「三菱 全日本テニス選手権 93rd」(賞金総額2850万円/本戦10月27日~11月4日/大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター/ハードコート)は本戦3日目、男子はシングルス2回戦の8試合とダブルス2回戦の4試合が行われた。

 女子に1日遅れて男子もシード勢が登場し、注目のカードが一気に増えた印象だ。中でも第1シードの伊藤竜馬(北日本物産)は、経験・実績で群を抜いている。その実力を見せつける初戦だっただろう。予選上がりの竹島駿朗(Team REC)を6-1 6-0、わずか57分で退けた。

「初戦で緊張することはわかっていたので、入念にアップをして、1ポイント目から入れた。練習していることもしっかり出せて、初戦としてはよかったと思います」と満足の内容でもあった。

 6年前には自己最高の世界ランク60位をマークした伊藤だが、30歳になった現在は163位。グランドスラムの舞台からはもう3年遠ざかっている。

「昔の自分はどこからでもエースを狙っていくようなところがあったけど、そういう躍動感みたいなものが消えていたような気がする」と停滞の原因を分析する。安定性を目指す中で、それと引き替えにかつての大胆さを失ったと感じているのだ。今大会では、粘り強いプレーの中にも、「もともとの持ち味を相手に見せつけるようなプレーを出していきたい」という。

 国内ランキング一桁の選手で今大会に出場しているのは5位の伊藤だけ。優勝して当たり前、そして優勝したいと強く願ってもいるが、「この大会を通して自分のテニスを向上させること」が、5年ぶり2度目の優勝以上に大きなテーマだ。

 今回はまた、初めて混合ダブルスにも出場している。全日本に限らずミックスダブルスの経験はなく、パートナーの小堀桃子(橋本総業ホールディングス)とは昨日初めて挨拶を交わしたばかりという不思議な組み合わせだが、「これも新たなトライ(笑)」とおどけた。これは、30日以降の混合ダブルスにも注目しないわけにはいかない。

 シングルスの話に戻ろう。伊藤のほかにも第4シードの清水悠太(三菱電機)、第6シードの田沼諒太(ワールド航空サービス)など上位シード勢が初戦となる2回戦を突破した。

 清水はプロ1年目の19歳。一つ年下の川上倫平(あきやま病院)を相手に第1セットは7-5と苦戦したが、第2セットは6-0と寄せつけなかった。第1セットの終盤までは、清水のカウンターを防ぐためにムーンボールを多用してミスを誘うという川上の戦術が功を奏したかたちだ。しかし、「(川上の作戦に)気づいて、対処することができたのがよかった」という清水が一枚上手だった。

 一昨年は当時18歳の綿貫陽介(日清食品)が優勝し、昨年は20歳になったばかりの高橋悠介(三菱電機)が制した。「この1年で僕もけっこう成長したし、年の近い選手が優勝していることで自分のチャンスがあると思える」と清水。優勝候補の一角として期待され、自覚もしている成長株。全日本はまだ2年目だが、もうチャレンジャーではない。

(ライター◎山口奈緒美)

※写真は伊藤竜馬(北日本物産)(撮影◎宮原和也)

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