トップ8によるエリート大会「Nitto ATPファイナルズ」（イギリス・ロンドン／11月11～18日／賞金総額850万ドル／室内ハードコート）の大会2日目はグループ・グーガ・クエルテンのラウンドロビン第1戦が行われ、第1シードのノバク・ジョコビッチ（セルビア）が第8シードのジョン・イズナー（アメリカ）を6-4 6-3で下し、6度目のタイトル獲得に向けて印象的なスタートを切った。

　初戦の結果が、O2アリーナのコンディションが過去よりも難しいのではという論議を呼んでいたが、ジョコビッチがその論争を終わらせた。

　日曜日に敗れた第2シードのロジャー・フェデラー（スイス）、またこの日辛勝した第3シードのアレクサンダー・ズベレフ（ドイツ）は、ミスが多発した初戦について、難しいコンディションだったと表現した。しかしジョコビッチは、自分のサービスゲームで6ポイントしか落とさず、6本しかアンフォーストエラーを犯さなかった。

「ここ10年というもの、僕のここでの成績はかなりいい。だからあまり文句は言えないね」とジョコビッチは言った。彼はこのロンドンの会場で、4度優勝を遂げている。

「このサーフェスは、順応するのに少し時間がかかるだけだ。いいサーフェスだよ」

　年末ランキングで世界1位となったことを祝うセレモニーの翌日、通常なら破壊的な威力を持つイズナーのサービスを無効化することにより、ジョコビッチは格の違いを見せつけた。

　1972年以降では最年長でATPファイナルズ初出場を果たした33歳のイズナーは、全力を尽くして戦っていたが、第1セットは1度以上ブレークされることをなんとか回避するのがやっとで、第2セットでは2回以上ブレークされないようにするのが精いっぱいだった。

　大会の雰囲気について、イズナーは「とても素晴らしかったよ」と言った。

「観客たちに、もっと応援してもらえるように見せ場を作りたかったけどね」

　第1セット2-2からジョコビッチがやってのけたブレークは、フォアハンドクロスのリターンエースによるもので、イズナーは動くこともできなかった。

　観客席には、サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドの姿も見られた。このユベントスのFWの存在により、ジョコビッチはいっそうやる気を駆り立てられたのかもしれない。

「彼のような偉大なサッカーのスターが観に来てくれるというのは、素晴らしいことだね」とジョコビッチは言った。

　第2セット3-3の15-30から、イズナーは時速203kmのセカンドサーブを放ったが、ジョコビッチはそれをいとも簡単に相手の足元に打ち返した。驚いたイズナーはバックハンドをアウトして、2本のブレークポイントを与えてしまった。

　イズナーがフォアハンドをミスしてブレークが確定し、それで勝負はついた。容赦ないジョコビッチは次の自分のサービスゲームをキープしてから、マッチポイントで測ったように正確なバックハンドのパッシングを決め、さらにもう一度ブレークした。

　デイセッションの試合では、ズベレフが双方のセットで先にブレークを許しながら挽回し、第5シードのマリン・チリッチ（クロアチア）に7-6(5) 7-6(1)で競り勝った。

　2年連続で初戦での対決となったこの試合で、ズベレフはいくぶん安定性の高いプレーをし、O2アリーナでのチリッチとの対戦成績を2勝0敗とした。彼はキャリアを通してのチリッチとの対戦成績でも、6勝1敗でリードしている。

　46本のアンフォーストエラーを犯したチリッチは、今回が4度目となるこの大会での戦績を、1勝9敗とした。

「勝利が、もっとも重要なことだ」とズベレフは言った。彼は初出場だった昨年の大会で、ラウンドロビン（総当たり戦）から勝ち上がることができなかった。(C)AP（テニスマガジン）

※写真はノバク・ジョコビッチ（セルビア）
LONDON, ENGLAND - NOVEMBER 12: Novak Djokovic of Serbia celebrates during his singles round robin match against John Isner of The United States during Day Two of the Nitto ATP World Tour Finals at The O2 Arena on November 12, 2018 in London, England. (Photo by Julian Finney/Getty Images)