• 「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月14~27日/ハードコート)の大会8日目、女子シングルス4回戦。

     セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が試合前の紹介のアナウンスの中、メインコートへ歩み入っていったとき、スタジアムのスピーカーから流れた声は観客にこう促した。

    「世界ナンバーワンプレーヤー!…ルーマニアのシモナ・ハレプを歓迎しましょう」

     おっと!

     ヘッドフォンをつけていたセレナは素早く向きを変え、今通ってきたばかりのトンネルに戻った。

     その数時間後にセレナが、試合の流れが何度も変わり、双方からの素晴らしいプレーに満ちていたその対戦でハレプに対し6-1 4-6 6-4の勝利をおさめたとき、今のランキングがなんであれ、どちらが世界1位かは明らかになった。

    「非常に緊迫した接戦だった。信じられないようなポイントがいくつかあったわ」とセレナは試合を振り返った。

     彼女はハレプに対する対戦戦績を9勝1敗とし、次の準々決勝で2016年USオープン準優勝のカロリーナ・プリスコバ(チェコ)と対戦することになった。

    「私はテニスをプレーするのが大好きだし、ここでプレーすることが好き。戻ってこられてうれしいわ」とセレナは語った。37歳の彼女は、出産とその後の身体の問題のため、昨年のオーストラリアン・オープンを欠場した。

     ツアーに戻って以来、セレナはここ2つのグランドスラム大会で決勝に進出したがその双方で敗れ、いまだマーガレット・コート(オーストラリア)が保持するすべての時代を通してのグランドスラム優勝回数の最多記録「24」にひとつ足りない位置にいる。

     ハレプは今年のオーストラリアン・オープンで、セレナに最初の真のテストを課した。セレナはここで8度目の優勝を目指している。ハレプは、主導権が行き来し、パワー、コートカバーリング、見事なショットメーキングの混合が見られた魅力的なこの対戦を通し、セレナにプレッシャーをかけ続けた。

     セレナが第3セットの非常に重要なゲームで3つのブレークポイントを凌いでサービスをキープして3-3とするまで、試合の舵を握っていたのはハレプのほうだった。

    「私は少しアンラッキーだったわ」とハレプは振り返った。

     セレナは次のゲームでブレークを果たして4-3とリードし、ついに勝利への道を見出した。

    「私はあそこで踏ん張り続けるために、自分にはできると知っている私らしいやり方でプレーしなければならなかった」とセレナは言った。彼女は出産とその後の産休の間にツアーから離れていたため、今回は第16シードとしてメルボルンパークに臨んでいた。

    「私はファイターよ。決してあきらめない。それは間違いなく持って生まれたものね。私はすべてのポイントで全力を振り絞って戦った」

     確かに彼女はそうしていた。彼女はまた、すべてのポイントがいかに自分にとって重要かを、はっきりと示して見せていたのだ。

     3回戦で彼女の姉ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)を倒していたハレプに対し、セレナはカギとなるラリーを取ったあと、頻繁に拳を突き出し、「カモン!」と叫んだ。ハレプのあるショットがネットコードに当たり、ネットをぽろりと越えてウィナーとなったときには、悲しそうな表情で、「フェアじゃないわ」とつぶやいた。しかしその小さな不運が、セレナの決意を挫くことはなかった。

     第7シードのプリスコバはより早い時間帯の試合で、2度グランドスラム大会を制した第18シードのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)を6-3 6-1で下した。

     女子ドローの同じサイド(トップハーフ)のもうひとつの準々決勝は、第4シードの大坂なおみ(日清食品)対第6シードのエリナ・スビトリーナという顔合わせになった。

     昨年のUSオープン決勝でセレナを倒して優勝していた大坂は、4回戦で第13シードのアナスタシア・セバストワ(ラトビア)に4-6 6-3 6-4で競り勝った。一方のスビトリーナは、2017年USオープン準優勝者で第17シードのマディソン・キーズ(アメリカ)を6-2 1-6 6-1で下した。

     セレナとハレプは、揃ってダブルフォールトとミスショットを出し合い、やや緊張感を漂わせながら最初の2ゲームでブレークを交換し合った。しかし、先に落ち着きを取り戻したセレナがウィナー数で10対3と相手を上回り、最初のセットを取った。

    「電車に轢かれたかのように感じたわ」とハレプはのちに明かしている。

     第2セットで先にブレークされたハレプは、それから突然目覚めたかのように、今度は彼女の側の特質であるベースラインプレーの才能を披露し始めた。それは彼女を、2018年オーストラリアン・オープンで決勝へ、そしてフレンチ・オープンで優勝へと導いた能力だ。

     ハレプは試合全体を通して12本しかアンフォーストエラーをおかさず、特にセレナのミスの数が合計31にまで増えていく中、このクリーンなプレーがハレプを試合の核心に連れ戻した。

    「彼女はフィジカル的にも感情的にも、本来のセレナに戻ってきている。彼女はいいレベルにあるとと思う」とセレナのコーチを務めるパトリック・ムラトグルーは言った。

    「彼女はビッグな戦いを必要としているのだと思う。それが今日起きたことだ。これは素晴らしいことだと思うーー特にこんなふうに終わった暁にはね」

     ハレプと対戦するまで、セレナは今大会のこれに先立つ3試合を通して9ゲームしか落としていなかった。

     ハレプはこの試合だけでそれを上回る数のゲームを奪っただけでなく、セレナのオーストラリアン・オープンにおける連続獲得セット数を「21」でストップさせた。それはセレナが妊娠中だった2017年のタイトルへの進撃から始まった、セット連取の記録だった。

    「全体的に見て、私は踏ん張り続けていた。全体的に見て、私は堅固だったと思う」とセレナは試合を振り返った。

    「間違いなく、私は新しいレベル、さらに高いレベルに至ることができる。もし大会にとどまり続けたいなら、そうしなければならないわ」

     これがナイトマッチだったため、娘オリンピアは起きていることができなかったとセレナは明かした。

    「でも明日の朝、私たちは遊ぶわ。映画のビデオでも見て」と彼女は言い添えた。セレナは、『フローズン』と『美女と野獣』はもう何千回も見たとジョークを言った。

    「私は、『オリンピア、ものすごく多くの映画から、好きなのを選んでいいのよ。別のやつを選ばない?』と言っているんだけどね」(C)AP(テニスマガジン)

    ※写真はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)
    MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 21: Serena Williams of the United States celebrates during her match against Simona Halep of Romania during day eight of the 2019 Australian Open at Melbourne Park on January 21, 2019 in Melbourne, Australia. (Photo by TPN/Getty Images)

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