サウジアラビアでのエキシビションマッチの招待を断ったフェデラー

「ロレックス・パリ・マスターズ」(フランス・パリ/10月29日~11月4日/賞金総額544万4985ユーロ/室内ハードコート)で行われた記者会見で、ロジャー・フェデラー(スイス)が12月にサウジアラビアで行われる予定のエキシビション・マッチへの招待を断ったことを明かした。

 そのイベントには、ラファエル・ナダル(スペイン)とノバク・ジョコビッチ(セルビア)が出場を約束している。

 サウジアラビアは、同国の記者、ジャマル・カショギ氏が、10月2日、トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館内で殺害された事件に続き、日増しに膨らむ国際社会からのプレッシャー下に置かれている。カショギ氏は、サウジアラビアの王子について批判的な記事を書いた、ワシントン・ポストのコラムニストだった。

 ナダルとジョコビッチは、12月22日にジェダのキング・アブドゥラー・スポーツセンターで行われるエキシビションマッチでプレーするか否かに疑念を示したが、出場を取り消してはいない。双方の選手が招待を受けたのは、少なくとも1年は前のことだと言った。

 火曜日にパリで、やはり招待されていたのか、と尋ねられたフェデラーは、「彼らは僕にも連絡を取ってきた」と認めた。彼はそれから、どうして招待を断ったのか、と尋ねられた。

「その時期にあそこでプレーしたくなかったからだよ」とフェデラーは答えた。「だから僕にとっては、非常に迅速な決断だった」。

 人権擁護運動などを行っている団体、アムネスティ・インターナショナルは、ナダルとジョコビッチにも、サウジアラビアでのプレーをやめるよう促した。

「もちろん、その状況のことは知っている。でも僕はもう1年も前から、あそこでプレーすると約束しているんだ。僕のチームは、ことを分析するため、いま彼らと話をしている。それだけだ」

 ナダルは、彼の立ち位置について尋ねれたとき、こう答えた。

「ひとりのジャーナリストが命を落としたというのは、痛ましいことだ。あそこの内部で何か非常に悪いことが起きたことは知っている。だから我々は、状況がどんなふうになるのか見るつもりだ。できる限り早く状況が明確になるよう願う」

 ジョコビッチもまた、サウジアラビアのエキシビションでプレーする決断は、ずっと前に下されたものだということを明言した。

「もう1年以上、彼らに約束しているんだ。この対戦の可能性について話し合ったのは、実際、昨年のことだ」と彼は言った。

「そうするというのは、僕のプロテニスの観点からの決断だった。もちろん、先頃起きたことは知っている。もちろん、悲しいことだ」

 ジョコビッチもまた、そのエキシビションに出場するか否かについて、はっきりさせるところまではいかなかった。

「僕のチームは今、ラファのチーム同様、サウジアラビアの人々と連絡を取り、言うまでもなく、状況をよりよく理解するために話をしている」と14度グランドスラム大会を制した男は言った。

「現時点で、僕らは十分な情報を得ていない。より深く事態を見てみて、それから決断を下すことになるだろう」

 彼はまた、「あそこに行くのがいいのか、そうでないのか、分別のある決断を下せるよう、何が起きているのかについて、より情報を得なければならない」とも言い添えた。

 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、取り調べは迅速に行われる必要があり、サウジアラビアで拘留されている18人の容疑者をトルコで裁判にかけることができるよう、引き渡しを要求したいと言った。トルコはまた、まだ発見されていないカショギ氏の遺体がどこにあるのかを突き止める手助けをするよう、サウジアラビアに要請している。

 トルコは、殺し屋の一団がカショギ氏を殺害するためイスタンブールにやって来て、その後、事実を隠ぺいしようとした、と主張している。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はロジャー・フェデラー(スイス)
PARIS, FRANCE - OCTOBER 30: Roger Federer of Switzerland speaks during a press conference on Day 2 of the Rolex Paris Masters on October 30, 2018 in Paris, France. (Photo by Justin Setterfield/Getty Images)

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