前回優勝のセレナがUSオープン以来のツアー復帰戦で勝利 [オーストラリアン・オープン]

 今年最初のグランドスラム「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月14~27日/ハードコート)の大会2日目。

 これはセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)にとって、なかなかの復帰だった。あたかも決してツアーから離れていなかったかのような。

 妊娠中だった2017年にタイトルを勝ち獲ったとき以来となるオーストラリアン・オープンの試合で――これは彼女にとって、昨年9月のUSオープン以来のツアー公式戦でもある――タチアナ・マリア(ドイツ)を6-0 6-2で圧倒したセレナは、威圧的な強さを誇ったかつての彼女であるように見えた。

「“深いところに飛び込んで泳ぎ、何が起こるか見てみる”といった類いの感覚だったわ」とセレナは49分の仕事後、オンコートインタビューで言った。

 彼女はUSオープン以来、グランドスラムの水につま先を浸していなかった。ニューヨークの決勝ではコーチングを受けたことで警告を受けてから、すべてはセレナにとってまずい方向に転がった。彼女はその後、ラケットを折っことどでポイントをはく奪され、それから審判を泥棒呼ばわりしたためにゲームも失った。

 1回戦後の記者会見で、グランドスラム大会でコーチングは許されるべきかという質問の一貫としてこの試合のことが持ち出されたとき、彼女はこう答えた。

「文字通り、ノーコメントよ」

 マリアに対する試合は、セレナにとって大したテストにはならなかった。というのも世界ランク74位のマリアは、この試合に先立つグランドスラム大会1回戦の通算戦績が11勝15敗だったからだ。すべてのグランドスラム大会において3回戦に1度至ったのが最高で、WTAツアーでのタイトルは12年のツアー生活の中でたったひとつだけだった。

 一方のセレナは、メルボルンでの8度目のタイトルと、マーガレット・コート(オーストラリア)が持つオープン化前も含む全時代を通しての最多優勝記録とタイとなる24回目のグランドスラム制覇を目指している。

「私は、いまや永遠と思えるほど長く、記録を目指している」と37歳のセレナは言った。「だから、どんな違いも感じないわ」。

 この試合は、どれほど一方的なものだったか?

 第1セットを終えるのに18分しか必要としなかったセレナは、その過程でわずか29ポイントしか落とさなかった。元世界1位のセレナは2018年に24試合しかプレーしなかったこともあり、今回第16シードに過ぎなかったが、一度もブレークポイントに直面せず、ウィナー数では相手の7本に対して22本と3倍以上を決めた。

「もしかすると、私は気持ち的に少し圧倒されてしまっていたのかもしれない」とマリアは試合後にコメントした。

 ほんの少しだけ。

 ふたりのプレーヤーは、フロリダの同じ地区に家を持っている。

「ときどき一緒にバーベキューをやったりするのよ」とマリアは言った。そしてふたりの娘たちは――セレナの娘は16ヵ月で、マリアの娘は5歳だった――ときどき一緒に子供の遊びの会に参加しているのだ。

「前回ここに来たときには私はもう妊娠していて、同時にプレーしてたわけで、ちょっと正気の沙汰じゃなかったと思うわ」とセレナは振り返った。

「今回、自分だけでコートに戻っていく、というのは奇妙な感じがする」

 火曜日に勝った他のシード選手の中には、第7シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)、第12シードのエリース・メルテンス(ベルギー)、第13シードのアナスタシア・セバストワ(ラトビア)、第17シードのマディソン・キーズ(アメリカ)、第18シードのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)らがいる。

 セレナの姉であるビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)は、ここ5年で初めてグランドスラム大会でノーシードとなった。彼女は第25シードのミハエラ・ブザネスク(ルーマニア)に対して1回戦負けまであと1ゲームというところまで追い詰められたが、そこから挽回して6-7(3) 7-6(3) 6-2の勝利をおさめた。

 ビーナスは7度グランドスラム大会を制しており、オーストラリアン・オープンでは2度準優勝しているが、現在ランキングを36位まで落としている。

 2年前、セレナが23度目のグランドスラム大会優勝を遂げて、プロ化以降の時代の最多優勝回数でシュテフィ・グラフ(ドイツ) とのタイ記録を破ったとき、誰も彼女が妊娠していることを知らなかった。

 彼女の娘、オリンピアは2017年9月1日生まれ、セレナは昨年の3月までツアーから離れていた。彼女のグランドスラム大会復帰は2018年フレンチ・オープンで実現し、そこで彼女は4回戦まで勝ち進んだが、胸の筋肉の故障で試合前に棄権していた。それから、ウインブルドンとUSオープンでの準優勝が続いた。

 気温が32度にまで上がった湿気の多い火曜日の午後、セレナは自身が「セレナ-タード」と呼んでいる緑のレオタードのようなものを身に着けていた。そして彼女の危険なサービスは2つのエースしか生まなかった一方で、そのほかの武器はしっかりと機能していた。

 昨年ツアーに復帰したばかりのとき、彼女は頻繁に、過去と比べて現在の調子のレベルはどのくらいの割合かと尋ねられていた。

 しかしセレナは、その手の比較に興味を持っていない。

「もうその手の格付けはしたくないわ。そういうことは、自分にあまりにネガティブな期待を与えることになると思うから。私は常に天に届くことを期待しており、それ以下のものは何であれ、私にとって不十分なのよ」とセレナは言った。

 彼女は2回戦で、2014年ウインブルドン準優勝者のユージェニー・ブシャール(カナダ)と対戦する。

「わからないわ。ただ自分が正しい方向に向かって進んでいるということはわかっている。私には、自分が正しい方向に向かっていると感じられるの。何が起こるか見てみましょう」(C)AP(テニスマガジン)

※写真はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 15: Serena Williams of the United States plays a backhand in her first round match against Tatjana Maria of Germany during day two of the 2019 Australian Open at Melbourne Park on January 15, 2019 in Melbourne, Australia. (Photo by Mark Kolbe/Getty Images)

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