プイユが初の準決勝へ、コーチのモレスモーについて「彼女は素晴らしい」 [オーストラリアン・オープン]

「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月14~27日/ハードコート)の大会10日目、男子シングルス準々決勝。

 ルカ・プイユ(フランス)はアメリー・モレスモー(フランス)をコーチに雇うまで、オーストラリアン・オープンでのすべての試合で負けていた。

 そしてモレスモーとともにスタートした数ヵ月後、彼は初めてグランドスラム大会の準決勝に進出したのだ。

 24歳のプイユは、次の準決勝で世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦する。ジョコビッチは、オーストラリアン・オープンで男子の最多記録である7度目の優勝を目指している。

 第8シードの錦織圭(日清食品)が右脚故障を理由にリタイアしたとき、ジョコビッチは6-1 4-1でリードしていた。準々決勝の試合が始まってから、まだ1時間も経っていなかった。

 これに先立つ3試合で5セットを戦ったあと、錦織の傷ついた脚はついに屈したのだ。それはジョコビッチに、2016年以来となるオーストラリアン・オープン準決勝の一席を与えた。2016年にジョコビッチは2年連続、そしてそこまでの6年で5度目となるタイトルを獲得していた。

「素晴らしい気分だ。これ(全豪)は僕のキャリアを通し、もっとも成功に満ちたグランドスラム大会だ」とジョコビッチはコメントした。

「ここ2年は、肘の故障やら何やらで、少し厳しかった。でもここ10年にわたり、僕はここで多くの成功をおさめてきた。皆が、テニス界でもっとも大きな4大タイトルに自分の手をかけようと努めている。でもオーストラリアン・オープンは、これまでずっと僕に親切だった」

 プイユは、自分がどれくらい遠くまでいけるか、見当がつかないという。しかし過去5回の挑戦で決まって1回戦負けを喫していたあと、彼は自分がいい軌道に乗っていることは知っていた。

「これ以前に、メルボルンでは一度も試合に勝ったことがなかったんだ」とプイユは言った。

「今、僕は準決勝に至った。だから、ただただ、すごくうれしいよ」

 2016年ウインブルドン準優勝者のミロシュ・ラオニッチ(カナダ)の力強いカムバックをかわしたプイユは、7-6(4) 6-3 6-7(2) 6-4で勝利をつかんだ。これは彼にとって、グランドスラム大会準々決勝における3度の挑戦での最初の勝利であり、ビッグサーバーのラオニッチに対する初勝利でもあった。

 2006年オーストラリアン・オープン女子シングルスのタイトルを含め、グランドスラムで2勝を挙げたモレスモーは、以前にアンディ・マレー(イギリス)のコーチを務めていた。プイユによると、モレスモーは迅速にどうやって彼のテニスを向上させるかを見極め、彼に自信を与えたのだという。

「彼女は正しい精神姿勢、考え方を持っている。彼女はテニスについてすべてを知っている。それは、女性だとか男性だとかいう話ではない。それはどうでもいいことだ」

 オンコートインタビューで、ハイレベルの男子プレーヤーが女性のコーチと働くことが稀であることについて尋ねられたプイユは、こう答えた。

「ただ、自分が何をしているか知っていなくてはならない。そして、彼女はそれを知っているんだ」

 3度グランドスラム大会で優勝し、オーストラリアで5度決勝に至っているマレーが最初にモレスモーをコーチに雇ったとき、ある人々はマレーを批判した。しかしプイユは、この手の男尊女卑のネガティブな考え方に甘んじる必要はなかった。

「時代は変わったんだ。そんなことが起きたのは残念だけど」とプイユはコメントした。

「男子が女子をコーチしている。だからその反対だっていいわけだろう? 彼女はチャンピオンだ。そして素晴らしいコーチなんだ」

中央のグレーTシャツがルカ・プイユ(フランス)のコーチを務めるアメリー・モレスモー(フランス)(撮影◎小山真司 / SHINJI OYAMA)

 第28シードのプイユは最初の2セットを取り、第3セットの第7ゲームと第9ゲームでブレークポイントを握ったが、ラオニッチはその危機を凌いでサービスをキープした。

 ラオニッチはそれから、プイユがセットにとどまるためサービスゲームをプレーをしているときに、線審の判定にチャレンジして腹を立て、オフィシャルを罵りながら勢いを盛り返した。

 彼のサービスリターンはラインに乗ったが、審判のコールはアウトだった。彼がチャレンジ(自動ライン判定)し、リプレーによって彼のショットがインだったことが確認され、主審はポイントをリプレーする(やり直す)よう命じた。

 自分はポイントを与えられてしかるべきだと考えていたラオニッチは、なぜポイントが自分に与えられないのかと尋ねた際に、審判に「なぜならあなたは見ていないからだ。そうする能力がないからだ」と口にした。

 リプレーされたポイントをプイユが取り、サービスをキープして6-6としたが、ラオニッチはタイブレークの最初の6ポイントを取って最終的に4セット目に持ち込んだ。

 プイユがラオニッチのサーブ&ボレーに大きなプレッシャーをかけ、ブレークして試合をつかむまで、第4セットは互いにサービスキープで進んでいた。

 この結果でラオニッチはオーストラリアン・オープン準々決勝の成績が1勝3敗となったが、彼はメルボルンパークで厳しいドローを引き当てていた。

 1回戦でニック・キリオス(オーストラリア)を下し、2回戦で元チャンピオンのスタン・ワウリンカ(スイス)を倒し、それから4回戦では第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を退けていたのだ。

 ラオニッチは、準々決勝での自分のサービスにはがっかりしたが、第3セットのチャレンジの一件についてはそうではないと語った。

 プイユのために、ラオニッチはまた、ある賢明な助言をした。

「対戦している相手がどうこうということだけでなく、また状況でもあるんだ。彼にとってまったく新しい状況な訳だからね」とラオニッチは言った。

「彼は自分に偽りなくあるべきだ。自分がよい結果を出せるように努力すること。ほかの何より、その部分に気持ちを集中させるべきだと思うよ」(C)AP(テニスマガジン)

男子シングルス準決勝

ノバク・ジョコビッチ(セルビア)[1] vs ルカ・プイユ(フランス)[28]

ステファノス・チチパス(ギリシャ)[14] vs ラファエル・ナダル(スペイン)[2]

※[ ] 数字はシード順位

※写真はルカ・プイユ(フランス)(撮影◎小山真司 / SHINJI OYAMA)

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