「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月27日~9月9日/ハードコート)の大会8日目。

 レシヤ・ツレンコ(ウクライナ)が倒れそうになる体をラケットで支えていたとき、今にもリタイヤするのではないかと誰もが思ったはずだ。

 メディカルチームがすでに彼女が棄権するかどうか、尋ねたあとだった。今回は本人も本当にやめるかどうか、迷っていた。

「今日はもうダメかと思った瞬間が試合中に何度かあった」という。

 ポイント間に体を折り曲げてへたり込み、ときにはボールをまったく追わない場面もあった。数日間は過ごしやすい日々が続いたが、月曜日に猛暑がUSオープンに戻ってきた。そのとき、ツレンコは暑さにやられてしまい、めまいがしたという。

「彼女が本当に苦しんでいたと思わない。少し演技も入っていたんじゃない?」と対戦相手のマルケタ・ボンドルソバ(チェコ)は首を傾げる。

 ボンドルソバによると“演技をしていた”というツレンコは、6-7(3) 7-5 6-2の逆転勝利を収め、初のグランドスラム準々決勝に進出した。

 フラッシングメドウに暑さが戻ると、大会オフィシャルはヒートポリシーを再度導入した。女子は第2、第3セットの間に、男子は第3、第4セットの間に10分間の休憩を取ることができる。

 その休憩があっても、選手たちは火曜日まで続くと予想される、35℃近い気温の中で苦しんでいた。

「このコンディションでプレーするのは簡単じゃない。勝つためにタフに戦い生き残るだけ。そうする以外に方法はない」と4回戦でストレート勝利を収めたノバク・ジョコビッチ(セルビア)はコメントした。

 それこそがツレンコがコート上でしていたことだ。6選手が棄権に追い込まれた1回戦に比べれば、この日の暑さはそこまで厳しくなかった。何故そんなに苦しいのか、ツレンコにはわからなかった。そして第1セット5-4リードのときに、メディカルタイムアウトをとり、体温と血圧をチェックしてもらった。

「フィジオには何度か棄権するかと問われた。彼女は私が十分に呼吸できていないと言った。よく聞き取れなかったけど、目の状態もおかしいと言われた。もうプレーを続けられないと思われたから、何度もやめるか聞かれたんだと思う」とツレンコはベンチでのやり取りを振り返った。

画像: マルケタ・ボンドルソバ(チェコ)もオンコートでトレーナーに治療を受けた 写真◎Getty Images

マルケタ・ボンドルソバ(チェコ)もオンコートでトレーナーに治療を受けた 写真◎Getty Images

 第1セットのタイブレークでは、何度も体を折り曲げて苦しそうな表情を浮かべた。そしてそのセットを失うと、コートから離れて治療を受けた。第2セット0-2ダウンとなり、本気で棄権を考え始めた。だが、ボンドルソバはそんな風には見えなかったという。

「彼女が棄権するとは全然思わなかった。プレーはいつも通りにできていたから」という20歳のボンドルソバも、第1セットのあとに治療を受けていた。

 2回戦でカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)を倒す大番狂わせを演じたツレンコは、準々決勝で第20シードの大坂なおみ(日清食品)と対戦する。

「テニス選手は、全然違うコンディションの中でも戦わなければならないもの。たまにはこういうこともある。それでも何とか生き残らなければならない。あの苦しい状況を乗り越えられたことを誇りに思う」とツレンコは胸を張った。(C)AP(テニスマガジン)

※トップ写真はマルケタ・ボンドルソバ(チェコ)との試合中に、体を折り曲げて息をつくレシヤ・ツレンコ(ウクライナ)
NEW YORK, NY - SEPTEMBER 03: Lesia Tsurenko of Ukraine reacts during her women's singles fourth round match against Marketa Vondrousova of The Czech Republicon Day Eight of the 2018 US Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on September 3, 2018 in the Flushing neighborhood of the Queens borough of New York City. (Photo by Al Bello/Getty Images)

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