上位シードに波乱なし、伊藤竜馬、清水悠太らがベスト8進出 [第93回三菱全日本テニス選手権]

「三菱 全日本テニス選手権 93rd」(賞金総額2850万円/本戦10月27日~11月4日/大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター/ハードコート)は本戦5日目、男子シングルスのトップハーフの3回戦、ダブルスは同じくトップハーフの準々決勝が行われた。

 男子シングルス16強の中で最年少は、19歳の清水悠太(三菱電機)と羽澤慎治(慶應義塾大学)。ふたりは今春、通信制の西宮甲英高校を卒業した同級生だ。1年のときにはインターハイの団体戦も制した。羽澤は大学へ進学し、清水はプロへ。道は分かれたが、今大会はダブルスも組んでベスト8に勝ち残っており、シングルスではドローの上と下からそれぞれ勝ち進む勢いを見せている。

 まずはトップハーフに位置する清水が、この日3回戦を戦った。相手は第13シードの21歳、山﨑純平(日清紡ホールディングス)。清水といえば昨年の世界スーパージュニアのチャピオンという肩書きがあるが、山﨑も同大会で16歳のときに準優勝した実績がある。国内ジュニアのタイトルなら小学生の頃から数々手にしてきた山﨑のことを、2つ年下の清水はいつも見上げていたという。

「でも、最近は僕もランキングが上がってきて、ただすごいなーというふうではなく……」

 はっきりと言葉にはしなくとも、清水がプロ1年目で感じている手応えは伝わってくる。

 そしてその成長を証明するように、清水は6-3 6-2で快勝。両セットとも2度ずつブレークに成功し、自身は第1セット最初のサービスゲームで一度ブレークポイントを握られた以外は、危なげなくサービスをキープした。

「相手を自分の思うように動かすことができたと思う」。控えめな口調の中に、満足感をにじませた。

清水悠太(三菱電機/左)と山﨑純平(日清紡ホールディングス/右)

 順当なら清水が準決勝で挑むことになる第1シードの伊藤竜馬(北日本物産)も、ベスト8に駒を進めた。過去2度ベスト4に進出している29歳の片山翔(伊予銀行)を6-1 6-3で一蹴。第2セットは4-1のリードから第7ゲームをブレークバックされてイーブンにされたが、第8ゲームで2度のデュースのあとふたたびブレークしたあたりの落ち着きはさすがだった。最後は自身のサービスゲームできっちりと締めくくった。

「ちょっと嫌なムードにもなったけど、そこで興奮しすぎず、それでもしっかり攻めていくことができた」

 山場となったその数ゲーム、両者ともにかなり激しく打ち合ったが、「ムキになっている感じではない。しっかり安定して打てている」という実感があるそうだ。30歳を迎えた伊藤だが、年齢を言い訳にせず、より強靭かつフレッシュな体作りに取り組んでいる成果だと見ている。

伊藤竜馬(北日本物産)

 準々決勝で対戦する第6シードの田沼諒太(ワールド航空サービス)は、今年7月にフューチャーズ初優勝を果たした23歳。フューチャーズで2度対戦し、今年の甲府では伊藤がセットを奪われている。

「サーブとフォアにいい回転がかかっていて、思いきりプレーしてくる選手。しっかり警戒しながら自分のテニスは崩さずにいきます」と気を引き締めた。

田沼諒太(ワールド航空サービス)

(ライター◎山口奈緒美)

※トップ写真は清水悠太(三菱電機)(撮影◎宮原和也)

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