「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月27日~9月9日/ハードコート)の女子シングル準々決勝を、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、ためらいがちに始めた。彼女のショットはいつもの“鋭さ”を欠き、彼女の態度はいつもの“確信”が不足していた。セレナはフラッシングメドウで最後に自分を倒した選手、カロリーナ・プリスコバ(チェコ)と相対していたが、その彼女は、あたかも解決策を求めるかのようにコーチのほうを見上げ続けていた。

 火曜日の夜、わずか20分のうちにセレナは2度サービスを落とす危機にさらされる。もっともその少しあとには、結果はもはや疑問に付されてはいなかった。というのも、23度グランドスラム大会を制した元女王は突然、完全に試合の舵をその手につかんでいたからだ。

 セレナは、出だしのおぼつかなさと序盤の劣勢を脇に押しやり、8ゲーム連取で試合の流れを覆すと、第8シードのプリスコバを6-4 6-3で下して準決勝進出を決めた。これはセレナにとって、今季初のトップ10選手に対する勝利だった。

「本当によくないゲームをプレーしていたわ」とセレナは言った。彼女は、この試合の30本のアンフォーストエラーのうち22本を第1セットでおかし、あと1ポイントで1-4とされるところまで追いやられて、いずれにせよ2-4とリードされていた。

「私は、“もっとよいプレーができるはずだわ”と考えていた。だから(そうできたことは)いいニュースだわ」

 プリスコバは、セレナに一体何が起きたのか、推論を提供してくれた。「たぶん、(最初)彼女はちょっぴりナーバスになっていたんじゃないかしら」と。

 おそらく。しかしそれも、そう長くは続かなかった。

 プリスコバはビッグサーバーで、ビッグヒッターでもあり、WTAランキングで短い間とはいえ世界1位だったこともある選手だ。また、2016年USオープンでは準決勝でセレナを倒し、その後、準優勝を遂げている。

 一方36歳のセレナは、昨年のUSオープンの期間中に初子の出産を予定していたため、大会を欠場していた。

 2015年に遡ると、その年もセレナはやはり準決勝で敗れていた。USオープンで勝てば年間グランドスラム(1年のうちに4つのグランドスラムで優勝すること)を達成するはずだったその年、セレナの“夢の探求”は、ロベルタ・ビンチ(イタリア)によって阻まれるという、非常にショッキングな終わり方をした。

「私はただ、この準決勝を勝ち抜きたいわ。私にとっては(過去に)厳しい、いくつかの準決勝があったから」とセレナは言った。「それでも、ここまで、素晴らしい道のりよ」。

 今回、セレナの準決勝の対戦相手となったのは、第19シードのアナスタシア・セバストワ(ラトビア)だ。セバストワは、前年度覇者のスローン・スティーブンス(アメリカ)を6-2 6-3で下して周囲を驚かせた。

 鼻炎に苦しめられていると言ったスティーブンスは、第1セットでものにし損ねた7つのブレークポイントを筆頭に、多くのチャンスを浪費してしまった。

「重要なポイントでいいプレーができなければ、試合は手の中から逃げていってしまう」とスティーブンスは言った。

「それが、今日起きたことなのよ。私は(ブレークポイントを)ものにできなかった」

 セバストワは、2013年に故障のため一度引退し、約2年後にカムバックして、いま初のグランドスラム大会準決勝進出を決めた。

「まだまだ先は長いと思うわ」とセバストワは言った。

 特に、次のステップがセレナに対する試合だということを考慮すれば、そういう気持ちにもなるだろう。セレナは、グランドスラム大会で36度目、フラッシングメドウでは12回目の準決勝に臨もうとしているのだ。

 セレナはすでにウインブルドンで、最後に敗れたものの決勝に進出し、何年にもわたって見せてきた威圧的なプレーをする能力が変わらずあるところを証明して見せた。彼女は今、それよりも一段上のプレーをし、7度目のUSオープン・タイトルを勝ち獲りたいと願っていることだろう。

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 彼女のプリスコバに対する緩慢なスタートは、フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)に準々決勝で敗れたジョン・イズナー(アメリカ)を、また、ジョン・ミルマン(オーストラリア)に4回戦で敗れたロジャー・フェデラー(スイス)を妨げたのと同じ、気温約32度、湿度約50%のコンディションの中で起きた。この天候のせいで、大会はジュニアの試合を数時間中止したほどだったのだ。

 この湿気の高い暑さは、4時間49分におよび、水曜日の午前2時過ぎに終わった試合の間、世界1位のラファエル・ナダル(スペイン)、9位のドミニク・ティーム(オーストリア)にとっても、ことをよりタフにした。ナダルは0-6 6-4 7-5 6-7(4) 7-6(5)でこの死闘を切り抜け、準決勝に帰還していた。

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 3回戦で自ら倒した姉のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)がゲストボックスから見守る中、序盤のセレナは硬くなっているように見えた。ショットのタイミングは、ずれており、バックハンドをネットにかけてブレークを許すと、1-2とプリスコバにリードを許した。それから1-3ダウンの際に、彼女は3つのブレークポイントに直面し、もしプリスコバがそのうち1ポイントを取れば、1-4となる危機だったが、プリスコバはこれらのキーポイントで、セレナのサービスを返すことができなかった。

「強すぎたのよ」とプリスコバは言った。

 その少しあと、セレナは2-4の劣勢から巻き返して第1セットを取っただけでなく、第2セットで4-0とリードしていた。

 終了までには、セレナはサービスエースの数で13対3、ウィナーの総数は35対12と、プリスコバを大きく凌いでいた。

「彼女は(かつてと)同じパワーでプレーしていた。相変わらずいいサーブを打つこともできる。彼女のテニスに何か変化があるとは思わないわ。彼女はただ、ウィナーを狙って思いきって打ち込んでいる」とプリスコバは証言した。(C)AP(テニスマガジン)

女子シングルス準決勝 

セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)[17] vs アナスタシア・セバストワ(ラトビア)[19]

マディソン・キーズ(アメリカ)[14] vs 大坂なおみ(日本/日清食品)[20]

※[ ] 数字はシード順位

※写真はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)(撮影◎毛受亮介)

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