第1シードの伊藤竜馬が全日本V「決勝のプレーが一番よかった」 [第93回三菱全日本テニス選手権]

「三菱 全日本テニス選手権 93rd」(賞金総額2850万円/本戦10月27日~11月4日/大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター/ハードコート)の本戦9日目/最終日、男子シングルスは決勝が行われ、第1シードの伊藤竜馬(北日本物産)が第2シードの徳田廉大(フリー)を6-3 6-0で下し、5年ぶり2度目の優勝を飾った。

 序盤から激しいストローク戦が繰り広げられた。伊藤の意地、徳田の気迫が激しくぶつかり合う。開始直後の第1ゲーム、5度のデュースの末にブレークを許した徳田だが、2-3からの第6ゲームでブレークに成功して3-3に追いつくと、大声を張り上げた。

 だが、そこから徳田が1ゲームも奪えずに試合が終わるとは誰が想像できただろう。追いついて安心したわけではない。「流れをつかみかけていたのに、自分から手放してしまった」と徳田が悔やむ。それからは「ついていくのがやっとだった」と振り返った。

持ち味を封じられて準優勝に終わった徳田

 伊藤は自分でも驚くくらいに落ち着いていた。「しっかりと集中できた。大会を通じて決勝のプレーが一番よかったと思う」と笑った。徳田が粘ってくることは予想していたから、「どっしりといこう」と決めていた。3-3に追いつかれても慌てず、自分のプレーに徹した。

 じわじわとリードを広げ、そして突き放した。「ゾーンに入ったというか、ボールしか見えていない状態だった」と伊藤。現在の世界ランクは163位と293位。その差を見せつけるように、伊藤が威力のあるボールを徳田のコートへ叩き込んでいった。

大会を通じて「冷静に戦えた」と伊藤

 2013年の優勝以来、昨年は4年ぶりに全日本に戻ってきた。しかし、第1シードから準々決勝で敗退。それでも今年も欠場せず、また挑んできた。「エントリーした時点で優勝しかないと思っていた。全日本とか関係なく、ひとつの大会として入り込むことができた」と30歳のベテランが胸を張った。

「完敗です」と徳田。序盤はともかく、第2セット以降は「打ち合う状況になると差があると感じた」と言う。それでも必死に食らいついていったが、ゾーンに入ってしまった伊藤の勢いを止めることはできなかった。昨夜は大ファンでもある広島東洋カープが日本シリーズで敗れ、ともに日本一を逃す残念な結果に終わった。

表彰式での伊藤(左)と徳田

編集部◎牧野 正 写真◎江見洋子

※トップ写真は、優勝を決めた瞬間の伊藤竜馬

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