4強入りの大坂「最初に勝ちたい大会はUSオープン」

「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月27日~9月9日/ハードコート)の女子シングルス準々決勝で、第20シードの大坂なおみ(日清食品)がレシヤ・ツレンコ(ウクライナ)に6-1 6-1で圧勝し、初のグランドスラム準決勝に進出した。

 大坂は、わずか57分でこの試合に勝つことにより、今大会を通しての圧倒的な強さを継続させた。ここまでの5試合で、彼女が1時間もプレーする必要がなかったのは、これで3試合目だ。

 3歳のときに大坂は、日本からニューヨークへ引っ越した。そして今、グランドスラム大会における彼女の最良の進撃が、子供時代に初めて訪問した大会で起きているのだ。

「私にとってすごく大きな意味を持つことよ。私はいつも、もし私がグランドスラム大会で勝つことになるなら、勝ちたい最初の大会は、USオープンだと思っていた。なぜって私はここで育ったのだし、私の祖父や祖母も見に来ることができるから」と彼女は言った。

「本当に素敵なことだろうと思うわ」

 彼女は、調子のおぼつかないツレンコを相手に、第1セットでいきなり3-0とリードを奪い、それから第2セットでも4-0と引き離した。ツレンコは、彼女にとって初のグランドスラム大会準々決勝で、獲得ポイントよりも多くのアンフォーストエラーをおかした。

 準決勝で大坂は、第14シードのマディソン・キーズ(アメリカ)と対戦する。キーズは第30シードのカルラ・スアレス ナバロ(スペイン)を6-4 6-3で倒して勝ち上がった。

 女子の日本人選手がグランドスラム大会の準決勝に進出するのは、伊達公子が1996年ウインブルドンでベスト4に進出したとき以来のことだ。

 また、この日は日本の錦織圭(日清食品)がマリン・チリッチ(クロアチア)との男子シングルス準々決勝を戦うため、大坂のあとに続いてアーサー・アッシュ・スタジアムに入った。大坂と錦織のふたりは、1995年のウインブルドンで、ともに準々決勝に進んだ松岡修造と伊達以来となる、同じグランドスラム大会で同時にベスト8入りした日本人男子と女子になった。

 その後、錦織はチリッチを2-6 6-4 7-6(5) 4-6 6-4で破り、大坂に続いてベスト4に進出した。

 20歳の大坂は試合後、「内心、震え上がっていた」と主張しつつ、ナーバスになっていたと言ったが、それを決して表には見せていなかった。

「体中が震えていたの。だから今日いいプレーができて本当によかったわ」と彼女は言った。

 大坂は59ポイントを取り、対するツレンコは28ポイントにとどまった。

 ノーシードのツレンコは、2回戦で第2シードのカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)に対し、番狂わせを演じて勝ち上がっていた。

 だが、この水曜日のツレンコは、喉の痛みとともに目覚め、うまく呼吸できず、具合が悪かったのだと言った。

「不運なことに、この大会の間、私は多くの健康の問題を抱えることになり、そして言うまでもなく、今日は私のための日ではなかった。気分がよくなかったの」と彼女は打ち明けた。

 大坂は、アリャクサンドラ・サスノビッチ(ベラルーシ)を6-0 6-0で粉砕した3回戦を含め、大会の序盤で連続して試合を約50分で終わらせていた。

 その彼女が4回戦でついに“テスト”され、2時間あまりの戦いのあとに、6-3 2-6 6-4で第26シードのアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)に競り勝ったが、対ツレンコ戦での彼女は、ファーストサービスからの22ポイントのうち20ポイントを取りつつ(ポイント獲得率91%)、ふたたび完全にすべてをコントロール下に置いた。

 ツレンコは、マルケタ・ボンドルソバ(チェコ)に対する試合で暑さに苦しみ、第1セットでとったメディカル・タイムアウトの間に熱と血圧を測り、第2セットの出だしで劣勢に立たされていたときには、ほとんどリタイアしそうなほどだった。彼女は回復して3セットでの勝利をおさめたが、試合後、対戦相手のボンドルソバは、ツレンコは具合が悪いかのように演技していた、と非難した。

 その水曜日は、気温は30度ほどだったが、湿気のために体感温度は+10度となる、またも暑い午後となった。

 ツレンコは、気候に煩わされているようには見えなかったが、健康の問題のせいか、初の準々決勝に神経質になったせいか、アーサー・アッシュ・スタジアムに足を踏み入れた瞬間から調子がよくなかった。

 彼女はいくつかのボールを大きくアウトし、頻繁に大坂がポイントを取るために何か特別なことをする前に自らミスして、合計31本のアンフォーストエラーを刻んで試合を終えることになった。

「こういう試合は大嫌いよ」とツレンコは言った。

「大勢の観客の前で、この種のテニスを見せたくなかった。でも不幸なことに、私は今、プレーすることができないの」(C)AP(テニスマガジン)

※写真は準々決勝を終えたあと、オンコート・インタビューを受ける大坂なおみ(日清食品)(撮影◎毛受亮介)

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