大坂なおみがグランドスラム初優勝、セレナは審判と口論 [USオープン]

 セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、主審との長い口論の間に彼を“泥棒”と呼んだため、罰として1ゲームを奪われた。

「USオープン」(8月27日〜9月9日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)の女子シングルス決勝は、日本の大坂なおみ(日清食品)が6-2 6-4で勝利し、初のグランドスラム・タイトルを獲得する前に、ファンのブーイングとプレーの遅れで“カオス”に陥った。

 セレナにとってスコアボード上の最大の問題は、彼女が大坂の中にある、自分自身の若いバージョンによって、打ち破られたことだった。グランドスラムのシングルスで優勝した最初の日本人選手となった20歳の大坂は、36歳のアメリカ人、セレナをアイドルとして崇めている。

 アーサー・アッシュ・スタジアムでの表彰式の間、何千という観客たちは繰り返しブーイングをし、チャンピオンである大坂、そして準優勝に終わったセレナの双方が涙を流していた。セレナは最多記録とタイの24度目のグランドスラム・タイトル獲得を目指していた。

 セレナは大坂の肩に腕を回し、観客にこう言った。

「あなたたちがここで応援していたことは知っている。私もそれは同じ。でも、これをできる限り最良の瞬間にしましょうよ。私たちはこれを乗り越え、ポジティブになろうじゃないの。だからおめでとう、なおみ。もうブーイングはやめましょう」

 セレナは笑いながら、こう言い添えた。「私は心から思う。前進し続け、ここでふたたびプレーしたい。どうなるか見てみましょう」。

 これはセレナにとって、キム・クライシュテルス(ベルギー)と対戦した2009年準決勝におけるフットフォールトのあとの悪名高き熱弁、そして、サマンサ・ストーサー(オーストラリア)に対する2011年決勝における発声に対する判定(プレー妨害)についての口論に続く、フラッシングメドウでの3度目のオフィシャルとの大きな衝突だった。

 2018年決勝は、セレナが主審のカルロス・ラモスといかにして衝突したかで、永遠に記憶されることになるだろう。第2セットの第2ゲーム、グランドスラム大会では許されていないコーチングを受けたとして、主審のラモスが最初のコードバイオレーション(警告)を与えたあと、セレナは彼に謝罪を要求した。

 セレナは、自分は決してずるはしないと言って、すぐさま抗議した。

 試合が終わったあと、ESPNのインタビューで、セレナのコーチであるパトリック・ムラトグルーは、セレナにシグナルを送ろうとしたことを認めたが、彼女が自分を見たとは思わない、とも言った。彼はまた、すべての選手が試合中、その手のコーチングを受けていると思う、と言い添えた。

 セレナは、大坂のサービスを初めてブレークして第2セットで3-1とリードし、少しの間、試合の核心に戻りつつあるように見えていた。

 しかし、ブレークした直後のゲームで見せた自らのお粗末なプレーのせいでブレークバックされ、カッとなってラケットをコートに叩きつけ壊してしまった。この行為が2度目のコードバイオレーションを引き出し、セレナは自動的にポイント・ペナルティを与えられたのである。

 次のゲームが大坂の15-0リードで始まったことに気づいたとき、セレナはラモス審判に、彼はコーチングに関する最初のウォーニングを取り下げるべきだったと言った。

「私は人生を通し、一度もずるをしたことはないわ」とセレナは言った。「あなたは私に謝るべきよ」。

 彼女はのちに、「あなたは私からポイントを奪った。あなたは泥棒でもある」などと言って、ラモスとの口論を再開した。

 彼は3度目のコードバイオレーションを発することでこれに応え、その結果、 セレナは1ゲームを失った。これで、大坂の5-3リードとなったわけだ。

 ラモスは選手双方を呼んで自分の決定を説明し、セレナは、「冗談はやめてよ」と言いながら笑い出した。

 それから彼女は、大会レフェリーのブライアン・アーリー氏と話すことを要求し、彼はグランドスラム・スーパーバイザーとともに、コートにやって来た。

 セレナは彼らに対し、このエピソードのすべては「フェアじゃない」と訴え、「こういうことが私にはあまりに何度も起きている」と言った。

「そう言ったために1ゲームを失うなんて、フェアじゃない」とセレナは言った。

「多くのことを言った男子選手がたくさんいるけど、彼らは男性だから、彼らにはそんなことは起きないのよ」

 そしてその少しあと、試合は終わっていた。

 2017年の出産後にツアーに戻って以来のグランドスラム・タイトルを目指してるセレナにとって、これは7月のウインブルドンに続き、今年2度目のグランドスラム決勝での敗戦だった。

 彼女は、昨年のUSオープン期間中に娘のオリンピアが生まれたため、大会を欠場していた。

(APライター◎ハワード・フェンドリック)(テニスマガジン)

※コード・バイオレーション(Code Violation)----違反行為に対するペナルティは、次の順序で行われる。 1回目:警告、2回目:1ポイントを失う、 3回目:1ゲームを失う、4回目:失格。

※写真はUSオープン女子シングルス表彰式で、続くブーイングと騒然とした会場の雰囲気に涙を流す大坂なおみ(日本)と、彼女に寄り添うセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)(撮影◎毛受亮介)

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