フェデラーが記録更新となる15回目の準決勝へ [Nitto ATPファイナルズ]

 トップ8によるエリート大会「Nitto ATPファイナルズ」(イギリス・ロンドン/11月11~18日/賞金総額850万ドル/室内ハードコート)の大会5日目はグループ・レイトン・ヒューイットのラウンドロビン第3戦が行われ、第2シードのロジャー・フェデラー(スイス)が第4シードのケビン・アンダーソン(南アフリカ)を6-4 6-3で下し、記録更新となる15回目の準決勝進出を決めた。

 キャリア100勝目となるATPタイトルを追っているフェデラーは、相応しいときにピークを持ってきた――またしても。

 彼が準決勝に進むためには、1セットを取れば十分だった。錦織圭(日清食品)に対するストレート負けで大会を始めたフェデラーだったが、この日はここ3試合で最高のパフォーマンスを見せ、ラウンドロビン(グループ内総当たり戦)を2勝1敗で終わらせた。

「僕はいつも、自分なりのペースで大会に臨むようにしているんだ。(勝ち進んだときに)エネルギーが残っているように。今週もそんなふうにできてよかったよ。72時間前には、そんなふうに見えていなかったはずだ」とフェデラーはコメントした。

「ケイに対する最初の試合は厳しいものだった。それにより、あとがない状態、背水の陣となったおかげで、もしかすると(今日は)僕にとってプレーしやすくなったかもしれない。すでに勝ち上がりが決まっていたケビン(アンダーソン)にとっては、逆に難しくなったんじゃないかな。でも僕は、全力で戦った。今日ようやく、ある程度いいテニスができたことをうれしく思う。これは違ったタイプの選手がいる、楽しいグループだった」

 デイセッションの試合で第6シードのドミニク・ティーム(オーストリア)が第7シードの錦織に6-1 6-4で勝ったことで、フェデラーは1セットを取ればベスト4進出という状況となり、アンダーソンは同大会で準決勝に進出した初の南アフリカ人選手となることが確定していた。

 第1セット5-4から自分のサービスゲームを迎えたフェデラーは、たちまち0-40とリードされて追いつかれそうになったが、20度グランドスラム大会を制した男はもっとも重要な場面でいいファーストサービスを入れて、この危機をしのいだ。

 圧倒的な勝利をおさめた最初の2試合で、アンダーソンは1度も相手にブレークポイントを与えなかった。しかしフェデラーは、第2セットでもさらに2度ブレークを果たしてグループ1位の座までを手に入れ、そうすることで、おそらく準決勝で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)を当たることを回避した。

「そこは少しがっかりだ。ここまですごくいいテニスをしてきたと感じていたからね」とアンダーソンは言った。

「でもプラスの面は、準決勝に勝ち上がったということだ。素晴らしい気分だよ」

 錦織に敗れた第1戦では自分のプレーの調子の乱れに苦しみ、ティームを倒したときには主にサービスだけを頼みとしていたフェデラーだが、この日はついにグラウンドストロークのタイミングを取り戻し、アンダーソンのサービスに一貫してプレッシャーをかけ続けた。

 この試合前には打破不可能に見えていたアンダーソンのサービスは勢いを弱め、彼は2本のダブルフォールトでフェデラーに4-3のリードを献上した。しかし、O2アリーナの熱心なファンにとって驚き――そしてがっかり――だったことに、フェデラーは一連のミスですぐにブレークバックを許してしまった。

 それでもフェデラーはすぐに安定性を取り戻し、続くゲームで繊細なドロップボレーを決めて再度ブレークすることに成功。最終的にそのセットを6-4で取り、過去16度の出場で準決勝を逃したのはたった1度という相性のよさを証明した。

 第2セットでのフェデラーは、自分のサービスゲームでわずか4ポイントしか落とさなかった。彼はバックハンドスライスを効果的に使ってブレークを果たし、4-3とリード。アンダーソンのサーブだった5-3からの最終ゲームでも、フェデラーはやはりスライスで相手のタイミングを崩し、15-40と2つのマッチポイントをその手につかんだ。

「僕は気持ち的にはアグレッシブな姿勢でプレーしていた。スライスを使い、いい形でショットにバリエーションをつけることもできた」とフェデラーは試合を振り返った。

 フェデラーに対するウインブルドン準々決勝でマッチポイントを凌いだ末に5セットマッチを制していたアンダーソンは、21本の長いラリーのポイントを奪って脅威を与えたが、今回は同じ逆転劇を演じることができなかった。

 アンダーソンのさらなる2本のフォアハンドのミスで試合に終止符が打たれた瞬間、フェデラーは直接対決での勝利によってグループ首位となった。

 金曜日に終わるグループ・グーガ・クエルテンの最終日に、ジョコビッチがトップ通過を決める可能性は高いとみられているため、首位となったフェデラーが決勝までジョコビッチと対戦しないですむ可能性が高まった。準決勝では、各グループの1位が別のグループの2位と対戦することになっている。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はロジャー・フェデラー(スイス)
LONDON, ENGLAND - NOVEMBER 15: Roger Federer of Switzerland plays a backhand during his round robin match against Kevin Anderson of South Africa during Day Five of the Nitto ATP Finals at The O2 Arena on November 15, 2018 in London, England. (Photo by Julian Finney/Getty Images)

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