「大阪市長杯 世界スーパージュニアテニス選手権大会」(ITFグレードA/大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター/本戦10月16~22日/ハードコート)の本戦6日目は、男女シングルス準決勝と男女ダブルス決勝が行われた。

 シングルスでは日本勢で唯一勝ち進んでいた齋藤惠佑(グローバルプロテニスアカデミー)がヴァランタン・ロワイエ(フランス)を5-7 6-1 6-2を破る健闘を見せ、第2シードのブ・ユンチャオケテ(中国)との決勝に駒を進めた。

 日本人ペア対決となった男子ダブルスは、池田朋弥(スポルトテニスアカデミー)/三井駿介(アクトスポーツクラブ)の東海ペアが藤原智也(サン城陽テニスクラブ)/山中太陽(西宮テニスクラブ)の関西ペアに6-1 7-5で勝利。女子は第7シードの川村茉那(CSJ)/光崎楓奈(h2エリートTA)が第1シードの佐藤久真莉(CSJ)/ジェン・チンウェン(中国)を7-6(3) 6-4で破り、男女ともに初のグレードAのビッグタイトル獲得となった。

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 体の小さな選手が大きな選手を技と精神力で倒す------そんなスポーツシーンを目の当たりにすることは、小柄な人種であるアジアの人々、もちろん私たちに日本人にとって痛快だ。164cmの齋藤が、20cm近くも大きく〈格上〉であるフランスのロワイエに対して繰り広げたテニスは、まさにそんな痛快さとスリルを見せてくれるものだった。

「どんどん打ってくるタイプのほうが自分は好きで、ループとかスライスとか緩急混ぜてこられるのが苦手。日本人にはそのことがバレているけど、外国の選手にはまだバレてない(笑)」と齋藤。それが、国内大会より国際大会のほうが好調な理由のようだが、実際ロワイエはその体格から生み出すパワーを武器に強打で押しまくるタイプだった。

 どんなに振り回され、押し込まれても、壁のようにはね返し続ける齋藤は、簡単に相手にチャンスボールを与えない。それどころか堅いディフェンスからいつのまにか攻めに転じて、フォアからもバックからも自在に際どいコースを狙ってウィナーを放った。

 第1セットは終盤まで両者キープのシーソーゲーム。5-5で初めてのブレークを許し、5-7でセットを落とした。その頃はまだ緊張で浮き足立っていたというが、トイレットブレークが少し冷静になるきっかけになった。第2セットになると持ち味に磨きがかかり、一方的にゲームを重ねて6-1で奪い返す。

 最終セットは第3ゲームで先にブレークに成功。しかし、ITFジュニア世界ランク264位の齋藤に対して39位のロワイエも容易に執念を捨てない。すぐにブレークバックを喫した。次のゲームで2度のダブルフォールトをもらってふたたびリードするものの、またも直後のブレークバックのピンチに直面。ここで4度のブレークポイントをしのぎ、4度のデュースの末にキープしたことが大きかった。

 窮地をしのぐと、第7ゲームで5度のデュースのあとだめ押しのブレーク。線審のコールにも苛立つロワイエに対し、苦しい場面でも淡々として態度もペースも崩さない齋藤は「気持ちでは勝っている」という手応えを力にし、最後まで敵の反撃を許さなかった。

 所属するグローバルプロテニスアカデミーから今回コーチは帯同していない。そのためこの1週間、対戦相手を研究した上での戦術的なアドバイスはまったくなく、普段世話になっているトレーナーからラインでの励ましがあるだけだ。ただ、大勢の観客が味方になった。

 この大会は毎年、週末になるとジュニア大会とは思えないほどの観客が訪れる。秋晴れの土曜日とあって、4000人収容のセンターコートは3分の2ほど埋まっていた。そんな状況に、「あんな多くの人の前でプレーするのは初めてで、緊張してしまって…」と序盤こそ足を引っ張られたが、数々の競った場面でどれほど後押しされたかわからない。

 過去2年、綿貫陽介(日清食品)と清水悠太(三菱電機)が日本選手の連続優勝という快挙を遂げているのも、ホームのパワーと無関係ではないだろう。最終日、快進撃の行方が楽しみだ。

(ライター◎山口奈緒美)

※写真は日本人選手として3年連続で男子シングルス決勝に進出した齋藤惠佑(グローバルプロテニスアカデミー)
撮影◎真野博正

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