若きアメリカ人、ティアフォーとフリッツが番狂わせを起こし3回戦へ [オーストラリアン・オープン]

「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月14~27日/ハードコート)の大会3日目、男子シングルス2回戦。

 フランシス・ティアフォー(アメリカ)は白いシャツの右袖をまくり上げ、上腕二頭筋を収縮させると筋肉を5回叩いた。それから彼は胸を何度も強く打ち、「レッツゴー、レッツゴー、カモン!」と叫んだ。

 若いアメリカ人の誇大な表現を許してやってほしい。結局のところこれは、彼の始まったばかりのキャリアで最大の勝利なのだ。

 第1セットを落とし、第2セットでも0-3とリードされていた20歳のティアフォーは、そこから挽回し、2度グランドスラム大会の決勝に至った強豪で今回第5シードのケビン・アンダーソン(南アフリカ)を4-6 6-4 6-4 7-5で下した。

「僕は違う域に至った。僕は途轍もなく力を振り絞った」と世界ランク39位のティアフォーは言った。

「肝心なのは戦い抜くことだ。これらの選手たちは非常に強い。重要なのは、どれほど貪欲に、激しく欲しているかなんだ。そして僕は、本当に強く欲している」

 この日、もうひとりのアメリカの若手が、3回戦でティアフォーに合流することになった。メルボルンパークで一度もそこまで至ったことのなかった21歳のテイラー・フリッツ(アメリカ)が、相手に与えた13のブレークポイントのうち12本をセーブして、第30シードのガエル・モンフィス(フランス)を6-3 6-7(8) 7-6(6) 7-6(5)で下したのだ。

 フリッツは次のラウンドで、オーストラリアン・オープン2連覇中で「20」のグランドスラム・タイトルを獲った男、ロジャー・フェデラー(スイス)と対戦する。

「僕はいま、対戦するようになった多くの選手たちを観て育った。YouTubeでどれほどモンフィスのハイライトの動画を見たか知れないよ。フェド(フェデラー)は、言うまでもなく子供時代からの僕の成長の人生を通し、ずっとすべてに勝ってきた常に最高の選手だった」とフリッツはコメントした。

「だから、ふたたび彼といっしょに同じコートに足を踏み入れることができるなんて、最高に素敵だよ」

 アメリカの男子が1勝5敗だった日の翌日、この国の若き派遣団は2つの番狂わせをやってのけ、そのうち何人かは勝利をつかむことはできなかったものの、ほかのシードたちにちょっとした脅威を与えた。

 世界81位のマッケンジー・マクドナルド(アメリカ)は結局、5-7 7-6(9) 4-6 4-6で敗れたものの、第6シードのマリン・チリッチ(クロアチア)を追い詰めた。

 デニス・クドラ(アメリカ)は第18シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)に対して最終的に4-6 5-7 6-3 7-6(6) 4-6で敗れたものの、勝負を5セットにまでもつれさせた。

 1回戦のアメリカ人対決で、第9シードのジョン・イズナー(アメリカ)を破った21歳のライリー・オペルカ(アメリカ)は、トーマス・ファビアーノ(イタリア)に対してサービスエースの数で67対2と大きく勝り、身長でも15cm上だったにもかかわらず、7-6(15) 2-6 4-6 6-3 6-7(5-10)という大激戦の末に屈することになった。

「このアメリカ人のグループは、本当に注目に値すると思うよ。皆が優秀だと僕は思うから」とフリッツは言った。

 チリッチは2014年USオープン・チャンピオンで、昨年メルボルンパークでの決勝でフェデラーに敗れて準優勝していた男だ。シングルスとダブルスのNCAAチャンピオンで23歳のマクドナルドに対し、チリッチは25本のサービスエースを刻んだ。

「予想していたよりもずっと厳しい試合だった」とチリッチは振り返った。「彼については、あまりよく知らなかった」。

 ティアフォーにとって、アンダーソンの最大の武器である威圧的なサービスが、右腕の問題のせいで時間が経つにつれスピードを落としていったことも助けとなった。

 アンダーソンはエンドチェンドの際に繰り返しトレーナーを呼んで治療を受け、試合が長引くにつれ、そのサービスは時速10kmほど減速した。アンダーソンは、昨年のウインブルドンと2017年USオープンで準優勝しており、これに先立つティアフォーとの3対戦のすべてに勝っていた。

 しかしティアフォーは、トップ10に対する勝利でこのところの6連敗に終止符を打ち、自己ベストの成績とタイになるキャリア2度目のグランドスラム大会3回戦進出を決めた。

「自分の立ち位置を明らかにし、このような対戦に勝ち続けることをますます心地よく感じられるようにしてくれる試合というものがある」とティアフォーは言った。

「だから、僕は間違いなく、この試合のことを頭に刻みつけるよ」

 試合後のしぐさについては、「観客が気に入ってくれたことを願うよ」とティアフォーは言った。

 もし次のラウンドでアンドレアス・セッピ(イタリア)を倒せば、ティアフォーはグランドスラム大会の2週目にデビューすることになる。

 月曜日に21歳の誕生日を迎える彼は、「もし僕がその日にプレーし、誰かを倒したなら、それは手にし得る中で最高の誕生日プレゼントだ」と言った。

 7度目のオーストラリアン・オープン・タイトルと3連覇を目指しているフェデラーは、ダニエル・エバンズ(イギリス)を7-6(5) 7-6(3) 6-3で下して3回戦に駒を進めた。

「試合の早い段階で引き離すことができなかった」とフェデラーは言った。彼は実際、あと2ポイントで第1セットを落とすところだったが、最終的にストレートで試合を終えることに成功した。

(APライター◎ハワード・フェンドリック、翻訳◎テニスマガジン)

※写真は右がフランシス・ティアフォー、左がテイラー・フリッツ(ともにアメリカ)(撮影◎Getty Images)

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