうが多かった。それは、コート上でリラックスできていることからきているんだよ」。

 イズナーは準々決勝で、2009年USオープン・チャンピオンのフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)と対戦する。第3シードのデル ポトロは、今大会はまだ1セットも落としておらず、日曜日の4回戦で第20シードのボルナ・チョリッチ(クロアチア)を6-4 6-3 6-1で破る過程で18本のウィナーを生み出しつつ、そのフォアハンドの破壊力を披露して見せた。

 世界1位のラファエル・ナダル(スペイン)もまた、ニコラス・バシラシビリ(ジョージア)を6-3 6-3 6-7(6) 6-4で下し、準々決勝に駒を進めた。ディフェンディング・チャンピオンのナダルは、準々決勝で第9シードのドミニク・ティーム(オーストリア)と対戦する。これはフレンチ・オープン決勝と同じカードであり、クレーコートではないサーフェスでは彼らの初の対戦となる。

 ナダルは、その日曜日に、第3セットをタイブレークの末に落としながら、第4セットで奮起。バシラシビリのサービスを2度ブレークして勝つことにより、USオープン4回戦での戦績を8勝2敗に向上させた。

 一方のティームは、2017年USオープン準優勝のアンダーソンに7-5 6-2 7-6(2)のストレートで勝ち、ベスト8に駒を進めた。

 大きな勝利に満ちた今年、イズナーはまたひとつ大きな勝利をもって前に進んだ。だが、9月22日に娘の誕生を予定している彼にとって、より大きなマイルストーンは、この先に待っている。

 彼は、急いで家に帰る必要性が生じたときに備え、携帯電話の呼び鈴の音を大きく保ち、常にバッグに入れて持ち歩いている。

「それが間違いなく、僕の人生で今起きているもっとも重要なこと、この大会よりも重要なことだ」と彼は言った。

「でも、赤ちゃんが変わらず彼女のお腹の中にいる限り、僕はここにいるよ」(C)AP(テニスマガジン)

※写真はジョン・イズナー(アメリカ)(撮影◎毛受亮介)

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