“普段通り”で頂点に立った埼玉 [ソニー生命カップ 第40回全国レディース]

 アマチュア女子テニスの最高峰「ソニー生命カップ 第40回 全国レディーステニス大会」(11月8~10日/東京都昭島市・昭和の森テニスセンター/砂入り人工芝REDコート)の大会最終日は、準決勝、決勝、3位決定戦がすべて3面展開で行われた。

 準決勝が優勝の行方を分けるカギになった。埼玉はD3の和久井道代/米原恵子が6-2 6-0、D2の齋藤圭子/松本みなみが6-3 6-0で早々に決勝進出を決めた。それに対して大阪はD1、D3を終え1勝1敗となり、D2に勝負の行方が委ねられた。

準決勝で3時間超えの激闘を制した大阪のD2那須月美/竹本真由香(写真◎菅原淳)

 お互い緩いボールでのラリーが続き、我慢比べとなる。そんな中、大阪の竹本真由香/那須月美は相手が打ちにくそうに見える球種でうまくミスを誘い、スーパータイブレークを10-7で制し、決勝に駒を進めた。

 だが、3時間を超える激闘を終えた竹本/那須は、ほとんど休む間もなく決勝に臨まなければならなかった。決勝では足が動かず、集中力を保つことができなかった。相手となった埼玉の齋藤圭子/松本みなみは甘くなったボールを逃さず叩き、6-2 6-1でD2を制した。

埼玉のD2齋藤圭子/松本みなみ(写真◎菅原淳)

 大阪のD1を務めた高橋千佳は事前に相手の練習を見る機会があったという。だが、そこで相手の動きとショットの速さを見て、必要以上に警戒し過ぎた。腕が縮こまって普段のスイングができず、相手の逆をとるコースにコントロールしながらも、何度もネットにかけてしまった。

「コードに当たってこちらに跳ね返るボールが多かったのが残念。打ち急いでいた。コードボールが1本でも入ってくれたら、流れも変わったかもしれない」と高橋は悔やんだ。

思い通りのプレーができなかった大阪の高橋千佳/真貝真弓(写真◎菅原淳)

 それに対して埼玉の中村優子は「普段通り」を意識し、声を出して気迫を前面に出すスタイルを決勝でも貫いた。「秋篠宮妃紀子さまが観戦される中でも、大きな声を出してもいいのか」大会本部に確認をとってから臨んだという。

 硬くなった相手に対していつも通りの気迫のこもったプレーでガッツポーズを見せ、相手を上回った。すぐ隣のコートで齋藤/松本がD2を制した直後に、自分たちも6-2 6-3で制し、埼玉の優勝を決めた。

埼玉のD1柴本美有紀/中村優子(写真◎菅原淳)

「選手だけでなく、監督、埼玉の応援のみなさんなど皆さんの勝利。昨年出場した選手の方が朝早く並んで場所取り、雨のときは室内のコートをとってくれた」と中村はチーム力を優勝の要因に挙げた。

 中村と組んだ柴本美有紀は安堵の表情を浮かべた。1回戦で左膝を痛め、入念にケアをして痛みに耐えながら戦い抜いてきた。準決勝では敗れていたが「決勝は私たちが勝たないと優勝できないと思った」と力を振り絞り、栄冠を勝ち取った。

健闘を称え合うD3の和久井道代/米原恵子(埼玉)と榎原志保/上口真知代(大阪)

 D3を制した大阪の榎原志保/上口真知代は、大会を通して先に勝利をつかみチームに勢いをもたらした。一方、決勝では敗れたものの、埼玉の和久井道代/米原恵子も大事な勝利でチームに貢献してきた。

 この12年間で4度目の出場となった米原は、初めてベスト4入りを果たし、今後は大会に出場できなくなる“卒業”のステータスを手にした。「卒業だけでなく、優勝もできたのは夢みたい」とその喜びを噛みしめ、後輩たちにバトンをつないだ。

(編集部◎池田晋)

※トップ写真は飛び上がって勝利を祝う埼玉チーム(写真◎菅原淳)

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